虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

3・4歳の子たちの工作 「火星探査機を作りました」

2016-12-21 20:21:30 | 3、4歳児

3歳のAくん、4歳になったばかりのBくんとCくんのレッスンの様子です。

Aくんは、前回、ブロックでピラミッドを作って以来、「ミイラを作る。エジプトのピラミッドを作る」と言い続けているという話でしたが、いざ材料を用意してあげると、どういう風に作っていったらいいのかイメージできないようでした。

こちらが「こういう風に作って……」と紙を三角に折らせていると、だんだん意欲がしぼんでいって、気もそぞろになっていました。

ブロックで作るピラミッドは、「だんだん広がるようにブロックを貼り付けていく」という基本の作り方をマスターすると、同じ作業を繰り返すうちに、最終段階をイメージする力がなくても完成するのです。

でも紙工作で三角錐ではない底面が正方形のピラミッドを作るとなると、この年代の子の手にあまるのです。

3,4歳の子の工作では、それまでやったこともないのに、「こういうものを作ろう」と考えて、自分でどのように作るかイメージして、ひとつずつ手順を踏んで創作していくのはまだ難しいのです。

だからといって大人がイメージを代行して、子どもを誘導して作らせてしまうのでは、作る喜びや考えるわくわく感はほとんどなくなってしまいます。

(5歳くらいになると、未知の作り方でも、大人の教える作り方を参考にして作っていこうとする子も増えてきます。そうして習った上で、自分の持っている技術と組み合わせて、作りあげていきます)

そこで、Aくんのピラミッド作りはいったん保留にして、「宇宙を作ってみる?ビー玉の地球や木星とかがくるくる回るよ」と言ってペットボトルにビー玉を入れて蓋をし、さかさまにして回転させたところ、「やりたい!ぼくも作りたい!」「ぼくも!宇宙が作りたい!」「ぼくも!」と大盛況でした。

ペットボトルにビー玉を入れて蓋をするだけなんて、工作とはいえないような創作ですが、魅力的な何かを一瞬で作ることができたというベースが、次の作る作業につながっていきます。

ペットボトル宇宙を作った3人は、シールを貼ったり、ビー玉の軌道にあたるところにマスキングテープを貼ったり、太陽系探検というポップアップ図鑑を見たりして過ごしました。

そうするうちに、Bくんが「これが作りたい」と図鑑にあった火星探査機を指さしました。

Bくんはショベルカーが好きで、これまで繰り返しショベルカー作りをしてきましたから、

火星探査機を作る際も、「ショベルカーを作っていた時の方法はそのままで素材がちょっと変わるだけ」という方法で作りこんでいました。

Bくんの ショベルカーを作っていた時の方法というのは、ショベルカーの曲がるアーム部分に曲がるストローを使ったり、アームの先っぽに何か取り付けたり、車輪をペットボトルの蓋にして、養生テープでペタペタ貼り付けたりすることです。

 

そんな風に基本に自分がよく知っている何度も体験した方法があると、この年代の子でも、「大人から新しい方法をきちんと学びとろう」という意欲が生まれてきます。

Bくんは探査機の先に文字や石を拡大することができる透明のビー玉レンズを取り付けたり、アンテナ風のらせんの形の作ったりする方法を学んでいました。

 

AくんもCくんもBくんと同じものを作りたがりました。

Cくんは、アルミ箔を何度か折って、キラキラする折り紙を貼り付けるところまでした後で、それをペットボトルにはりつけました。まるで潜水艦みたいです。

あれこれ貼り付けると、かっこいい宇宙船風になりました。

真似からはじめても、途中で自分のやり方に移っていって、満足できるものができあがると、子どもは本当にうれしそうです。

今度は、他のふたりがCくんを真似て宇宙船を作りました。

ガチャポンカプセルを貼ったり、アルミ箔の一部をやぶいて窓にしたりして、立派な作品に。

 

すごくかっこいい宇宙船ができたなぁと感心していたところ、満面の笑みで「ほら、窓からビー玉が見えるでしょ!」と得意気に語るBくんの言葉に「さすが、3,4歳児さん!!やっぱりそうきたのか~!」と思わずうなってしまいました。

窓から宇宙船の中をのぞいたら見えるのは、宇宙船の内部でも、宇宙飛行士でもないのです。

最初の地球か木星のはずだったビー玉です。

すると、それを見たAくんが、(もう少し大きい子なら、常識に照らして、それはおかしいよー。宇宙船の中に地球があるの変だよーとつっこみが入る場面ですが……)「ぼくも、ビー玉入れるー!」と声をあげていました。



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