虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

自分に自信がない、自己肯定感が低い子 おしまいです

2017-05-12 08:20:24 | 日々思うこと 雑感

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子どもにすると、そうして自分の気持ちに決着をつけるのは大変なことです。

それにも関わらず、その瞬間にお母さんが、(Aくんに対して怒っているわけでもないのに)

「それなら持って帰るのをやめておいたら?」と提案したのを聞いて、

こうしたやりとりの流れが、いつもあたり前のように

Aくんと周囲の大人との間でで展開しているのではないかと感じました。

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「こうしたやりとりの流れ」というのは、大人の側の頭のなかには、

最初から最後までAくんの考えや気持ちというものを想像して、

理解したり認めたりするスペースは存在しておらず、

大人側の正しい意見や意向に、少ない衝突で従わせていくことだけがある場合の

やりとりのことです。

 

こうしたやりとりの流れは、どんなに子ども思いの親であっても、

むしろ子どもへの思いが強く「あれもしてあげたい、これもしてあげたい、少しでも能力を上げてあげたい、少しでもよい

環境を与え、よい時間を過ごさせてあげたい」という望みが強いほど、

ありがちな展開です。

 

先日もこんなことがありました。

牛乳パックで車を作ることを繰り返していた1年生のBくんが、

車を作る作業に自信をつけて、「次は自分も乗れる大きな車が作りたい」と言いました。

「本物の車と同じように、車のなかにはちゃんとエンジンがついていて、ドアをあけたりしめたりできるようにしたい」と。

これは大きなチャレンジです。大きいものを作るのは小さいものを作る以上に

さまざまな作業をやりぬくエネルギーが必要です。材料集めも簡単ではありません。

思わぬアクシデントも起こります。

それでも、Bくんの今回のチャレンジにかける思いは強くて、

これまでにないほど凝った作品ができあがりました。

わたしが「大きい作品だから持って帰れないかもしれないよ」と注意していたので、

コンパクトに折りたたむことができるよう試行錯誤を続けていました。

そうしてやっとのこと作品を完成させたのですが、

残念ながら作品を持って帰ることはできませんでした。

Bくんは涙ながらに、「どうしても持って帰りたい」と訴えていたのですが、

お迎えにきたお父さんに

「持って帰るのも難しいし、家に置くスペースもないから」と説得されていました。

子どもの日々には、心の底から切望しても

断念しなくてはならないことがしょっちゅうあります。

それ自体は仕方ないし、そうした経験が子どもを成長させもするでしょう。

Bくんのお父さんの説得も、Aくんのお母さんの説得同様、常識的な

正しい内容でした。

 

ただ、わたしの心に少し引っかかったのは、Bくんの大きな車を目にしたお父さんが、

Bくんの「持って帰りたい」の言葉も耳にしたとたん、

Bくんのがんばりをねぎらうことも、Bくんがどんな思いでコンパクトに折りたたむ努力をしていたかも

作品の精巧さに感動することも忘れて、困った顔をして説得し続けていたことです。

 

その場では、ただただBくんが大人の「持って帰れない事情」に

納得することだけが優先されていました。

最終的には「持って帰れない」としても、

それは子どもの気持ちや思いを無視していいことにはつながらないはずです。

AくんもBくんも周囲の気持ちに敏感な繊細で優しい性質の子です。こうしたタイプの子を相手にする場合、

大人が極力注意しなくてはならないポイントだと考えています。

 

とはいえ、Bくんはこのくらいのことで、

「自分に自信がない、自己肯定感が低い」という心の状態には

ならないように思いました。

なぜなら、Bくんはこれまで「周囲が望むこと」よりも「自分がやりたいと思うこと」を大事にされてきた子で、

自分の興味を出発点に遊び込む体験をたっぷりしてきたからです。

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