虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

脳への入力の容量自体を大きくするということ

2010-03-09 07:24:00 | 教育論 読者の方からのQ&A
脳の研究の第一人者である養老孟司がこんなことをおっしゃっています。

脳には3つの機能があります。「入力」「計算」「出力」です。
視覚、聴覚、触覚、味覚、臭覚の五感を働かせて
脳に情報を送り込むのが「入力」。
自分がどのように行動したらいいのか、判断のために
情報を処置するのが「計算」。
計算に基づいて行動するのが
「出力」です。出力は筋肉を動かす信号です。
運動として出力されたものは、再び五感によって入力されます。

養老孟司氏によると、脳の発育をうながすには、入力→計算→出力→入力→計算→出力
のサイクルを大きくする必要があるそうです。
野外で虫を追いかけたり、自然と触れ合ったりするような五感をたっぷり使う活動こそが脳の入力を大きくします。

外遊びに興じながら風や気温や湿度を肌で感じること、
自然のなかにある視覚や触覚を刺激する美に感動することが、五感を目覚めさせるのです。

脳というのは「なんでだろう?」という疑問を繰り返して、育ってきました。
外遊びで観察を繰り返すと、この「なんでだろう?」にたくさんぶつかります。
養老氏のお話を読んで、虹色教室に通っている子で、幼いうちから他の幼児教室に通っていて、そこで適応している子の多くに
「なんでだろう?」が少ないことが思い当たりました。

「なんでだろう?」と考える前に大人が子どもに教えてしまうからのようです。
「なんでだろう?」と考えながら育つ脳は、
人に「どうしてそうなるのか」を教えてもらってばかりだと、自分で考える力が低下します。
養老氏は、次のようなことをおっしゃっています。

虫取りをするときは、いろんな方向から見る。すると入力が変わって、その都度いろんな情報が脳みそを通る。……たとえば、このカブトムシはどうして生息地が違うだけで独自の性質を持つようになったんだろうといったことを考える。
すると地質学やらいろんな方面に興味が広がる……そうして新しい自分になるという体験を繰り返す。

養老氏のおっしゃる「入力が変わる」「自分が新しくなる」という姿、
外から見てもよくわかるときがあります。
私は、科学的な不思議を取り入れた工作をしたあとや、
遊びのなかで自分の真の才能に近い活動をしたあとや、
取り付かれたようにモンテッソーリのいう敏感期のお仕事をしたあとや、自分が見た世界を再現する遊びをしたあとで、子どもがまるで「入力」そのものが変化したように
内側から劇的に変わる姿に何度も遭遇しています。

親御さんも口をそろえて「子どもが別人になった」とおっしゃるのです。

別人になるほど子どもに変化を起こす遊びや工作とはどんなものかというと、
「入力」そのものを大きくする活動なのだと思います。
「子どもの世界の見方」に変化を起こすような遊びや工作です。

ハンバーガーを食べに行ったあとで、
ハンバーガーを作る過程から、お客さんから注文をとる様子、
飲み物の機械、仕事の一日の流れ、お金のやりとり、レジの仕組み、
割引券……そうしたさまざまな角度から眺めたものを
遊びで面白く再現するとき、子どもはその後どこに行っても
しっかり観察し、どうやって遊びに生かそうと頭を使い入力の状態を大きく広げるようになります。

エレベーターに乗ったあとでエレベーターを工作で作った子は
その後あらゆるもの対して、その仕組みに関心を持って接するようになりました。
「入力」が変化したのです。

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知識を得る前に感じる、考えること (Akemi)
2010-03-09 09:55:30
先生いつもいい話をありがとうございます。
小2の息子は、知的好奇心が旺盛で、本もよく読みます。「そーなんだ」などの学習マンガが好きで、地理・歴史・科学の不思議を面白がっています。
が、そういった態度は、「なんでだろう?」と考える前に知識を取り入れてしまうから、「入力」が小さいのかな、とこの記事を読んで感じました。
虫やざりがになどを捕まえる経験が皆無なわけではないのですが。
実体験がまだ不足しているのかな、と気になりました。身近なハンバーガーショップやエレベーターなどでも、機械のしくみに興味をもたせることは工夫次第で可能なのですよね。
常に、活字から情報を取り込んで満足するのではなく、その前に、「なんでだろう」を意識させるにはどうしたらいいかなあ、と私も考えて見ます。いつもありがとうございます。

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