虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

金環日食の実験  (理解の伴わない知識を持っていることの問題点) 

2012-05-13 16:20:04 | 理科 科学クラブ

今日は小学3,4年生の子らの科学クラブの日でした。

 

金環日食が近いので、日食に関するさまざまな実験をしました。

実験ネタの大方は『ウ゛ァンクリーウ゛先生の不思議な科学実験室  宇宙編』から。

この本、実験方法はどれも2,3歳の幼児でもできるものばかりなのですが、

小学3,4年生以上にならないと、やっていることの意味を理解して、実験を楽しむのは

難しいようです。

 

実験の前に絵本を見ながら太陽の位置や大きさと地球や月の位置や大きさについて

イメージを膨らませていたところ、

●くんが、「どうしてさ、こんなに月は小さくてこんなに太陽は大きいのに

太陽が月の後ろで周囲の部分だけしか見えなくなっちゃうんだろ?」と

言いました。

「それはさ、月と太陽は遠いからさそうなるよ。それに……」「その理由は……だよ」と

お友だちの☆ちゃんと○くんが口々に

その理由を説明しましたが、図鑑で見たり、大人に教わったりしたうろ覚えの知識の

受け売りですから、どちらもかなり間違ったことを言っていました。

 

そして、●くんが「でも、太陽と月の大きさはこんなにも違うんだよ」と絵本の絵を指しながら言うと、

ふたりとも落ち着いて考えてみようとせずに、

さらに適当な勘違いした知識を並べ立てて説明していました。

 

自分で疑問を持ったり、深く考えてみたりする機会がないまま、

「金環日食ってこういう原理で起こるんだよ」「日食ってこういうものだよ」と知識で覚えて、

自分たちはわかっていると思いこんでいるものですから、

どういう意味なのか、自分の頭で考えてみることができない状態になっていたのです。

 

本来、☆ちゃんも○くんもかなり思考力が高い子らなので、

自分たちが、「そんなのもう知っている」と信じ込んでさえいなければ、

日食というものに対して、「なぜ?」という自分なりの疑問点を見つけ出したり、

自分で予測したり、自分の頭で考えを練って、自分の言葉でそれを

表現することができたはずなのです。

 

「日食って、月の後ろに太陽がくることよ」と大人の言葉通りに説明できるだけで、

全てがわかった気になって

それ以上何も考えることができなくなるとすると、

安易に子どもに言葉で知識を与えてしまうことは恐ろしいことですね。

子どもはまだ正確な意味を把握する力が育っていないのですから、

理由を覚えるよりも、

自然の偉大さや不思議を五感を通して素のままで味わう体験が

たくさん必要だと感じました。

また、自分の手と目で確かめられる易しい実験も、

自分の頭で考えていくための基盤となります。

 

金環日食の実験で太陽の代わりになってもらったキティちゃん。

 

 

キティちゃんに比べるとかなりサイズが小さい木の玉も、

キティーちゃんの顔を隠してしまくことができます。

金環のように玉のまわりにキティーちゃんのヒヨコのかぶりものが見えます。

 

科学クラブの子らのそれぞれが月の役をして

背後から照らす懐中電灯の光をさえぎる実験もしました。

 

他にもさまざまな日食に関わる実験をしてみました。『ウ゛ァンクリーウ゛先生の不思議な科学実験室  宇宙編』

には、「水星が日食を起こさないわけ」とか「ミニ日食をつくってみよう」といった実験

がいろいろ載っています。

 

↑サイダーをつくって、リトマス紙で酸性かアルカリ性か調べました。

↑それぞれの子が作っていた工作物。

科学クラブの子らも30分間は算数を学んでいます。

今日は、ぴぐまりおん(SAPIX)の3~4年生用の推理力や論理的に考えていく力を

問われる問題をしました。

かなり複雑で難しい問題でしたが、どの子も自力で解ききっていたことに

感心しました。

頭の使い方がしっかり身についてきているようです。

 

毎回長くなりますが、関連する過去記事を貼りますので、時間のある方は読んでくださいね。

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小学2~3年生のユースホステルでのレッスンに行ってきました。(幼児の弟くんたちも参加)

小学生の男の子たちのあまりのパワフルさに(驚異的な元気さに……)かなりバテました~♪
(小学生を育てている親御さんたち、夏休み、ご苦労様です

通常レッスンの科学クラブや算数クラブの子たちが主のお泊りだったので、
「やんちゃぞろいのこのメンバー。これはとんでもない騒ぎになりそうだ」と察した私は、
かつて虹色教室の生徒だった今は高校生のKくんにボランティアをお願いしたのですが……
これが大成功でした。

小学校2~3年生というと、自立心が芽生えてきて、男の子は男の子っぽさが出てくる時期。
高校生のお兄ちゃんといっしょに、いろいろな活動をするのは、とっても楽しかったようです。
晩遅くにKくんが帰宅する際には、じゃれて背後からKくんに飛びついて甘えている子もいました。




レッスンでは、私が持って行った工作素材や道具を使って、それぞれの子が、
自分でやってみたいことや、お友だちと協力して実現したいことをイメージして、
実験したり、工作をしたり、実験道具を自分で作りあげたりしました。


ビー玉を途中でジャンプさせて、目当ての場所に転がしていくコースを作っています。






ビー玉コースターを作り、内部を見えないようにしている積み木の箱を通って、その先にビー玉が落ちるようにしたいと
考えた2年生の◆くん。

ミリ単位のずれでも、途中でビー玉が止まってしまう作品のため
「みんな、気易く触らないで!」と、
木の反り方をけわしい表情で見つめる大工の棟梁みたいな雰囲気で、作業を続けていました。

◆くんが何か作るとき、どんどん楽しんで作っていくという形には満足できなくて、
自分の描いた最終目標を達成するまで、自分にも他人にも厳しいのです。

できあがった自慢のビー玉コースターを何度か試してみて、
「やったー。100パーセントの確率で転がるようになったぞ!」と喜んでいたので、
他の子たちが、「100パーセントの確率」という言葉の真偽のほどを
確かめに集まってきました。

それでは、実験開始……という時、私が、「じゃぁ、10回転がして、全てのビー玉がゴールに着くか
やってみようか?」と言うと、
科学や算数のうんちく好きの●くんが、
「だめだよ。100パーセントか調べるんだったら、100回やらなくちゃ」と
それだけでレッスン時間が終わってしまいそうな提案をしていました。

それから、私が、「ちっちゃい子たちにも、ビー玉転がす役をやらせてくれる?」と◆くんにたずねると、
「だめだよ。100パーセントの確率って言っても、それは同じ条件でしないと
うまくいかないんだから」とブーブー。

そんなピリピリした空気の中で、本当に100発100中、ビー玉がゴールまで行くのか実験開始。
それが、数回、転がしたところで、ビー玉が木箱の中で止まってしまいました。

この実験にのめりこんでいて男の子数名が、◆くんといっしょに箱のふたを開けて、ビー玉が止まった原因を言いあっていました。◆くんいわく、
「五回に1回くらいは、中の点検をして、動いた積み木を元通りに直すようにしないと、100パーセントにはならない」とのことでした。






電池やモーターを使った実験や工作を繰り返している子たちもいました。

単三電池一本で、モーターを2つ回して、同時に豆電球も点けることができるのか
や、何が電流を通すのか、いろいろ試していました。

途中で、「電流の力で風船が割れるのか試したい」という子が加わって、
風船に接触する部分で導線同士をつないで、むき出しになっている導線の部分に電流が流れる際に、
風船が割れないか試してみたいというもの。

これを見た他の子たちが、「風船は電流を通さないよ」と注意しました。
「わかっているよ。線と線はつないでいるんだよ。電流は流れるように。それで、風船にひっつくようにしているだけだよ」と実験主くんたち。

この実験、うまくいかなかったのですが、他にもいろいろ面白い実験をしてみて、
楽しめました。
ボランティアのKくんには、電池や豆電球を扱う際に、どんな使い方をすると危険なのか、
実体験をまじえて、みんなに指導してもらいました。(Kくん、電池のプラスとマイナス極を直接、導線でつないで、
熱が発生したことがあるそうです。
私も、子どもたちがいろいろと自分の発想を実験で試したがる幅が広がってきたので、
危険な実験と安全な実験の線引きの仕方や、
目新しいことを試す際には必ず大人にしていいかたずねるなどを、徹底するように気をつけています。




↑の写真は乾電池を直列つなぎにした時、
乾電池の数と豆電球の数を変えると、
豆電球を流れる電流の量を数値で表すとどのようになるかクイズをしているところです。

(乾電池が3個で豆電球が2個なら、「2分の3」など)
一生懸命考えていて、分数ということまではわかっているけど、
間違える子が多かったです。

電流の流れ方にしても、
子どもたちは、
プラス側とマイナス側から同時に流れ出して、電球のあたりで合流している……と考えていました。

今は、正しい答えを教え込んで、無理に納得させるのでなくて、
さまざまな意見を出させながら、
たくさん体験して本当の意味で納得するまで、
「本当はどうなんだろう?」と不思議に思う気持ちを共有しあうようにしています。

「図鑑を見れば正しい答えが載っている」と思うようになると、
自分で考えずにすぐに解答を見て、記憶した答えを言うことに固執するようになりがちです。

まず最初に、自分の目で見て、自分の頭で本気で考えを練っていく姿勢を育てることが
大切だと考えています。


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