子どもが可愛くて可愛くて、常に目に入れても痛くないほど愛情を注いで
育てているのに、4歳前後になって子どもの困った行動が増えてくるケースに時々出会います。
そのなかには、ただの成長の一過程だと思われる心配のいらないケースもあるし、
親御さんたちの接し方を微調整した方がいいと思われるケースもあります。
幼い子を育てている親御さんの目には、
「叱らない育児」とか「子どもの全てを受容して」といった
いかに子どもを慈しんで可愛がって育てるべきかを諭す
キャッチコピーが次から次へと飛び込んできます。
もちろん、子どもを心から慈しんで可愛がって育てることに
何の間違いもないでしょう。
でも時折、その可愛がり方が子どもの育ちにとって不自然さ作りだして、
子どもの見えないストレスやイライラの原因となっているのを
見かけることがあります。
子どものイライラを蓄積させていく可愛がり方とはどういう可愛がり方かというと、
デパートや子ども向けの施設の店員さんなどの子どもへの対応、
つまり「接遇」に近い態度で、
常に子どもを大切に大切にお客様のように扱って育てることです。
それの何が子どもにストレスを与えていくのかというと、
子どもが身近な大人たちとの間で愛情を交わしたり、衝突したりしながら
恐怖や怒りや破壊的な感情のコントロール術を学んでいく時期に、
どれほど悪さをエスカレートさせても人と衝突する体験が味わえなかったり、
怒りや悲しみを十分アウトプットして、それをコントロールしてく体験ができなかったり、
大人の表情や言葉から自分のしている
ことの良し悪しの加減が学習できなかったりするためです。
もちろん、子どもが大人から見てよくないと思うことをするたびに
ガミガミ叱るべきだとか、しょっちゅう子どもとぶつかりあって、怒らせたり悲しませたりする
べきだと言っているわけではありません。
子どもの暮らしに自然に存在する衝突がほとんどなくなってしまうほど、
また子どもがわざと叱られるようなことを繰り返す時に、ニコニコしながら世話を焼いて
子どもが親から善悪に基準を学べなくなってしまうほどに、
子どもに「接遇」し続けることは、
子どもを幸せな気持ちにするというより、
秩序のある世界でしっかり生きているという実感を危うくして不安定な心理状態に陥らせるようです。
S・グリーンスパン博士は、
子どもは「感情を信号化して伝えたり親と交渉したりすることで、
自分の感情をコントロールできるようになっていく存在」で、
「自分の表現したことに応じた感情的シグナルを得ることで、子どもはもっとシグナルを出し、
自分の感情をさらにコントロールして交渉できるようになり、
喜びから悲しみや怒りに至るさまざまな感情が、親と交わされる細やかな交流の
一部分になりうる」とおっしゃっています。
それは子どもにとって必要不可欠な体験です。
でもそのために親は愛情深くはあっても適切な感情的な反応を返すことが
大切なのです。
その度合いを伝えるのは難しいのですが。
親御さんによっては「いつもニコニコしているママでいよう」と心に決めていて、
子どもが危ないことをしようとしても、小さな声で「メッ!」と注意するようなこともしないで、
笑いながら追いかけて事を終息させてしまう方もよくおられます。
お家では大人が四六時中しっかり見ているし、危険なものも手の届かないところにしまっているので、
何をしても、どんな悪さをしても、ただただ子どもの可愛らしい仕草とみなして、
大人の笑顔と優しさで包み込むように接しておられるという話もよく聞きます。
そのように常にお客様のように扱われている子は、愛情をいっぱいかけられて育っているので
笑顔も多くてある面でとても魅力的ないい子であったりするものの、
本人の心のなかには、一歩外の世界に触れたとたん、
常にどこまでが許されてどこで叱られるのか知りたいという
衝動に突き動かされているような行動が多くなっています。
「お家では好き放題できて限度がなかったから、お外ではどうなの?」
という疑問があるのかもしれませんね。
また、4歳近くなっても、悪さをする時に、いたずらっぽいそれが悪いことと知っている笑顔ではなく、
また好奇心で思わず大人の注意を忘れてしまっている笑顔でもなく、
大人に向かって可愛らしさをアピールするような満面の笑みを浮かべたまま
「これは叱られるだろうな」と思われるようなちょっと限度を超えたいたずらを
繰り返します。
そのとたん、接し方を、「もっとしつけなきゃ」「叱らなきゃ」という態度に
180度変換する必要はないし、
それはとても危険なことだと思います。
愛情いっぱいの子育てはけっして間違いではありませんから、
まず自分の育て方の基本はそのままにしておいて、
ちょっとだけ子どもへの接し方を微調整する程度でいいのだと思います。
アドバイスは取り入れつつも、基本はその人らしい子育てが一番なのです。
どのように微調整するのかというと、
お母さんさん自身が「子どもにはこのように接しなくては」と思って自分の感情を抑え込んでいるとしたら、
もう少し自分の感じ方の正直になって
自然にアウトプットしてみるといいのではないでしょうか。
もしそうしようとしたとたん、今度は怒りがとまらなくなって起こり過ぎてしまう
という方もいるかもしれません。
その場合、子どもが悪さをエスカレートさせていた原因は、
お母さんのニコニコした笑顔の底に抑圧されている
激しい怒りやストレスを受信していたからかもしれないのです。
子どもはとても敏感で、身近な人が怒りを抑圧して、それを笑顔で表現しているような場合、
子どもがお母さんの怒りまで引き受けて感情を爆発させる役を引き受けたり、
わざと困ったちゃんぶりをエスカレートさせて、お母さんがきちんと自分の感情を外に表現するように
挑発したりすることもあるからです。
そんな時は、これまで自分に厳しくし過ぎたり、無理をし過ぎたりしてきたのかもしれない
と振り返って、自分をねぎらって自分に優しくする必要があるかもしれません。
まず愛情深く育ててきたこと自体は少しも間違っていなかったことを思い出し、
できることからちょっとずつ変化させていけば、
子どもの学習する力や成長する力はすばらしいですから、
必ずいい方向に向かっていくとのんびり構えなおすといいですよね。
























