さいとうゆたか法律事務所 解雇ブログ

さいとうゆたか法律事務所(新潟市中央区東中通1番町86-51東中通ビル5階、電話025-211-4854)のブログです。

賃下げにより追い込まれた退職と損害賠償

2016-02-26 16:52:25 | 解雇とお金
 東京高裁平成25年8月28日判決は、賃下げにより退職に追い込まれた労働者から使用者に対してなされた損害賠償請求を一部認めました。

 この事案では、労働者は自主退職ではなく解雇だとして争っていましたが、裁判所は自主退職だとしました。

 その上で、従来の月額30万円の給料を17万4000円と大幅に減額した、この減額には法的な根拠がなかった、この大幅減額を不服として労働者が退職をしたとして、慰謝料の支払いを命じました。

 労働者が退職を迫られた場合でも、退職を拒否して解雇された場合の方がその後有利に展開させることができます。ですから納得できない場合には自主退職しないのが大原則です。しかし、そうはいっても様々な事情で自主退職をする場合もあり得ます。そのような場合でも、退職をせざるを得なかった理由が使用者の違法行為である場合には、使用者に損害賠償請求をすることができることが同判決で確認されたわけです。労働者側にとっては参考価値のある裁判例と言えるでしょう。
 

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弁護士 齋  藤  裕(新潟県弁護士会所属)

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死亡交通事故と退職手当不支給

2016-02-04 16:59:00 | 解雇とお金
 大津地方裁判所平成27年9月8日判決は、県立高校の教諭が死亡交通事故を起こし、禁固刑に処せられ、失職した場合において、退職手当不支給は裁量権濫用であるとして不支給処分を取り消しています。

 裁判所は、事故が退勤時のものであること、教員が起こした事故であることなどから退職手当が相応に減額されるのはやむを得ないとしました。他方、酒気帯び等ではなく日が暮れた時間帯の前方不注意による事故であること、27年間熱心に勤務してきたこと等から、退職手当を全額不支給とすることは権限濫用となるとしました。

 前方不注意による交通事故はドライバーであれば誰しも起こす可能性があるものです。それを理由に、賃金後払い的性格もある退職手当を全額不支給とすることは確かにやりすぎであり、穏当な裁判例かと思います。前方不注意による交通事故では、よほどの事情がない限り退職金全額不支給は裁判所では認められにくいと思います。


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