柔道整復師40年の臨床から

治療家になって43年経ちました。その経験の中で「柔道整復師」という仕事の魅力を伝えます。

●体は「柔らかければいい」ってわけでもない

2012-05-21 09:11:48 | 治療


背骨や腰を鳴らす習慣のある人がいますが、

背骨は神経があって大事なところですから、やめたほうがいいですね。
過可動の状態になっている可能性があります。

過可動の状態では、関節弛緩症といって
伸ばす状態をとると関節が弱くなってしまいます。
簡単にいえばストレッチがよくないということです。

背骨を鳴らす方は、運動をしているときに
たまたま気持ちがよかったからとクセになっていることもあります。

腰の辺りがもやもやするとやりたくなるようですが、
肝心なところは動かなくて、動きやすいところが動き、
関節がぐらつく可能性があるのです。
関節がぐらつくと、血行が悪くなって体調が悪くなります。

関節弛緩症かどうかの手がかりは、腰を曲げて手のひらが床にぺたっとつく、
バレリーナのように開脚でぺたっとつく、背中で両手が組める、
親指が手首につくといった、要するに「柔らかい」といわれる人です。

じん帯がしっかりしていないので柔らかい。
この状態が、関節が緩んでいる証拠です。

ちなみに「じん帯」とは、強靭な結合組織の短い束で、
骨と骨を繋ぎ関節を形作るもので、関節の可動域を制限する働きもあります。

「体が柔らかい」といわれる人は、意外に健康体ではなく、
たいていは腰が悪かったり、

首が悪いのです。
ですから、それ以上関節に刺激を与えるストレッチは避けてください。

勘違いしないでいただきたいのは、体が固い人が筋肉を緩めたり、
訓練で曲がるようになるのはいいのです。

寝違えたときのことを例にすると、ふつうの人は、曲がらなくて痛いのです。
関節弛緩症の方は、曲がるけれど痛いという症状です。
そして治りにくいのです。

治りにくいといえばボディビルダーも筋肉を無理に作っているので、
神経の反射が弱く、瞬発力も弱いという特徴があります。

プロ野球を引退したK選手は筋肉質でがっちりしていましたが、
ケガが多かったです。

一方、今もアメリカメジャーリーグで活躍しているI選手は、
筋肉が少なくて、瞬発力をつける訓練をしています。

同じスポーツ選手でもトレーナーの指導でいかようにもなります。
いいトレーナーにめぐりあえれば、
ケガがなくて、勝てる選手になれるわけです。

柔道整復師は、じん帯が緩んでいるところは固定しておき、
治療しようと思ってはいけません。

柔らかい患者さんにはストレッチを避けて、
縮めるようにする治療を心がけます。

 

●老化と五十肩の予防

2012-05-01 11:06:39 | 治療

両方の肩がいっぺんに五十肩になってしまったことがあります。
このときは寝返りもできず、悲惨でした。


五十肩は老化のひとつですので、放っておいても1年くらいで治ります。

早く治したければ、病院に行くと痛み止めが処方されます。

五十肩には2つのパターンがあります。

ひとつは、後頭部に触れられない。
もうひとつは、腰のあたりでリボンが結べない。

このどちらがつらいのかうかがいます。
つらい方から治療していきます。

生活動作では手を上げなければならないことは少ないと思うので、
大半は後ろに手が回せるようになるよう治療します。

痛いときには無理して動かさないことが大事ですが、
肩や膝は硬縮しやすいので注意が必要です。

二十歳くらいには成長が止まりますので、その後は老化に向かっていると考えます。
老化に向かっている人は、固まることに注意が必要です。

下腿骨を折って固定すると膝が固まって、正座ができなくなるとか、
鎖骨を折って肩が動かなくなるのもその二次障害です。

たった数分のラジオ体操でも毎日やると、五十肩の予防にもなるので、
予防に努めましょう。
私たち柔道整復師は、柔道の動きを取り入れた「健康柔(やわら)体操」を
すすめています。

●本当の骨はなかなか見えない。

2012-04-12 15:17:07 | 治療

高校生の母親から相談を受けました。

「交通事故で娘が鎖骨を折って、もうすぐ2ヵ月になるけれど、
先日レントゲンを撮ってもらったら、2週間前とまったく変わっていないと
言われました。固定ベルトをしているだけで何もすることなくて、
何も変わらないって、すごくショックです。大丈夫でしょうか」

 

鎖骨は折れやすいもので、子どもだと折れていることに
気づかないこともあるくらいです。

 

この方のことは診察をしていないので、一般的な話になりますが、

 ・コキコキと音はしないか

 ・寝返りをうったときに痛くないか

 ・くしゃみしたときに痛くないか

と聞きました。

どれも当てはならないというので、順調な回復だといえると思います。

 

糖尿病でも患っていれば、骨はくっつきにくいものですが、

高校生なら大丈夫でしょう。

骨折は、病気があったり、高齢者だったり、栄養状態が悪ければ、
治りにくいのです。

 

固定バンドは、鎖骨を広げ、骨折部分の安静保持して
骨が前に出てくるのを防ぎます。

 

レントゲンでわかるくらいしっかり骨がくっつくのは、
1年くらいかかるものです。

レントゲンだけで一喜一憂しないほうがよいですね。

 

●骨折の季節

2012-03-29 10:00:05 | 治療

今の季節は、スキーやスノーボードで骨折して、
つらい思いをされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

年末から新年にスキーに行って、ゲレンデに出る前に
思わず転倒して骨折されたという患者さん、

新年の2日から治療を依頼されたことも思い出します。

スキーでケガすることは珍しくなく、下腿骨折や足首の捻挫が多いのです。

大回転のインストラクターさんが、下腿骨をらせん状に骨折して、
治療に3カ月くらいかった例もあります。

 

 

骨折は骨の部分によって治るまでの時間がだいたい決まっているのです。
ドイツ人外科医グルトが、今から150年ほど前、骨折の骨癒合経過の統計を取り
それを論文として発表しました。
「グルトの骨癒合日数」といいます。
それが今でもまだ生きているのです。

指骨・・・・・・・ 2週間
肋骨(中手骨)・・・3週間
鎖骨・・・・・・・4週間
前腕骨(橈骨・尺骨)・・・・5週間
腓骨 ・・・・・・5週間
上腕骨 ・・・6週間
脛骨 ・・・・・・7週間
下腿両骨 ・・・・8週間
大腿骨 ・・・・10週間
大腿骨頸部 ・・12週間

この頃、骨折したところを正常な骨で再生するまでの仮補修みたいな骨ができるのです。
ただし、これは機能回復ということではなく、完治にはさらに多くの日数を要します。

●イメージで体も変わる

2011-12-20 14:26:32 | 治療

「9月になると仕事をやっていられないくらいの頭痛に悩まされる」と
いう患者さんがいました。
気候が合わないのか、何十年も後頭部にこびりつくような重みが
9月になると発症するというのです。

ある6月に会って治療をしました。
治療はうまくいったのですが、9月のことを考えさせると
体がゆがんできました。

「9月になると必ず痛くなる」という思いが、
体にまで影響してしまうんですね。
つらいときは体が縮こもるのですが、
そのときのことを想像するだけで症状が出るのです。

なので、頑なに痛いときのことを記憶している人には、
痛くないときのことをイメージしてもらいます。

しゅっちゅう症状のことを考えている人は
気にしない人に比べて治りにくい傾向があります。

症状を訴える人には、好きなことを考えたり、
楽しいことに取り組んでもらうなど、慢性化の予防を心がけます。

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今年は、東日本大震災で多くの犠牲がありつらい年でした。
来年はよい年になるといいですね。
みなさまもどうぞよいお年を。