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リヴィーばあちゃん 「その3」

2017-02-23 19:11:47 | 随筆
[リヴィーばあちゃんの話]

アメリカでの生活にも慣れてきた頃、どうやって捜したのか、ラリーが私達のアパートにやって来た。 びっくりしたわ。 おそらく、私達の行き先を知っている人の誰かを買収して突き止めたんでしょうね。 人間はお金の力に弱いからね。 

最初はおとなしく、お願いだから、とか何とか言ってたけど、終いには娘達をつれて帰ると脅しにかかってきたわ。 子供たちを奪われたら、私は生きていけない。 どうしようかと思ったら、ジャズミンが父親にこう言ったのよ。

「Daddy, leave us alone.」 (お父さん、私たちのことをほおっておいて頂戴。) 彼は黙ってフィリピンへ帰った。 養育費はびた一文貰わなかったけど、そんな事はどうでもよかったのよ。 娘達は成長して結婚するまで、祖国への里帰りはしなかった。

ところでフィー、お願いがあるのよ。 実は私、いまだに離婚をしていなくて、アレキサンドリア(北ヴァージニアにある町) の裁判所で手続きをする事になったんだけど、証人が必要なの。 あなた、助けてくれない? いいえ、なにも難しい事はないの。 私と、弁護士と一緒に裁判所へ行って、ひとこと証言してくれればいいのよ。 友人としてね。 ラリー オカンポという人間が私の住んでいるところに過去一年は訪れていない、ということを証言するの。 それだけよ。 やってくれる? ありがと。 

(筆者は後日、裁判所でリヴィーと弁護士と待ち合わせをした。 古い町並みのど真ん中にあるアレキサンドリアの裁判所へ着いたものの、大の苦手な parallel parking (平行駐車) のスペースだけしかなく、何度もトライをしたが、失敗。 当時我が家の車は、図体の大きなトラックだったので余計やりにくかった。 何ブロックも離れたところにようやく駐車をしたが、遅刻寸前だったので、穿いていたヒールの高い靴を脱ぎ、ストッキングを伝線させて全速力で走った。 裁判官の前に立ったときは汗びっしょりで、一帳羅のワンピースは台無しになり、ゼーゼーあえぎながら、証言をした。 彼女はめでたく離婚を済ませる。 1998年、リヴィー、66歳。)

どこまで話したかしら。 私が45くらいの時だったかな、仕事場でグレッグと出会ったの。 写真を見せてあげる。 ほら、ハンサムでしょう。 (筆者の感想: ごく普通のオジサン。 白人。 年は60歳くらい。) 彼、奥さんと娘がいたの。 不倫、だけどね。 私とラリーみたいに、音信不通になっているそうよ。 グレッグは私を世界旅行に連れ出したわ。 ヨーロッパの国はほとんど行ったし、南米、カナダ、エジプトまで。 まだ行ってないところはロシアくらいかな。 このアルバムは、ほとんどグレッグとの旅行写真よ。 彼と結婚しないのかって? なぜ結婚しなければいけないの? 時々会って、旅行して、おいしいものを食べて、楽しければいいじゃないの。 彼は私と再婚したいようだけど、いまさら年をとった亭主の面倒は見たくないわ。 毎日一緒に暮らし始めると色々と嫌な面がでてくるでしょう。 結婚ってそんなものじゃない? それどころか、もしかしたらグレッグはもう死んだかもしれない。 一年近く連絡がないから。 彼も80過ぎているし、不思議じゃないわ。 寂しくないかって? いいのよ。 いつかはこうなると思っていたからね。 

あぁ、今日もきれいにしてくれてありがとう。 はい、お代とチップ。 もっと話していたいけど、もうすぐうるさいケイトが仕事から帰ってくる頃だから、この次にしましょう。 また電話するわね。

リヴィーばあちゃん 「その4」に続く
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