尼崎列車事故。「ガーディアン」紙の報道。


 「列車事故に関して組合長が会社の「いじめ体質」を批判」

 今日久しぶりに29日付けの「ガーディアン」紙を買ったら、
国際欄に日本の列車事故についてのこんな記事が載っていました。
こないだの日記、効率社会ニッポン、非効率社会イギリス!?
内容に非常に通じるところがあったため、一読の価値アリかなと思い、
ここでご紹介しておきます。誤訳等ありましたら申し訳ありません。

 
 以下本文。

 「日本の列車運転手は、たった1分の遅れを出しただけでも、
安全性よりも効率性を重視する雇用主によって、屈辱的な懲罰を課せられてしまう」、
死者106人に達した今週月曜日の尼崎脱線事故について、昨日、鉄道組合の代表は
そう話した。

 これによると鉄道労働者組合連合代表のヨモノ・オサム氏は、今回の事故を起こした
JR西日本について、「通常の業務を他の何よりも優先させ、社員に心理的怖れを
与えることで命令を遵守させている」と話し、JR西日本の体質を批判した。

 ヨモノ氏によるとJR西日本の運転手は、通常業務から外された後は、何日間か、
時には何ヶ月にも及ぶ「再教育」を受けなければならず、そこで上司は彼らをきつく叱り、
恥じ入らせることで自分たちの「無能さ」を認めさせるまでするのだという。
その後彼らは延々と報告書を書かされるなどの退屈な作業を強制される。

 事故現場前の駅で、40メートルのオーバーランによる90秒の遅れを出した
運転手タカミ・リュウジロウ氏は、上司にまた強く叱られるのではないかと
恐れるあまり、速度を無理に上げてしまったのだ、そうヨモノ氏は考える。

 450名以上の負傷者も出した今回の事故の原因については、まだ明らかではない。
しかし調査団は、電車が急カーブを曲がった際に、速度制限30キロオーバーの
時速100キロ以上のスピードを出していた疑いがあると報告している。
その後車体は脱線し、アパートに突っ込み今回の惨事となった。

 タカミ運転手は、それまでにオーバーランを起こしたことによる
13日間の「再訓練」を含め、3回の懲戒処分を受けていた。
昨日彼の遺体は、他の乗客の遺体と共に、事故現場の残骸から発見された。
 
 ヨモノ氏は、「事故当時、彼は懲罰を受けないようにするため、必死に遅れを
取り戻そうとしていたのだと思う。心理的な恐れによって理性的な判断が
できなかったのだろう」と言う。

 13年間の運転手キャリアを持つナカオ・タクヤ氏は、以前オーバーランを
起こした際、3ヶ月間の再教育を受けたことがある。そこで彼は1日につき、
6枚から8枚の報告書を書かされた。その際なぜオーバーランを引き起こしたのか、
乗客はどれだけ迷惑を蒙ったかなどを、詳細に報告しなければならなかった。

 「そのあと運転手の制服を着させられてですね、駅のホームに立って、
入ってくる電車にそれぞれおじぎして、運転手には安全な運転をお願いする
わけですよ。運転手のほうはみんな、一体こいつは何をやってるんだろうかと
いう目で私の方を見てくるわけですね。後になって私がその時、懲罰を受けて
いたんだということを知るというわけですわい。」

 鉄道組合は、懲罰を受けた運転手のなかには、心理的プレッシャーから
自殺するものも何人かいると報告している。

 そのなかの1人であるハットリマサキ氏は、2001年、安全確認のために
60秒間列車を停止させ、そのことで懲罰として小事務室に隔離され、
マネージャーに何度も大声で叱られた。

 それまでに20年間、ミスなく運転手を務めてきた44歳のハットリ氏は、
懲罰が始まって3日後、もう精神的に限界だと友人に伝え、翌日自宅で
首を吊って自殺しているところを発見された。

 JR西日本は、今回の事故で職業的過失の罪が疑われている。
JR西日本はJRグループのなかで唯一、社員の働きの結果を
給与に反映させるシステムを採用しているとヨモノ氏は指摘。
「JR西日本では、社員同士の競争が非常に過酷だ。
こうしたプレッシャーが事故を生みやすい」と語った。

 安全を重視することで、時間の正確さに影響がでることは確かだと
ヨモノ氏は認める。「安全性を第一に考えれば、確かに遅れは今よりも起こって
しまうでしょう」「でも月曜の事故を考えれば、どちらが優先されるべきかは
自明です」とヨモノ氏は言う。

 一方政府は今回の事故を受け、列車運転手に対しての新たな免許導入の
検討を始めた。「運転手の資格基準を鉄道会社に一任しておいて良いものか」
キタガワ・カズオ国土交通はそう語った。

                                         終。

 英語本文↓ 
Guardian Unlimited | Special reports | Union chief blames 'bullying' rail firm for Japanese train crash


 ・・・実はここで言ってるようなことは、もうとっくに日本では報道されてますか?
イギリスにいるのに、何で日本のニュースを逆輸入してるんだって感じですが、
まあそれだけこっちでもこの事故に対する関心が高いということです。

 この事故では、運転手個人の責任よりは、むしろこういう体質的な要素が
大きいんじゃないかなーと前から思ってたら、案の定でしたね。さらにこれは
JR西日本の体質というよりは、資本主義社会ニッポン全体の特質であるとも
言えそうです。「快適すぎるサービス」の裏側にも、常に目を転じたいところです。 
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テスト近づく、でも映画見る

 
 バーミンガム大学メインの建物、アストン・ウェブ・ビルディング


 春休みが終わり、いよいよテスト期間開始です。今日は午後からSocial Divisions
(階級、ジェンダー、エスニシティ)の講義がありました。5月終盤のテストに向けた、
最後のまとめ授業です。毎日朝の6時とかに寝てるので、2時からの授業だったのに
遅刻しそうになってしまいました。そろそろ生活を改めないとなー。

 講義では先生が1時間ずっと「良い答案の書き方」について話してくれました。
「一問に時間をかけすぎるな」とか、「こういう答案が高得点」とか、まあけっこう
当たり前のことを言っていたのですが、その学生へのサポート精神に感心させられました。

 テスト時間は日本の大学の2倍、3時間です。時間が長いし、1年間で習ったことを
まんべんなく聞かれるので、確かに「良い答案を書くスキル」は大切です。
Social Divisionsは2年生の授業で、みんなこれが初めて受けるテストという
わけでも無いのでしょうが、それでも熱心にノートを取っている姿が印象的でした。

  こちらの授業を受けて一番驚いたことは、講義中に寝る学生が1人もいないことです。
俺にとって日本では、お昼休み後の講義はいつもお昼寝の時間だったので、
こっちに来てから午後の授業で自分だけ眠ってしまわないようにするのには、
かなり苦労しました。

 あと1年生の時から各授業に毎週ゼミがついてたり、学生1人ずつに専用チューターが
付いていて、勉強のことを相談できたりと、イギリスの大学は研究と教育のバランスがよく
取れてるなあと感じました。

 図書館で2時間ほど勉強した後、無性に映画が見たくなったので、寮の近くの映画館へ
行きました。10個くらい上映していたのですが、Bullet Boy(銃と少年?)という作品を
見ることにしました。

 前に来た時に予告編で興味を持った作品だったのですが、ロンドンのイーストエンドを
舞台に、黒人の兄弟を主人公にした銃犯罪ドラマでした。イギリスにおける
黒人コミュニティのリアルな描写がとても良かったです。こういうエスニック・
マイノリティを題材にしたイギリス映画は貴重じゃないかなと思いました。
でも独特の英語アクセントが難しくて、話の展開を追うのがやっとでしたので、
できれば字幕つきでもう一度見たいところです。日本でも上映されないかな。
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ステレオタイプ国際比較!

 今週末はエレンの両親が彼らを訪ねるということで、恒例のサンデー・クラブは中止。
今日はその代わりとして、その場の流れで急遽「ウェンズデー・クラブ」を開催しました。
・・・といってもウー、サンジンの韓国組、アンソニー、エレンのイギリス組、それと俺の
いつものメンバーが集まって、パブをはしごした後、エレンたちの部屋で飲んで喋ってた
だけですが。

 今日はいろんな国の国民性におけるステレオタイプに話が及びました。
「ステレオタイプ」、日本語でいうと「偏見、固定観念」ですね。
実際そんなことやってる人はめったにいないのに、その国の人々の典型的な
イメージとして、その他の人々に理解されてる特徴です。
日本人は観光地でいつも写真撮ってるとか、そのたぐいのイメージです。

 ただ今日の話のなかでは、自分達の実際の体験から得たある国の人々の印象も
広くステレオタイプに含まれました。1人や2人と知り合っただけである国の人々の
国民性を全て理解できるわけなどないのですから、実体験から得た印象も広い意味で
ステレオタイプに含まれるだろうと思ったからです。

 そもそもある一国のなかにはいろんな文化や民族が含まれるわけで、
まじめに語れば「国民性」なんてものはしょせんは幻想です。まじめに
「~人は」なんて言うのは、頭の固い保守的な方々しか致しません。
でもまあそこは酒の席、多少の暴論は許されます。この先に書かれていることも
酒の席のノリで読んで頂ければ幸いです。本気でこんな乱暴なこと考えている
わけではありませんから。読んで不快になった方がいましたら、
先に謝っておきたいと思います。

 さて今日特に槍玉に挙げられたのはアメリカ人、イギリス人、韓国人、
日本人、それにドイツ人でした。

 まずアメリカ人について話が及ぶと、途端にアンソニーとエレンの舌が滑らかに
なったのには笑いました。彼らに限らず、イギリス人がアメリカ人をからかったりする
場面にはテレビなどを初め頻繁に出くわすのですが、これは両国の歴史的な事情が
関係しているのかもしれません。

 20世紀初めに世界ナンバーワンの座をアメリカに譲らざるを得なかったイギリス、
もともとは自分達の植民地だったくせにー、ふーんだ歴史も200年そこそこのくせに、
と「のび太のくせに生意気だぞ」的な屈折したジャイアニズムが、まだまだイギリス人の
なかには強く残っているのかもしれません。

 ま、彼らが挙げたアメリカ人のステレオタイプは、何でもかんでも
物事を大げさに言うとか(そのため「so~=まじ~」を連発する。
例:こないだちょーうまいポテトチップス食べたんだけど、まじやばかったんだよ!
I had so nice crisps the other day! That was so f**kin' amazing, you know!
みたいな感じ。アンソニー達的には、ポテチくらいでそんなに盛り上がるなよ、
と引いてしまう)、単純とか、まあ一般的に知られているようなものでした。

 かなり悪口になっていたので、アメリカ人の肩を持つウーは、アメリカ人は
明るくてフレンドリー、好奇心旺盛といった積極的なステレオタイプで反論、
アンソニーとエレンには、イエロー・カードが一枚ずつ出されました。

 続いてイギリス人について。これはアンソニー、エレンはやや自虐的に、いっぽう
うちら3人は外国人として感じたことをいくつか挙げました。当のイギリス人2人が
目の前にいるので、めったに悪いことは言えません。それでも出てきた意見は、
他人に対して距離を取る、イギリス人としてのプライド高い、酔っ払うと乱暴などと、
これまた悪い点ばかり。でも同時によく言われることは、いったん友達になれば
強い信頼関係が築かれる、広く浅い交友関係よりも、狭くても深い関係を好むと
いう点です。

 プライドの高さは他の文化に対する興味関心を持たせることを妨げてしまうようで、
そのためシャイさと相まって、残念ながら外国人にとっては、イギリス人と友情を
築くのは難しいだろうという結論に達しました。韓国や日本の文化に興味を持つ
オープンなエレンやアンソニーは、かなり珍しいのではないか、とのこと。
男女を問わない酔っ払いの暴力性については単なる笑い話でなく、イギリス特有の
Culture of Binge Drinking(飲みすぎ文化) として社会問題化すらしております。

 韓国人については、ウーとサンジン以外の3人は、キャラ濃い人が多い、
饒舌でエネルギッシュ、などと分析しました。確かに俺が今まで知り合ってきた
韓国人は、「韓国人」というカテゴリーではくくれないほど、それぞれ個性的でした。
「ステレオタイプがないというステレオタイプ」を、俺は韓国人に対して持って
しまっています。その意見にはエレンも賛成してくれました。

 ウー、サンジンは韓国人は気が強くて短気、熱しやすく冷めやすいと
批判的に自己分析。ウーは「韓国人は道でぶつかっても謝らない」と
例を挙げました。確かにチェジンが以前言ってたことですが、ソウルの
電車で隣に立っていた女性の髪が彼女の顔に当たったので注意したところ、
相手が謝らなかったので、持ってたペットボトルの水をわざと相手の服にかけて
「あーらごめんなさいね」とすまして言ったという彼女の武勇伝などは、
ウーたちの分析を裏付けています。

 日本人について。俺は「お上や周りの言うことに流されやすい」と指摘。
半分ステレオタイプ、半分本気です。一方彼らは「日本人の女性は控えめで
優しくて・・・」と、「古きよきニッポン」を回顧するだめなおじさん並みの妄想を
抱いていたので、そこはつい厳重注意してしまいました。あとは「もの静かで気配り上手」、
批判的には「物腰柔らかなんだけど、心の中では何考えてるのか分からん」という指摘など。
こうした点は今日に限らず、こっちにきてから色んな人に言われたイメージです。

 「観光地で写真ばっか撮ってる」という実にクラシックなステレオタイプについては、
戦後、非欧米諸国のなかで最初に海外旅行できるくらい経済成長を達成したのが日本で、
非白人なので海外でも目立つし、「日本=モノつくりの国→カメラ」というイメージと
相まって、このイメージが形成されたのかな、と考えました。

 最後にドイツ人について。俺は今までに会ってきたドイツの人たちが、みんな
人当たりのよい、優しい人たちばかりだったので、つい彼らをベタ褒めしてしまいました。
何と言っても以前ドイツ人のパーティーにお邪魔した時に、彼らがドイツ語でなく、
俺に気をつかって英語を喋ってくれたことがかなり嬉しかったのでしょう。
同じ国の人々が集まると、外国人がいても気にせず自分達のことばで喋る人が多い中、
この経験はとても俺の心に染みました。うがった見方をすると、戦後、他国に対する
反省の念を強く促され続けた結果、気配り上手の物腰マイルドな国民性が育まれたのかな、
なんて思ってしまいました。

 戦時のナチスのイメージと絡めると、エレンとアンソニーが挙げたドイツ人
ステレオタイプの例が秀逸でした。それは英語を習いたてのドイツ人の英語は、つい
軍隊式になってしまうというもの。例えば「Shall we go to a pub then?
(んじゃパブ行こっか)」と言うところを、ドイツ人は「We are going to a pub, YES?
(パブに行くんだな?)」とステートメント風に確認してしまい、
「You've got a new shirt, I like it!(新しいシャツ買ったんだ、いいね~)」と
言うところを、「You've got a new shirt,WHY?(新しいシャツを買ったのか、なぜだ?)」
と強く理由を求めてしまうなど。コメディー映画「オースティン・パワーズ」に出てくる
軍隊式に喋るドイツ人のキャラなどとかぶって笑えました。

 ・・・などと下らん会話の報告を、つい長々と書いてしまいました。
今日の内容は、実際に諸国に留学している方や、愛着を持っている方などには
噴激ものの内容であるだろうことは自覚しております。調子に乗りすぎて
色々書きすぎてしまった感があるやもしれません。あくまでしゃれとして
受け取って頂ければ幸いです。
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イギリス総選挙間近です

 来週5月5日は、イギリスの下院総選挙が実施されます。
最近の世論調査では、ブレア率いる労働党が30%後半から40%、
ハワードの保守党は30%前半、第3党の自由民主党は21%の支持を
それぞれ獲得しており、労働党有利の状況が続いています。
4月6日に総選挙実施が宣言されてから労働党は常に優勢を保っているので、
今回の勝利はほぼ確実視されています。

 ただイラク戦争以降、ブレア個人の信頼は揺らいでおり、
「ブレア労働党がどれだけ議席を減らすか」がもっぱら関心の焦点となっている
きらいがあります。

 俺は政治学専攻でないし、特に気合いを入れてこの選挙戦を追っているわけでも
ないのですが、BBCの選挙報道を見ていて、いくつか気になった点があったので
ここで書いておきたいと思います。

 まず気がつくのは、日本のNHKに比べてのBBCの選挙報道の多さです。
ここ1ヶ月ほど、日々のニュースのうち約半分の時間は選挙報道に
当てられています。年金、犯罪、医療、税金、移民、教育など、
日々異なったイシューが争点となり、BBCの分析と共にお茶の間に
届けられます。BBC分析のおかげで各党の細かい政策の違いが
比較的分かりやすく、日本よりも選挙戦を追うのは面白いです。

 しかし同時にもう1つ気づいた点は、BBCは少数政党をほぼ完全に
無視しているということです。ま、前回2001年の選挙で659議席中631議席を
主要3党が占めましたので(労働党=413 保守党=166 自民党=52)、
議席の比率上、少数政党が報道されにくいのも分かるのですが、
その他約10ほどの、政策も理念もそれぞれ異なる少数政党を完全に無視して
しまうのはやはり問題だと思います。有権者の選択肢の幅を広げるためにも、
全ての党の報道は欠かすべきでありません。

 俺がそう思うのは、とりわけブレアが首相の座に就いた1997年以降、
元来左派であった労働党の右傾化が進み、主要3党のグランド・スキームの
違いが曖昧になってきたことがあります。

 労働党はブレアが90年代後半に「ニュー・レイバー」として
労働党のあり方を大きく変えたことにより、例えば医療や教育の場における
プライベート・セクターの参入と競争原理の導入といった、保守党政権時代の
傾向を変えることなくそのまま受け継ぎました。主要3党はいずれも
パブリック・セクターの予算削減、ビジネス界に対する規制緩和といった、
経済の大枠である新自由主義の流れを前提としています。  

 大量破壊兵器が見つからなかったことでブレアに対する信頼が
大きく揺らいだイラク戦争に関しても、保守党はブレアを批判しつつも
大前提の派兵には賛成していますし、自民党は「我が党だけがイラク派兵に
反対する党である」と選挙戦では自慢していますが、戦争が始まった当時は
派兵に賛成していたという事実を忘れてはなりません。

 「反テロリズム政策」のもと、ムスリムやアラブ人に対する差別が
激しくなっている現状がありますが、労働党は「テロリストの疑いある人物は、
訴追なしで住居拘束できる」という「反テロリズム法」を議会で通し、
また保守党は不法移民問題を運動の前面に押し出し、「人種差別党」の
批判を浴びており、どっちもどっちの様相を呈しています。 
 
 貧困問題を勉強していると、労働党が政権についた以降も、
今日に至るまでイギリス国内の貧富の格差は広がっていることが分かります。
ブレアが政権に就く直前の1996年には、富の分配は底辺50%の人々に
富の7%が、トップ1%の人々に富の20%が振り分けられていました。
しかしその5年後の2001年には、この差は底辺50%に6%、
逆にトップ1%には23%が割り振られており、豊かな層と貧しい層の
差は確実に広がっています。

 ↑参考Social Trends no.35 2005 Edition/ Table 5.25
(URL貼り付けがうまくいかないので、google.ukでsocial trendsで検索してみて
ください。最初に出てくるページを開き、Social Trends35版を選択すると見られます。)
 
 バーミンガムのエスニック・マイノリティの人々の住む地区を歩いていると、
イギリスにおける貧困問題と貧富の格差が深刻であることが肌で実感できるの
ですが、選挙戦ではその点は全く焦点になっていません。そうした地域に住む
人々の利害を代表する政党もいくつかあるのですが、情報がなかなか届かない
ために、そうした地域の投票率は低いのが実状です。

 結局「主要3党、どこが勝っても同じ」という状況でありまして、
日本の二大政党の類似っぷりによく似ています。筆者個人の関心は、
もっぱら「緑の党」がどこまで票を伸ばすか、あとフラットメイトの
インド系イギリス人、マスームが熱心に応援している「リスペクト」という
新興政党に期待しているという状況です。

 「リスペクト」は「オールド・レイバー」の流れを汲みつつ、
イラク派兵反対、人種差別反対を党理念の中心に掲げる党で、政治全体の
右傾化が進むなか、バランスを取る意味でもこういった党の存在は非常に
貴重であると考えています。

 参考はBBCの「総選挙2005」のページをどうぞ。各党の政策の違いや、
これまでの総選挙の歴史、最新のニュースなどがまとめられていて、
とても充実しています。
BBC NEWS | Election 2005 | Election 2005
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効率社会ニッポン、非効率社会イギリス!?

街にて。本文とは関係ありません。



 ようやく今日、インターネットが復旧しました。大学の寮には
無線LANが繋がっていてインターネットし放題なのですが、
接続会社の不備や寮内の配線の故障で、しばしば接続が
数日間ほど途切れるのがタマに傷です。
 
 最初は「高い住居費を払ってるんだから(寮なのに月60000円!)
もっと快適なサービスを提供しろよな」と憤っていたのですが、
イギリス式「まあそのうち元にもどるよ」的なゆったりペースに
慣れると、日本の大都市のような超効率的、高速、お客さま本位の
サービス社会が、一種異様なものに思えてきます。

 つい先日、西日本で大規模な列車事故があったようですね。
BBCでもトップニュースでした。原因はまだはっきりしていないとのことですが、
もし時刻表よりも1分間遅れていたことで、運転手が無理にスピードを出して
あの惨事に繋がったのだとしたら、実に日本的な悲劇だといえます。

 イギリス、少なくともここバーミンガムでは、電車の遅れは日常茶飯事で、
2分や3分の遅れは遅れのうちに入りません。バスの場合もっと適当で、
時刻表はあってないようなもの、時には間引き運転さえあります。
来て早々驚いたことの1つに、このトランスポートの非効率さ、
適当さがありました。
 
 もう1つ日本の都市に住んでいた人が突き当たるであろうカルチャー・ショックは、
諸々のサービスにおいて、「お客さまは神様」という意識が低いことがあります。

 例えば銀行の口座を開くとき、カスタマー・サポートセンターに電話をかけるとき、
スーパーや何かで買い物をする時などなど、日々の微々たるところで、
この国の客一般に対するサービス精神の低さを感じます。

 スーパーなどでお店の人の機嫌が悪いときは、その人はとことんぶっきらぼうに
お客さんに接しますし、従業員どうしで会話が盛り上がっている時などは、
レジ打ちをのろのろとこなしつつも、楽しい会話を続けます。

 お店の閉店時間も全体的に早く、日曜日はほぼ全ての店が閉まるのはもちろんのこと、
平日も午後7時にはもうアウト、シティー・センターはゴースト・タウン化します。
またお店の人の都合によって閉店時間が早くなったりすることもしばしばで、
1回床屋さんに閉店30分前に行ったら、「今日はもうおしまい!」と
すげなく返されました。

 歩いて5分、24時間オープンのコンビニ生活が当たり前になってしまった
東京の学生には、この非効率さとサービス精神の無さは、かなりショックでした。
初めの頃は日本人の友人どうしで、ぶつぶつイギリス一般の文句を言っていたものです。

 しかししばらく暮らしてみると、違う見方も出来てくるから不思議なものです。
お客さんの目から見れば、イギリスに比べて日本のサービス充実っぷりは
そりゃあ気持ちの良いものです。ジュース一本コンビニに買いに行っただけで、
「いらっしゃいませ、今日は」「お預かりいたします」「ありがとうございました」
「またお越し下さいませ」とお店の人に笑顔つきで言ってもらえるのですから。

 しかし人は常に消費者でいるわけではありません。退職する前は、
むしろ1週間のうち労働者でいる時間の方が長いわけですから、
労働する環境というものは、自分の生活にとって「どれだけ快適なサービスを
受けられるか」と同じか、もしくはそれ以上に大切なものになってくるでしょう。

 そうした場合、例えば同じサービス業で働く場合、あえて一般化すれば
日本とイギリスのどちらの方がより働きやすいでしょうか。

 俺はコンビニで数年間バイトをしていた経験があるのですが、店長以下従業員はみな、
毎日毎日他店との競争に追い立てられ、売り上げを伸ばす工夫に迫られていました。
そのため不払いの残業、ミーティングは当たり前、バイト身分はそれでも比較的
気楽だったのですが、お店の責任を負っていた店長や社員は日々やつれ気味の顔で、
本当に気の毒でした。

 しかしどれだけ疲れていようと「お客様第一」ですので、バックルームから
お店に入った瞬間、従業員は常に笑顔と明るい声でお客さんに対して
振舞わなければいけません。まさに「日本式根性」、「顔で笑って心で泣く」を
みな実践していたのであります。ま、これだけで日本の労働環境一般を
論じることは出来ないかもしれませんが、本質は当たらずとも遠からじ、
といったところだと思います。

 顧客優先の考えのもと、働く人々の権利が二の次となってしまう状況はなにも
日本に限ったことではなく、現代の先進国にすべからく共通しています。
イギリスとてその例外ではありません。しかしその中でも日本の状況は
やや極端なものだと思います。過労死、自殺がここまで多い国は他にありません。
そりゃGDPも世界2位になれるってもんです。

 イギリスと日本を比較して思うのは、イギリスにおける働く人々の自由度の
高さです。彼らは自分の言葉を、自分のペースを、自分の余暇時間を(あくまで
比較の問題ですが)より守れているように思えます。そう考えれば、お店の人が
とろとろ仕事しててもぶっきらぼうでも、大目に見られるようになります。
でもバスが来ないのは相変わらず腹立つけど。 
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フィッシュ・アンド・チップスを食べる

 バーミンガム大学前の通りに、「アダムス・プレイス」というファストフード店があります。ソーセージやフライドチキン、ハンバーガーなどを取り扱っていて、いつも学生や地元民で溢れている人気のお店なのですが、今日、そこにイギリスが誇る国民的料理、フィッシュ・アンド・チップスを食べに行ってきました。

 この「アダムス」、筆者には特別な思い出があります。
それは去年の8月、バーミンガムに着いた次の日に、イギリスで初めて入って
ご飯を食べたお店がここだったのです。

 その時も「イギリスといえばフィッシュ・アンド・チップスだろ!」と思って
注文したのですが、油で揚げられ、ぶ厚い衣に包まれた白身魚と、
日本のファストフード店のポテト(イギリスではチップスと呼びます)が
子供だましに思えてくるような膨大な量のチップスが目の前に出され、
黄金色にさんさんと輝くその姿はなかなか美しくもあったのですが、
食べても食べてもチップスはなくならないし、肝心のフィッシュも
油がぎとぎとで「魚」というよりは「油」を食べているといった感じで、
半分も食べないところで胸焼けしてダウンしてしまいました。

 「何でも揚げりゃいいってもんじゃないぞ!」そう捨て台詞を残して
店を後にした当時の自分は、まだイギリス文化にはそぐわない、繊細な感性の
持ち主だったのでしょう。

 そういう苦い思い出を持つ「アダムス」でしたが、その後なぜかこの店の魅力に
取りつかれ、一時期は週に2回は通うほどの常連になってしまいました。
しかしその原因の多くは、「他の飲食店と比較すればまだアダムスの方がマシ!」という
消極的理由からです。

 では「他の飲食店」がどれほどのものなのか、それはいずれ、
「イギリス料理を考察するの巻」でまとめて書きたいと思いますので、
ここでは「アダムス」の積極的利点をいくつか揚げたい、失礼、挙げたいと思います。

 「アダムス」の魅力のひとつはチップスのおいしさです。
イギリスで外食をすると、ほとんどの場合つけ合せにチップスが出てくるのですが
(日本食でいえば味噌汁に相当するでしょう、チップスはまさに
イギリス食文化の髄なのです)、このチップスの味がお店によって全く違うのです。

 イギリスではチップスにビネガーと塩をかけてお客さんに出すのですが、はじめは
「えっポテトに酢!?」と思ってしまった自分も、慣れると酢でポテト全体が柔らかく
なったところに塩が染み込んで、酢のすっぱさと塩のしょっぱさ、そこに芋のほくほくかんが
渾然一体となった、独特の味のハーモニーを楽しむことが出来るようになりました。
アダムスのポテトは比較的ぶ厚いために、芋、塩、酢の混ざり具合が絶妙なのです。

 バーガーのうまさもなかなかのものです。チキン・バーガー、ドナー・バーガーを
注文すると、カウンターの後ろにある巨大な肉の塊から店員さんが電気のこぎりを
使って豪快に肉を切り落とし、野菜とともにパンに挟んでお客さんに出されます。
その肉の巨塔は常にヒーターで温められていますので、肉の香ばしさと肉汁の旨みを
余すことなく堪能することができるのです。 

 あと値段の安さも魅力のひとつでしょうか。イギリスでは、日本によくある
500円くらいで食べられる安価な外食産業(牛丼屋とか定食屋とか)は
あまり発達しておりません。マ○ドナルドやケ○タッキーのバリューセットも、
値段は日本の約1.5倍から2倍ですので、貧乏学生にはなかなか手が届きません。

 よってイギリスで一番安い飲食店は、グローバル企業でない、地元の
ファスト・フード店なのですが、「アダムス」はそのなかでも、ダントツに値段が安いのです。
フィッシュ・アンド・チップスは2ポンド(約400円)ですし、あと俺がよく利用する
バリュー・セットの「ハンバーガー&チップス」の組み合わせも、チキン・バーガー、
ビーフ・バーガー、ドナー・バーガー(羊肉)といったバーガーの種類に関わらず、
全て一律2ポンドです。

 量の多さも魅力的ですが、ま、これはアダムスに限ったことではありません。
イギリスではどのファスト・フード店でも、日本人の胃袋を超越したキングサイズで
食べ物が出てきます(観光地は除く)。何といってもチップスの量が日本の
ファスト・フード店のポテトMサイズのおよそ4倍はありますし、
バーガーのサイズも一回り大きい、アングロ・サクソン・フレンドリーなのです。
ひとたび食べれば夕飯はいらず、カロリー補給はばっちりですので、
お金に余裕のない学生にとってはありがたい限りです。

 実はこの1年間、アダムスに通い続けたとはいえ、挑戦したメニューは
「バーガー&チップス」のセットのみでした。約50種類のメニューが
あるにはあるのですが、注文したものがまずかった場合の悲惨さは日本の
比ではありませんので、食に関してはこの1年間、保守を貫いてきました。

 しかし、来て早々に受けたイギリスの洗礼から何とか逃れたい、
トラウマを克服したい、その思いを胸に、今日ついに俺はアダムスでフィッシュ・
アンド・チップスに再び挑んだのです。

 店に入って「フィッシュ・アンド・チップスください」と注文したところ、
「スモールね?」と聞かれました。えっ、ラージとスモールがあったんだっけと
困惑しつつ、当然「スモールで」と答えたところ、値段もサイズも去年の8月に
注文したものと全く一緒のものが出てきました。。。このうえにラージサイズも
あるのかよ。。。
     
 しかし俺が注文するやいなや、店員さんはさっと約50センチ四方の紙を取り出して、
塵取りのようなものでチップスをがっとかき込んでその紙に乗っけ、あらかじめ
保温機で温められていたフィッシュを取り出し、チップスと一緒に紙でくるくると巻いて、
はいどーぞとくれました。注文してから出されるまで、その間約30秒の早業、
見ていてほれぼれする職人技です。

 食べてみると、これがおいしい!チップスのおいしさは言うに及ばず、
フィッシュも油のさくさく具合と白身魚が絶妙にマッチしていました。
一緒に買った缶のコーラとも良く合います。お腹が空いていたので量もちょうど
よかったのです。1年前の悲劇がまるで嘘のようでした。俺は鍛えられたんだ!
その満足感を胸に抱きつつ、俺はアダムスを後にしたのでした。

 しかしこうして書いてみて、改めて思い知らされること・・・ 

 トラウマを無事克服できたのは良いけど・・・







 間違いなく、この1年間で俺の味覚と胃袋はおかしくなってることでしょう。

・・・恐るべしイギリス料理。体重計に乗るのが怖い今日この頃であります。
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韓国人のウー、イラク人モハメッドを訪ねる

 今日は部屋で勉強してたら、韓国人のウーから連絡がありました。試験勉強の気晴らしにうちまで散歩に来るとのこと。俺の寮の周りは、湖や林や芝生なんかがあって、気持ちの良い散歩コースなのです。

 5月の試験期間に向けて、今はみな、勉強に追われています。
俺は正規の学生ではないのでそんなにプレッシャーはないのですが、
フラットメイトはみな必死です。

 特に俺の隣の部屋に住むイラクのモハメッド。
彼は将来、医師になることを目指す医学部生ですが、
1年生の今からその勉強量はハンパではありません。

 俺は今まであんなに勉強する人間を見たことがありません、
特にイースター休みに入ってからの彼はものすごいのです。
1日最低12時間は勉強しているとのこと。食べるときと
寝るとき以外は、常に机に向かっています。俺は大学受験生の時が
一番勉強したような気がしますが、それでも6時間くらいだったなあ。
何でもテストが9つもあり、とても復習が追いつかないらしいです。

 モハメッドは俺と同じく夜型人間で、毎日朝の6時ごろ寝るのですが、
夜3時くらいになると俺達以外、誰も起きてないので、よく一緒に
夜食を食べたりします。

 彼のバグダッド時代の話は長くなるのでまた別の機会に書きますが、
父親に躾けられたことで、少年時代にすでに禁欲的な生活スタイルには
慣れたとのこと。その後いろいろあり17歳で家族と別れて単身イギリスに来、
2年間の高校生活で英語を習得し、卒業後大学の進学費を稼ぐために2年間働き、
それで今ようやくバ大の医学部1年生になったという、まさに苦学人生そのものです。

 彼が働いていた頃はちょうど9.11後で、イギリスでもアラブ人差別が
激しくなった頃です。そのためモハメッドも職場で、様々な差別を受けてきた
ようです。湾岸戦争以降のバグダッドでの彼の人生は聞くも涙なのですが、
イギリスに来てからの職場差別を蒙っていた時の話も、それに勝るとも劣りません。

 外国人として、社会人としてすでに社会の仕組みを知り尽くしたモハメッド。
そのため彼のものの考え方は非常に大人びていて、彼はまだ21歳なのですが、
いつもずっと年上の人と話しているような気分になります。本から社会学を習っただけの
俺などよりよっぽど社会のことをよく知っていて、とても鋭い観察眼を持っています。
 
 モハメッドの生き方には、今日彼とちょっと話しただけのウーにも大きな刺激を
与えたようで、「忘れていた勉強へのひたむきな情熱を思い出した」みたいなことを
言ってました。

 モハメッドをはじめ、日本と全く違う国で、自分と全く違う生き方を
してきた人間が回りにいると、自分の人生を相対化し見つめなおす
きっかけを与えてくれます。モハメッドは俺にとって、留学生活で出会った
最良の先生の1人だと言えます。(写真はウーとモハメッドのツーショット)
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あなたは人種差別主義者ですか?

 というどっきりするような題名の記事が、今日のBBCのHPに載ってました。
以前アメリカで「5分間で分かるあなたの差別意識」というWebテストが開発されて
物議を醸したそうですが、今回そのイギリスバージョンが開発され、国内で論議を
呼んでいるとのこと。

 量れる項目は、黒人に対する差別意識を初め、アジア人差別、女性差別、
同性愛差別、年齢差別、体重差別の6項目で、このうち黒人差別についての
項目が、英米で特に話題になっているとのことです。

 ハーバード大やワシントン大の心理学研究者が1998年に共同で開発したという
このテスト、すでにアメリカで200万人以上、イギリスではこの半年間で約25000人が
体験したとのこと。

 記事のなかでは、出てきた結果が自分の普段の心がけと余りに異なっていて、
ショックを受けたという学生や教授のコメントなどが紹介されていました。
結果に憤慨して、開発者に脅迫状まで送りつけた人もいるそうな。

 なんでもこのテスト、普段は表に出ない潜在意識を量るというもので、
中身は至ってシンプルです。キーボード上の2つのキーだけを使って、画面上に1つずつ
出てくる「良い言葉=joy,love,peaceなど」と「悪い言葉=nasty,terrible,evilなど」を
それぞれ分類し、その後同様に同じ分類を、例えば「黒人差別意識度テスト」だったら、
黒人と白人の顔のイメージの間で行っていきます。

 最初は言葉と顔の分類をそれぞれ別々に行うので非常に簡単なのですが、
次第に「良い言葉、あるいは白人の顔が出てきた場合はEのキーを、
悪い言葉、あるいは黒人の顔が出てきた場合はIのキーを押して下さい」、
同様に「良い言葉もしくは黒人の顔→Eキー 悪い言葉もしくは白人の顔→Iキー」
という指示のもと、言葉と顔がランダムに出てくるようになります。

 「なるべく速く答えて下さい」という指示のもと、各分類わけに費やした時間から、
被験者の潜在的な差別意識が4段階(無意識の偏見が①ほとんどない 
②ややある ③適度にある ④強くある)で量れるとのことです。

 俺はこの手の心理テストのたぐいはいつも馬鹿馬鹿しいと思ってしまうのですが、
テーマがとても興味深かったし、何といっても心理学の専門家が開発したものだと
いうことでいわゆる「ココロジー」とは違って信憑性は高いだろうと思い、リンクから
飛んで黒人差別、女性差別、同性愛差別度テストの3つを自分もやってみました。

 前述したように、黒人差別テストは「黒人」のイメージと「悪い言葉」のイメージを
無意識にリンクさせていないかを量り、同様に女性差別テストの場合は、
女性=人文科学的 男性=自然科学的 といった偏見がどれだけあるかを、
また同性愛差別の場合は、黒人差別テストと同様「同性愛」と「悪い言葉」を
どれだけリンクさせてしまっているかを量ります。

 そして結果はどうだったかというと、黒人の人々に対する偏見の度合いは、
③の「適度にある」でした。常日頃リベラルを心がけている筆者、これには少なからず
ショックを受けました。

 「人種」なんて概念は歴史的に作られたもので、本質的な根拠がないということは
大学で勉強しました。だから人種差別は根本的に間違っているということも、
頭では分かっていました。でも潜在意識の部分では、やっぱり白人至上主義が
染み付いてしまっているのか、と思いました。

 でもよく考えば、例えば夜1人で道を歩いていて、前から黒人の男の人が
歩いてきた場合と白人の男の人が歩いてきた場合とでは、緊張する度合いは
確かに黒人の男の人に対しての方が自分は大きいのです。

 しかしさらによく考えれば、今まで何も危険なことなどされたことはないし、
たまに俺がアジア人ということでからかってくるような人はいても、黒人の人に
そういった不快なことをされたことは一度もありません。むしろ俺が今まで個人的に
知り合ってきた黒人の人たちは、みな優しくて気の良い人たちばかりでした。
それでも持ってしまう偏見。自分の心の奥深くに隠れているであろう
差別意識を考えると、ぞっとします。こうした無意識はとことん掘り出して、
どうしてそう感じてしまうのかを、徹底的に考えていかなければなりません。

 残りの2つのうち、女性に対する偏見については、ありがたいことに
「①ほとんどない」でした。大学1年生の時に、外科医という言葉を
聞いて即座に男性を思い浮かべたことを知人に注意され、自分の偏見を
反省したことがあったのですが、あの頃に比べれば成長したもんです。
    
 やや意外だったのは、同性愛に対する偏見について。結果は逆②の、
「異性愛=悪いもの 同性愛=良いものという偏見がややある」という
ものでした。思うにこれは社会学をやっていることが大きいのかもしれません。

 家族社会学などを勉強していると、「女らしさ」「男らしさ」に
がんじがらめになった異性愛カップルや夫婦関係のひずみをよく目にしますので、
制度や規範に縛られない「純粋な関係性」を作ることが比較的可能な
同性愛のカップルの方に、より良いイメージを持ってしまっているのかもしれません。
(しかしもちろん同性愛、両性愛の人々の関係性においても、「女らしさ」
「男らしさ」といった規範と、それに伴った上下関係等があることは事実です。)

 このテストの妥当性がどうあれ、人の持つ特性のうち、差別意識ほど醜いものは
ありません。頭が柔らかい今のうちに差別意識に繋がる偏見、固定観念を取り払って、
やな大人にならないように気をつけていきたいと思いました。

 今回取り上げたBBCの記事URLは
BBC NEWS | Magazine | Are you a racist? The test that claims to know 
です。イギリスでの反応、テストに対する批判などが読めます。

また上のページからも飛べますが、テストのページは
302 Found
 
興味がある方はぜひどうぞ。テストの方は中学英語レベルで大丈夫だと思います。
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英語について~今日はとりとめがありませんの巻

 
 近くのパブで食べたランチ。


 昨日はエディンバラで勉強していたサチコさんという方のお別れ会がありました。サチコさんは今年初めにエディンバラに引っ越す前はバーミンガム大学で勉強をされており、今回帰国するということで、その前にバーミンガムにも立ち寄って下さいました。3ヶ月ぶりの再会と同時にお別れ会でもあったわけです。
 
 俺達日本人は帰国してもサチコさんに簡単にお会いできますが、
海外の友達はお互いになかなかもう会えなくなる訳で、お別れのときは
やはりみんなとても名残惜しそうでした。

 来る前は長く感じた1年間も、過ぎてみればあっという間です。
すでに一緒の時期にきた友達の何人かは国に帰ってしまいましたし、
あと2ヶ月ちょい経てば、いよいよ自分の番です。自分は果たして
有意義な留学生活を過ごせているのか、正直まだよく分かりません。

 こちらに来る前は、留学に向けていくつかの目標がありました。
まずは何よりも英語です。日本にいた頃は英語コンプレックスが
あって、そのため大学に入った後は、英語よりも主にドイツ語を
勉強していました。でも社会学を勉強するには英語力は必要不可欠
ってことが2年生、3年生となるにつれだんだん分かってきました。
運良くこの留学の機会を手にすることができ、よし、まず何よりも
英語を頑張ろうと思ったわけです。

 でもやっぱり難しいです、英語は。来る前は1年間いれば、
ひょっとしてもう英語マスター!?なんて甘いこと考えてましたが、
とてもとても。相変わらず字幕なしでは映画は見られませんし、
あと何よりも自分のボキャ貧を日々痛感しています。

 「日本人は英語が苦手」なんて昔っから言われたりしますが、
やっぱり日本語が英語と全然違う言語だってことが大きいんだと思います。

 だって「あービールが飲みたいなあ」が「Oh I want to drink beer」になるわけで、
これを英語の順序のまま日本語に戻すと「あー」「私は」「たい」「飲み」「ビールが」。
後ろから読むと、ちょうど日本語の順序になるわけですね。まさに正反対。
文章が長くなると、さらにややこしくなります。

 結局日本語の頭のままで英語を聞いたり話したりすることは、
不可能なんだろうと思います。たくさん聞いてたくさん話して、
頭を英語モードに切り替えられるようにすること。
これには近道なんてもんはありません。ですので、ちまたによくある
「1日10分聞き流すだけで英語が分かってくる」系の甘い言葉ほど
胡散臭いものはありません。

 その点自分の国に近い言葉は、やっぱり習得するのがずっと容易なようです。
たとえば「フランス語なんて高校で習っただけ」っていうアンソニーは、
フランス人どうしの会話を聞いてもかなりの程度理解できるようですし、
韓国でいま勉強している日本人の友達も、日本にいた頃から韓国語はペラペーラでした。

 韓国語は日本語と文法がほとんど同じだし、似てる単語もたくさんあるので、
「英語モードの脳を作る」なんて面倒なことしなくても良いのでしょう。
例えば「約束」は「Yaksok」だし、「私は学校へいきます」は
「ナヌンハッキョへカムニダ」=「ナ(私) ヌン(は) ハッキョ(学校) へ(へ)
カム(行き) ニダ(ます)」で、語順は全く同じ。これは楽です。
ヨン様効果で韓国語を始めるおばさま方が激増したとのことですが、
英語やフランス語に比べれば、韓国語を途中で挫折してしまう人は
ずっと少ないのではないでしょうか。現地が近いから、旅行したりして
モチベーションを保つことも容易ですしね。

 ・・・といつも間にか英語の話からまた「韓流」へとそれてしまいました。
まあそんなこんなで英語には相変わらず苦労しているということです。
ただまあ、さすがにもう8ヶ月以上いるわけで、最近ようやく上達してきたかなー
なんて自分でも思えるようになりました。最初の半年くらいは、
1日ごとに自分の語学力のアップダウンを感じたりして、一喜一憂の毎日だったのですが、
最近はちょっと安定してきたのかも。こうやって日本語でブログを書くのも、
以前だったら「語学に支障がでちゃう」とか考えてやらなかったのでしょうが、
そうやって肩肘張ってたころに比べると、最近は生活にヨユーがでてきたような気がします。
(ここ数日はヨユーというよりは、単なる遊びすぎですが。)
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反日運動と反日感情

 最近、中国国内で反日運動がかまびすしいようですね。
イギリスのBBCでも毎日かなり大きく報道され、海の向こうから
その規模の大きさが伝わってきます。

 2月に「竹島の日」条例制定によって韓国の人々を怒らせたこと、
先の教科書検定で戦時の記述を大幅に削除したこと、そこに国連の
常任理事国入りを日本が改めて希望したことなどが直接の原因になって、
中国でのこの騒ぎが起こったようですね。

 この反日運動は、中国を初めとする東アジア諸国において、
60年経っても日本がいかに未だ国際的信頼を回復していないか、
をよく示している事件だと思います。
 
 先日の日記では日本とドイツを一緒くたにして、どちらの国にとっても
戦後はまだ終わっていないということを書きましたが、
比較で言えばドイツの方が日本に比べて、より周辺諸国に対する
信頼を回復しているように思えます。この辺りは戦後の歴史のなかで、
ドイツが他のヨーロッパ諸国から補償、謝罪の圧倒的なプレッシャーを受けてきたのに
対して、日本はアメリカによって反共の砦と位置づけられてきたために、有利な条件の
もとで周辺諸国と和解を進めることができたという歴史的な違いが大きいのでしょう。 

 そのため国家レベルでは補償、和解は決着がついているのかもしれませんが
(この辺も厳密に言えば怪しげですが)、民衆レベルでは慰安婦問題を初め、
韓国や中国の人々の思いは納得とはほど遠い状態にあることが分かります。
彼らにとっては戦後の日本政府の態度は、とても「心をいれかえた」と
いうほどのものではないのでしょう。

 今日韓国人のウーとそのことについて少し話しました。彼の話では、
植民地下の体験ももちろんのこと、それ以上に韓国の人々が
強く憂いているのは、日本の戦後の態度であるということです。

 彼の話では、韓国にも日本と将来友好的な関係を築いていきたいと
強く願っている人はたくさんいる、過去に拘泥することが建設的でない
ということも彼らはよく分かっている、しかし将来の関係建設の前提条件として、
日本が先のファシズムを心から反省し、日本は変わったということを、
国際社会に態度で示すことが必要であると韓国の人々は考えているとのことでした。

 しかし実際に日本政府が行っていることはどうか。軍隊は持たないと
憲法では言っておきながら、実際は韓国以上に強大な軍事力を持っているし、
首相は靖国神社に堂々と参拝するし、慰安婦問題は正当化されたり、
またはその存在自体否定されたりするし、また先のワールドカップ以来、
ようやくお互いの文化交流が活発化してきたと思ったら、その矢先に
「竹島の日」などというものを制定し、教科書検定では日本が戦時下に
行ったことを肯定するような記述がそのまま通るし、これで
「心を入れかえた」と言われて信用しろという方が無理な話だ、
そうウーに言われて、反論のしようがありませんでした。

 日本にいると気づきにくいことは、日本の周りの国の人々は、
未だ日本に強い警戒心を抱いているということです。アメリカの肝いりで
経済大国に転じた日本、それがいつまた軍事大国に戻ってもおかしくない、
そういった恐れを東アジアの人々は抱いています。

 なぜ日本が嫌われるのか、それを考えることなしに
反日運動を行う中国人、韓国人に対してむやみに反感を抱いてしまうことは、
アメリカにおけるブッシュ大統領の「対テロ政策」支持者の思考と根本は似ています。
両者に共通している点は、「なぜ自分たちが嫌われるのか」を考えようとすることの放棄、
すなわち自己反省の放棄と、同時に相手をとにかく異常なものとして見ようとすること、
すなわち他者理解の試みの放棄です。

 他者理解と自己反省の放棄のもと、9.11以降のアメリカが終わりなき戦争と
ムスリム差別へと自らを駆り立てたのと同様、果たして日本においてもまた、
憲法9条改正、さらに中国人、朝鮮人差別等が進んでしまうのか。   

 自民党にとっては、この一連の流れで国内のナショナリズムが煽られることは、
憲法改正という党是の達成にとっては非常に都合の良いことでしょう。
俺は北朝鮮脅威論も含め、周辺諸国との最近の摩擦は、ある程度
憲法9条改正に向けた国民感情操作という面も強いのではないか、と推測しています。
この先、日本国内の世論がどういう方向に向かうのかに注目したいと思います。 
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