日本と韓国と朝鮮の友好をすすめます・・日朝協会です。アジアと世界情勢を観る。

日本と韓国と朝鮮の歴史・現在から、
平和な未来を切りひらくために....
ご入会ください。1ケ月¥500

「検察の捜査の結果、安倍晋三後援会の政治資金収支報告書を訂正しなければならなくなり、それに合わせて形だけの答弁の訂正と形だけの謝罪を行ったにすぎない。あんな説明で誰が納得できるのか」と批判しました。

2020-12-26 | しんぶん赤旗より
訂正・謝罪 形だけ
安倍前首相答弁 田村政策委員長が会見


 日本共産党の田村智子政策委員長は25日、国会内で記者会見し、自身も質問に立った衆参両院の議院運営委員会での安倍晋三前首相の答弁について、「検察の捜査の結果、安倍晋三後援会の政治資金収支報告書を訂正しなければならなくなり、それに合わせて形だけの答弁の訂正と形だけの謝罪を行ったにすぎない。あんな説明で誰が納得できるのか」と批判しました。

 田村氏は、「事実と異なる答弁」を「訂正したい」との安倍氏の申し出による質疑だったが、「答弁のどこが事実と異なり、何が事実で、どう訂正するのかはほとんど何も語られていないに等しい」と批判しました。

 その上で、安倍氏がホテルの領収書は「晋和会」(安倍氏の資金管理団体)宛てだったと認めたことについて、安倍氏は従来、「個々の参加者」が契約者だと言い張っていたが、「実態としては安倍氏が代表者たる晋和会が主催者・契約者そのものだった」と強調。これにより「資金の出どころが新たな疑問点になった」と語りました。

 安倍氏が24日の会見では補填(ほてん)の原資は「自分の預金」と述べながら、質疑では「立て替え」だと言い換えたことについて、田村氏は「誰が負担すべきものを立て替えたのかと質問したが、このシンプルな質問に即答できなかった」と強調。私費による支出なら、有権者への利益供与になると指摘しました。

 その上で、前夜祭の疑惑は「桜を見る会」とセットだと指摘。招待者決定への安倍氏側の関与も含めた全貌解明のために、予算委員会で再質問すべきだと主張しました。

「指導力がないどころか、コロナ対策は後手後手、右往左往、迷走で、全く『指導』などできていない。『Go To』事業の見直しも都道府県知事に丸投げの無責任状態だ。

2020-12-08 | しんぶん赤旗より
コロナで迷走、疑惑にふた
内閣支持率急落は当然
小池氏会見


 日本共産党の小池晃書記局長は7日、国会内での記者会見で、各紙の世論調査で菅内閣の支持率が急落していることへの受け止めを問われ、「当然のことではないか」として、新型コロナウイルス対策での遅れや迷走、「桜を見る会」前夜祭をめぐる安倍晋三前首相の疑惑の解明に背を向ける菅首相の対応が要因だと強調しました。

 小池氏は、「共同」「読売」などの世論調査で「首相に指導力がない」が増えていると指摘。「指導力がないどころか、コロナ対策は後手後手、右往左往、迷走で、全く『指導』などできていない。『Go To』事業の見直しも都道府県知事に丸投げの無責任状態だ。こうしたことに対する国民の不安、怒りがあるのではないか」と述べました。

 あわせて、「桜を見る会」をめぐる疑惑が急速に広がっているとして、「安倍前首相の証人喚問要求にも応えず、菅首相自らの国会答弁の責任も取らずに国会を強制終了した。疑惑にふたをすると言われても仕方がないような対応だ」と批判。「国民に対する説明から逃げ回り、コロナ対応での迷走を繰り返す姿に多くの国民が失望し、不支持という声をあげているのではないか。菅首相が『そうではない』というのであれば、国会を早期に開いて国民の疑問に正面から答えるべきだ」と語りました。

福山さんは、昨年春の京都府知事選で、全府で44%、市内では46・5%を獲得しました。みなさん、がんばれば勝てますよ(拍手)。みんなで勝とうではありませんか(拍手)。

2019-12-15 | しんぶん赤旗より
京都市長選 志位委員長の訴え


 京都市で行われた「つなぐ京都2020」大街頭演説(14日)での日本共産党の志位和夫委員長の訴え(全文)は次の通りです。



(写真)訴える志位和夫委員長=14日、京都市下京区

 京都のみなさん、こんにちは(「こんにちは」の声、拍手)。日本共産党の志位和夫です。
「普通の市民が政治をつくる」――共同の輪を広げ、必ず市長に

 福山和人さんは、私は、熱いハートをもった最強・最高の候補者だと思います。(拍手)

 「普通の市民が政治をつくる」、このことを理念に貫いてこられた。政治は一握りの大金持ちや官僚のものじゃない、99%の市民のものであり、普通の市民こそが政治をつくる主人公だ――この信念を貫いているからこそ、福山和人さんのまわりには、立場の違いを超えて市民の共同の輪が、日に日に広がっているのではないでしょうか。(拍手)

 福山さんは、昨年春の京都府知事選で、全府で44%、市内では46・5%を獲得しました。みなさん、がんばれば勝てますよ(拍手)。みんなで勝とうではありませんか(拍手)。共同の輪を広げに広げ、必ず市長になってもらおうではありませんか。(大きな拍手)
くらし第一の市政――「くらし応援すぐやるパッケージ」の実現を

 私は、三つのことを訴えたいと思います。

 第一は、福山和人さんでくらし第一の京都市政をつくろうということです。

 私は、自治体の仕事は一言でいうことができると思います。「住民福祉の増進」です(拍手)。地方自治法に書いてあります。

 この点でいまの市長は大きな問題があると思います。そして福山さんの政策を拝見して、これはいいと思ったのは、「くらし応援すぐやるパッケージ」。大賛成です。
全員制の温かい中学校給食の実現を

 たとえば、全員制の温かい中学校給食を実現することは、みなさんの願いではないでしょうか。(拍手)

 京都市の中学校給食は、選択制のデリバリー弁当です。京都府下には26の自治体がありますが、全員制の給食を実施せず、計画もないのは、京都市と亀岡市だけ。あとは全部やっている。

 京都市では選択制のもとで、生徒さんの4人に1人しか給食を食べていない。選択制で一番悪いのは、子どもさんの中に差別と分断をつくることだと思います(拍手)。給食は教育の一部です。教育に差別は絶対にあってはならないのではないでしょうか(拍手)。ですから、給食というのは全員制が当たり前です。もっといえば、憲法に「義務教育は無償」(第26条)と書いてあるのですから、全員制で無償が当たり前ではないでしょうか。(大きな拍手)

 ところが、いまの京都市政は、「お金がかかる」「他に優先すべき課題がある」といって、やろうとしない。「お金がかかる」というけれど、京都市と亀岡市以外はみんなやっているじゃないですか。京都市だけにお金がないなどという理屈が通るわけがありません。

 ないのはお金じゃない。やる気じゃないですか(「そうだ」の声、拍手)。福山さんに市長になってもらって、中学生全員に温かい給食を実現しようではありませんか。(大きな拍手)
子どもの医療費――中3まで完全無料化に

 それから、子どもの医療費助成の問題も大問題だと思います。

 京都府の制度として中学校3年生までの助成制度がつくられていますが、月1500円の自己負担金があります。そこで京都府下26自治体のうち、京都市を除く25自治体では独自の上乗せを行い、自己負担金を無料にするとか、月200円に抑えるとか、みんな抑えています。京都市だけ、独自の上乗せをやらない。

 どうしてやらないのかと聞きますと、「子どもの医療費の無料化は、国の責任だから、市の仕事ではない」というんですよ。たしかに国の制度として、子ども医療費の無料化は必要だと思います。しかし、国がやらないならば、独自にやってこそ自治体といえるのではないですか。(拍手)

 実は、府の制度で自己負担が月1500円といいましたけれども、8月までは月3000円だった。9月から1500円になったんです。どうして変わったかといいますと、昨年の春の府知事選で福山さんが大善戦をしたから1500円に下がったんです(拍手)。「選挙に負けたが実績はつくった」。今度は、これにとどまらないで、選挙に勝って中学校3年生までの医療費を完全無料にしようではありませんか。(大きな拍手)
やる気も知恵もある人に市長を代わってもらおう

 「くらし応援すぐやるパッケージ」を拝見しますと、子育て、若者、高齢者、地域経済など、10項目の本当に切実な願いがぎゅっとつまっています。市の予算の1%を使えばできるそうです。

 みなさん、やる気も知恵もある人に市長を代わってもらおうじゃないですか。(大きな拍手)
まち壊しを止め、歴史文化都市・京都のまちを次世代に

 第二に訴えたいのは、福山和人さんで京都のまちを守ろうということです。

 いま京都では、市内のいたるところにホテルや簡易宿泊所が建設され、京都のまちが壊され、人が住めないまちにされつつあるとうかがいました。

 とりわけひどいと思うのは、世界遺産の仁和寺の、あの二王門の前に大型ホテルを建設するというんです。

 号令をかけたのは誰ですか。安倍政権です。直接の責任者は菅官房長官です。インバウンド(訪日外国人)を増やせ、ホテルを建てろという号令を全国の自治体にかけました。

 それに真っ先に応えたのが京都市なんです。小学校の跡地などをホテル用地に提供しました。さらに国内外のホテル業者に特別の便宜を図るための特別の誘致制度をつくりました。(「上質宿泊施設誘致制度」)

 仁和寺の門前の大型ホテル計画は、この誘致制度の適用第1号だといいます。世界遺産ですから、本来ならば景観を守らないといけません。バッファーゾーンという緩衝地帯があって、本来ならばさまざまな規制がかかる土地に、大型ホテルを建て、仁和寺の景観を台無しにしようという、こんな反文明的なことを許してはなりません。(大きな拍手)

 仁和寺の桜は「御室(おむろ)桜」と呼ばれております。吉野と並ぶ桜の名勝ですね。菅官房長官は「桜は見たくない」といったそうですよ(笑い)。菅さんが桜を見たくないのは勝手だけれど、仁和寺の「御室桜」の景観を壊すことは絶対に認めるわけにはまいりません。(拍手)

 福山和人さんで、歴史文化都市・京都のまちを次世代に引き継ごうではありませんか。(大きな拍手)
福山さんの勝利で、安倍政治に引導を渡し、京都から日本の政治に春を呼ぼう

 第三に訴えたいのは、福山勝利でこの京都から日本の政治を変えようということです。
「桜」疑惑――今度ばかりは逃げ切れない

 いま国政では「桜を見る会」疑惑が沸騰しております。私は、安倍首相は、将棋で言えばとっくに詰んでいる。二重三重に「詰み」だと思いますよ。今度ばかりは逃げ切れません。逃げさせてはなりません。(拍手)

 「桜」疑惑は、「モリカケ」疑惑と構図がそっくりですが、同時に、私は違いが三つあると思います。

 一つは「モリカケ」の場合、関係者は少数だった。ところが今回は、数千人もの関係者がいます。隠しとおせるわけがないじゃないですか。

 二つ目に、今度の疑惑にかかわって、「ジャパンライフ」――悪徳マルチ商法を行ってきた会社による被害者が7000人もいる。実際の被害で苦しんでいる方が7000人もいる。

 三つ目に、首相に直結した法律違反の疑惑が、政治資金規正法、公職選挙法、財政法、公文書管理法など、たくさんある。

 私たちは閉会中も追及を続けます。通常国会になったら冒頭から徹底的に野党共闘で追及してまいります。(拍手)

 安倍内閣を総辞職に追い込むまでがんばり抜く決意を申し上げたいと思います。(大きな拍手)
国政での野党共闘と、京都での勝利で、日本の政治を変えよう

 そしてみなさん、通常国会が始まるのは、1月20日といわれています。京都市長選が始まるのは1月19日。同時並行ではありませんか。通常国会の冒頭、福山さんが勝てば、その結果は国政にまさに衝撃を与えることになります。

 国政での野党共闘と、福山和人さんの勝利で、安倍政治に引導を渡して、新しい政治をつくろうではりませんか。(「そうだ」の声、拍手)

 「福が来る」という旗が立っております。「福」をみんなの力でこの京都に呼びこみましょう。

 京都から日本の政治に春を呼ぶ素晴らしい勝利を、みんなの力で勝ち取ることを呼びかけ、私たちも共闘の一翼を担ってがんばり抜く決意を申し上げて、訴えとします。(大きな拍手)


植民地支配への批判的視点を欠いた日本のメディアの弱点は、その後も日韓間で問題が起きるたびに表面化します。戦後70年に当たっての安倍首相談話でもその体質が現れます。

2019-09-18 | しんぶん赤旗より
いま振りかえる 植民地支配 歴史と実態 番外編
日本メディアはどう伝えてきたか


 日韓関係の深刻な悪化が続く中、メディアの異様な報道が目立ちます。TVをつければワイドショーが嫌韓・反韓をあおる、週刊誌を開けば「韓国なんて要らない」「ソウルは3日で占領できる」などという物騒な活字が目を奪う…。こんな無残な姿を見るにつけ、メディアのあり方が問われます。戦前、戦後を通じて、朝鮮植民地支配にどう対応してきたか、検証します。

(近藤正男)

 今日のメディアの異常な姿が始まったのは、昨年秋の韓国大法院(最高裁判所)による「徴用工」裁判での判決がきっかけです。日本の植民地支配の不法性と反人道的行為を正面から問うた判決に対し、安倍政権は「解決済み」「国際法違反」などと居丈高に判決を拒否し、韓国政府批判を開始しました。これと同一歩調をとるように、日本のメディアもまた、「両国関係を長年安定させてきた基盤を損ねる不当な判決」(「読売」)、「日韓関係の前提覆す」(「朝日」)などと一斉に判決と韓国政府を批判するキャンペーンを展開しました。
戦前の朝鮮報道
国家と一体に差別・抑圧

          

(写真)三・一運動を「暴動」「暴徒」と報じる日本の新聞(1919年3月7日付「朝日新聞」)

         

(写真)日韓会談中断を報じる「朝日」(1953年10月21日付夕刊)

 徴用工問題は侵略戦争・植民地支配と結びついた重大な人権問題です。日本政府や当該企業はこれら被害者に明確な謝罪や反省を表明していません。被害者の名誉と尊厳の回復という立場から日韓双方が冷静に話し合うことが求められているときに、日本のメディアは政権の強硬姿勢に同調し、解決の糸口を探すのではなく対決をあおるような報道に走っているのです。その根底にあるのは、「韓国併合」に始まる朝鮮植民地支配にどういう態度をとったかという問題です。

 戦前の主要メディアによる朝鮮報道の特徴は、植民地支配への批判的視点を欠くだけでなく、国家権力と一体となって朝鮮人差別・抑圧の片棒を担いだことです。

 1910年8月の「韓国併合条約」は、日本が韓国に対し軍事的強圧によって一方的に押し付けた不法・不当な条約です。ところが併合に際し日本の主要メディアで反対を主張したものはありませんでした。逆に、古来、日本と朝鮮は同祖同根だったとか、朝鮮王朝の悪政で朝鮮独立が不可能になった、日本の天皇が朝鮮人の幸福増進に手を差し伸べるもの、などといった身勝手な併合正当化論を展開しました。

 この時期の有力新聞、総合雑誌の社説・論説のすべてが韓国併合を美化し、こじつけ議論で併合を正当化した―当時の新聞雑誌の論調を精査した歴史学者の姜東鎮元筑波大学教授は指摘します(『日本言論界と朝鮮』法政大学出版局)。メディアが作り上げた「世論」は併合の侵略的本質を隠しただけではありません。韓国併合は朝鮮人にとっても善政を施したという誤った認識を日本人の間に持ち込み、今日も強く残る植民地正当化の居直り・無反省の原点になっています。

 天皇制政府による強圧と専制にたいし、韓国・朝鮮人民の怒りが噴き上がったのが、1919年の「三・一運動」に示される一大独立闘争です。日本の新聞はこれをどう報じたか。「日本では、大部分の新聞は政府や軍部の発表に基いて三・一運動を報道した。したがって、朝鮮民衆を『暴徒』『暴民』視するのが一般的であった」と歴史学者の趙景達氏はいいます。(岩波新書『植民地朝鮮と日本』)

 三・一運動の参加者を「暴徒」「不逞(ふてい)鮮人」「土民」などと呼び、朝鮮人に対する恐怖や敵対心を日本人に植え込むことになりました。権力と一体となったメディアの朝鮮報道の行き着いた先が、1923年9月、関東大震災での朝鮮人虐殺の悲劇でした。
戦後も批判欠く姿勢
非を認めない政府を擁護

 植民地支配への批判的視点を欠いた日本のメディアの姿勢は、戦後も続きます。

 1945年8月、日本はポツダム宣言を受諾し、植民地朝鮮を解放しました。しかし、日本政府はその直後から、過去の非を認めず、朝鮮支配は正しかった、日本はいいこともしたという態度を打ち出しました。戦後一貫した日本政府の基本的立場です。これが端的に表れたのが、1950~60年代にかけての日韓国交正常化交渉における、いわゆる「久保田発言」「高杉発言」でした。

 「日本は朝鮮に鉄道、港湾、農地を造った」「多い年で二〇〇〇万円も持ち出していた」。53年10月、日韓会談が長期にわたり中断する原因となった第三次会談の日本側首席代表、久保田貫一郎の発言です。韓国側の激しい反発にあい、会談決裂、中断したのは当然です。ところが、日本のメディアは久保田発言を批判するどころか、「ささたる言辞」「韓国の不条理な威嚇には屈しない」「朝鮮統治には功罪両面がある」などと発言を擁護しました。当時の新聞論調について研究者は「全新聞が韓国に非があるという認識であった」と分析しています。

 「日本は朝鮮を支配したというけれども、わが国はいいことをしようとした」「それは搾取とか圧迫とかいったものではない」。交渉最終盤の65年1月、第七次会談首席代表の高杉普一による妄言は、交渉決着への影響を懸念した日韓両政府によってオフレコ扱いとされ、日本の商業メディアは取材しながら黙殺しました。

          

(写真)「日出新聞朝鮮双六(すごろく)」(1911年、民族問題研究所所蔵)韓国併合が「上り」になった双六。三韓「征伐」や朝鮮「征伐」、耳塚、伊藤博文などがコマに

 同年6月、日韓条約は日本政府が植民地支配の不法性を認めようとしないなか、歴史問題が未決着のまま締結されましたが、この視点から日韓条約・諸協定を批判する日本のメディアはありませんでした。朝日新聞「検証・昭和報道」取材班は、条約調印を受けての自社社説について「…しかし植民地支配に対する日本の責任には触れていない」と指摘しています。(朝日文庫『新聞と「昭和」』)

 植民地支配への批判的視点を欠いた日本のメディアの弱点は、その後も日韓間で問題が起きるたびに表面化します。戦後70年に当たっての安倍首相談話でもその体質が現れます。この談話で首相は、暴力と軍事的強圧で朝鮮半島の植民地化をすすめた日露戦争を「植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけました」と賛美しました。歴史を乱暴にねじ曲げ、植民地支配への反省どころか韓国併合そのものの美化・合理化にほかなりません。

 しかし、日本の主要メディアは、村山談話の否定・後退を批判的に論じたものはあったとしても、韓国・朝鮮人民への配慮を欠いた日露戦争美化・礼賛に言及し正面から批判するものはありませんでした。
異常報道過熱に懸念も
冷静議論へ問われる姿勢

 今日、異常報道が過熱したのは、安倍政権が徴用工判決への対抗措置として、対韓貿易規制の拡大という政経分離の原則に反する“禁じ手”を強行したためです。ここでも日本のメディアは、被害者の名誉と尊厳を回復する責任を放棄した安倍政権の問題には目を向けず、「文政権は信頼に足る行動とれ」「発端は徴用工判決にある」などとの対韓批判を続けています。

 その一方で、メディアの無残な姿を懸念し、他国への憎悪や差別をあおる報道はやめようという世論も広がっています。新聞労連が、戦前の過ちを繰り返さない、かつて商業主義でナショナリズムをあおり立てた「報道の罪」を忘れてはならないとし、「今こそ『嫌韓』あおり報道と決別しよう」と訴えたことは、その表れです。歴史の真実に向き合い冷静な議論への役割を果たせるか、いまメディアも問われています。

ジャーナリストの青木理さんは、「韓国をたたいておけばウケるでしょっていう風潮がものすごい強まって…」・・・・・・と

2019-09-08 | しんぶん赤旗より
これでいいのか 韓国報道
嫌韓一色のワイドショー


 テレビの番組欄をみると、朝から夕方までワイドショー、情報番組は韓国報道一色の感です。まぢかに控えた消費税増税、対米追随の貿易交渉、森友・加計疑惑、厚生労働政務官の口利き疑惑など、もっと報道すべきことはあるのではないのか、といいたくなります。
(藤沢忠明)

          

(写真)「ゴゴスマ!」の報道に抗議の声をあげる集会参加者=8月31日、名古屋市中区のCBC本社前

 韓国報道は、韓国が日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了を決定した8月22日ごろから劇的に増え始め、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の側近、曺国(チョ・グク)氏の不正疑惑が明らかになると「疑惑の“タマネギ男”」などと、一気に過熱しています。
視聴率取れれば

 問題は、異常な嫌韓報道になっていること。

 3日放送の「羽鳥慎一モーニングショー」(朝日系)で、ジャーナリストの青木理さんは、「韓国をたたいておけばウケるでしょっていう風潮がものすごい強まって…」と視聴率が取れればいいというメディアの姿勢に苦言を呈し、「揚げ句の果てには、ヘイトクライムを誘発するような発言をする人たちが出てくる」と警鐘を鳴らしました。

 青木氏の念頭にあるのは、8月27日のTBS系「ゴゴスマ」(CBC制作)での火曜日レギュラーのコメンテーター、武田邦彦・中部大学教授のコメント。韓国を訪れた日本人女性が韓国人男性に暴行を受けた事件を扱った際、武田氏は「日本男子も韓国女性が入ってきたら暴行しにゃいかないからね」という発言をしたのです。

 さすがに30日、同番組の冒頭、アナウンサーが「今週火曜日に放送した日韓問題のコーナーについては、ゴゴスマとしてはヘイトスピーチをしてはいけないこと、ましてや犯罪を助長する発言は、人としては許せないことと考えています」と“謝罪”しました。

 武田氏は、沖縄や在日の人たちへのヘイトや安倍政権擁護・支援の立場でニュースを流すDHCテレビのネット番組「真相深入り! 虎ノ門ニュース」の常連メンバーです。安倍首相が主催した4月の「桜を見る会」には、作家の百田尚樹氏、ケント・ギルバート氏らとともに参加しています。いわば、安倍首相の「私設応援団」の一員を、レギュラーコメンテーターとして起用する放送局の見識が問われます。
ヘイト本著者が

 「元駐韓国日本大使」という肩書で、引っ張りだこになっているのは、外交評論家の武藤正敏氏です。ところが、同氏は、『韓国人に生まれなくてよかった』(悟空出版)などというヘイト本の著者です。

 8月22日の「ひるおび!」(TBS系)では、「文大統領の支持層はみんな過激派なんですよね」「韓国は裁判官でも相当左がかった人が多い」と語りました。

 曺国氏の聴聞会を翌日に控えた5日の「大下容子ワイド!スクランブル」(朝日系)でも、武藤氏が登場。番組側が「国と国の約束をしっかり守ってもらいたい」という安倍首相の主張を紹介したのを受け、同氏は「韓国側がこちらに歩み寄ってくるしかない。まず、日韓請求権協定を認めて、その原則を認めたうえで、どういう話し合いができるかだ」と政権べったりの見解を示しました。

 「元駐韓大使」とあたかも“中立”の立場のようですが、武藤氏は外務省を退職した後の2013~17年、「徴用工」裁判の被告企業である三菱重工業の顧問を務めています。テレビでは、この重要な情報は触れられていません。

 「歴史修正」にこだわる安倍政権の対韓強硬姿勢が、国民に“嫌韓感情”のお墨付きを与えている状況のもとで、メディアには、日韓の対立をあおるのではなく、冷静な視点から正確で偏らない報道が求められています。

閣議決定の見送りを求め、「現状を維持したうえで、韓国政府との話し合いの席につき、事態の外交的解決の努力を」と緊急に申し入れをした

2019-08-01 | しんぶん赤旗より
対韓輸出規制拡大の閣議決定の見送りを
志位委員長が首相に緊急申し入れ


 貿易問題や「徴用工」問題などをめぐり日韓関係が悪化するなか、安倍政権が韓国むけ半導体の原材料などの輸出規制に続き、韓国を輸出管理の手続きを簡略化する優遇措置の対象国(「ホワイト国」)から除外する政令改正を8月2日にも閣議決定すると報じられたことを受け、日本共産党の志位和夫委員長は31日、安倍晋三首相に対し緊急の申し入れを行い、事態の外交的解決を要請しました。

          

          (写真)記者会見する志位和夫委員長=31日、国会内

 志位氏は同日、国会内で記者会見し、「日韓関係にきわめて深刻かつ重大な悪影響を与えることが強く懸念される」として閣議決定の見送りを求め、「現状を維持したうえで、韓国政府との話し合いの席につき、事態の外交的解決の努力を」と緊急に申し入れをした趣旨を説明しました。

 文書は、穀田恵二国対委員長が自民党の森山裕国対委員長に手渡しました。両者は「深刻な事態」との認識で一致し、森山氏は「ただちに安倍首相に伝える」と応じました。

 志位氏は会見で、安倍首相が7月7日のフジテレビの党首討論で「徴用工の問題で、国と国との約束(日韓請求権協定)を守れない国であれば(安全保障上の)貿易管理をちゃんと守れないだろうと思うのは当然だ」と述べ、「徴用工」問題の解決の手段として輸出規制を行ってきたことを指摘。「この時の党首討論でも述べたことだが、政治的な紛争の解決の手段として貿易問題を使うのは政経分離の原則に反する『禁じ手』だ」と厳しく批判しました。

 一方で、外務省が、輸出規制を「徴用工問題とは関係ない」「あくまで貿易管理の問題」と説明している点にふれ、「首相の説明と外務省の説明が違う。こうした政府の矛盾した態度は国際社会ではとうてい通用しない」と断じ、「政治上の紛争解決は外交的な話し合いで解決すべきだ」と強調しました。

 志位氏は、輸出規制により、すでに民間交流に影響が及び、日本の輸出企業にとっても打撃になっていると指摘。「ホワイト国」除外に措置を広げれば「両国間の国民レベルでの感情が悪化し、経済関係もいよいよ深刻になる。出口のない泥沼に落ち込み、関係悪化の悪循環を引き起こすことになる」と警鐘を鳴らし、冷静な外交的解決を重ねて求めました。
申し入れ全文

 一、日本と韓国の関係が悪化するなか、安倍政権が、韓国向け半導体の原材料などの輸出規制に続き、韓国を輸出管理の手続きを簡略化する優遇措置の対象国(「ホワイト国」)から除外する政令改正を8月2日にも閣議決定すると報じられている。この措置をとるならば、日韓関係にきわめて深刻かつ重大な悪影響を与えることが、強く懸念される。

 一、安倍首相は、韓国に対する輸出規制の理由について、「徴用工」問題にかかわって「国と国との約束を守らない」ことをあげた。しかし、政治上の紛争解決の手段として貿易問題を使うのは、政経分離の原則に反する「禁じ手」である。政治上の紛争の解決は、あくまでも外交的な話し合いによって解決すべきである。

 一、わが党は、緊急の対応として、安倍政権に対して、韓国を「ホワイト国」から除外する政令改正を見送り、現状を維持したうえで、韓国政府との話し合いの席に着き、事態の外交的解決の努力を行うことを要請する。


コーチの語源は「馬車」にあり、大切な人を送り届けるという意味があるそうです。プロ野球で活躍した桑田真澄さん!

2018-08-12 | しんぶん赤旗より
きょうの潮流


 プロ野球で活躍した桑田真澄さんは小学生の頃から体罰を受けていました。最初は先輩から、のちには監督やコーチから。殴られるのは日常で、それが当たり前とされていた時代だったと

▼指導者や上級生のやること、言うことには絶対服従。軍隊式の暴力体質は少しずつ改善されてきたとはいえ、いまだスポーツの世界には根強い。死ね、バカ、クズ…。人格を否定するような暴言を浴びせられ、追いつめられる選手も後を絶ちません

▼独裁者のごとく振る舞い、判定までゆがめたとされるボクシング連盟会長。相手を傷つける反則プレーを強いた日大アメフト部監督。女子レスリングのパワハラ。東京五輪を前にしてスポーツ界の不祥事が相次いでいますが、多くは指導者が起こしています

▼選手の人権も相手への敬意もない。「愛のムチ」といわれても愛情など感じたことはなかったという桑田さん。スポーツの現場に居座る誤った指導、それを容認する周りの態度こそが最大の課題だといいます

▼一連の対応のなかには変化もみえます。これまで口を閉ざしてきた選手や関係者が勇気を奮って声をあげ、古い体質に異を唱え、問題を前向きに動かしはじめています。それは民主的な人間関係や自立を促してきた近代スポーツの原点です

▼コーチの語源は「馬車」にあり、大切な人を送り届けるという意味があるそうです。選手の伴走者として、対等平等の立場で喜怒哀楽をともにする。そこにスポーツ文化を担う指導者の役割があるはずです。

15日投開票の地方議員選挙で、日本共産党は19市7町1区(補選含む)で48氏を立て、44氏が当選、改選比7議席増(無投票当選除く)となりました。

2018-04-17 | しんぶん赤旗より
安倍政治に地方で怒り
中間選挙 共産党7議席増


 15日投開票の地方議員選挙で、日本共産党は19市7町1区(補選含む)で48氏を立て、44氏が当選、改選比7議席増(無投票当選除く)となりました。

 三つの市区町議補選で党候補者が当選。このうち多摩市議補選(定数2)では、共同の広がりの中、日本共産党候補が得票率31・78%を獲得し現有5議席から6議席へと前進しました。また、定数3の北海道洞爺湖町補選では新人がトップで当選し2議席となりました。

 高知県四万十市では、得票数・率とも伸ばし新人1氏を含む4氏全員が当選。1議席増となりました。

 空白克服も相次ぎ大分県国東(くにさき)市、香川県まんのう町では8年ぶりに、秋田県八峰(はっぽう)町でも元職が当選し議席を回復しました。

 12市町で28議席が定数削減される中、11市町で全員当選を果たし、6氏が立候補した埼玉県春日部市では全員が当選しました。
市長選 自民推薦相次ぎ落選
滋賀・近江八幡は大差

 15日投開票の首長選でも、各地で安倍政権への怒りが表れました。

 滋賀県近江八幡市長選では、日本共産党も参加する「住みよい近江八幡市をつくる会」などの団体や党派を超えた広範な市民が推した元衆院議員の小西理(おさむ)氏(59)=無、新=が、自・公・維推薦の現職を大差で破って初当選。落選した現職は「自民党にアゲンストの風が吹いた」と述べ、地元紙も「安倍政権の不祥事が選挙結果に影響したとの見方が出ている」(京都新聞16日付)と報じました。

 このほか、栃木・日光市、群馬・富岡市、千葉・東金市、兵庫・西宮市でも自民推薦候補の落選が相次ぎました。

知事への信頼は失われました。小池知事は、都民・国民の厳しい批判の中で、希望の党の代表を辞任せざるを得なかったものと考えます。

2017-11-15 | しんぶん赤旗より
都政踏み台に国政進出 都民・国民の厳しい批判
小池知事「希望」代表辞任 大山党都議団幹事長が談話


 小池百合子東京都知事が14日、希望の党代表を辞任する意向を表明したことに対して、日本共産党都議団の大山とも子幹事長は次のコメントを発表しました。


 先の総選挙で小池知事が安保法制容認、憲法9条を含めた改憲推進など自民党と変わらない立場を取ったことや、都政を国政進出の踏み台にするというやり方に対し、知事への信頼は失われました。小池知事は、都民・国民の厳しい批判の中で、希望の党の代表を辞任せざるを得なかったものと考えます。

 都政には、市場の移転問題や五輪問題、少子高齢化対策など、都民にとって切実な課題が山積しています。私たち日本共産党都議団は、知事が都政を国政進出の踏み台にするという姿勢ではなく、都政の課題にどういう立場で臨むのか、食の安全・安心を守るという公約を守り、豊洲新市場への移転を見直すのか、都民の暮らし・福祉を守る立場で厳しく対応していきます。

米国の軍事行動に加わらない諸国に対しては、核の使用やその威嚇を与えるいかなる意図もないとも説明しました。

2017-09-25 | しんぶん赤旗より
米大統領発言に反発
国連総会一般討論 北朝鮮外相が演説
事務総長 政治的解決の必要性強調



 【ニューヨーク=池田晋】北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相は23日午後(日本時間24日未明)、国連総会で一般討論演説を行い、トランプ米大統領が同国を「完全に破壊する」などとした19日の演説に対し、「自殺行為の任務を進めているのは他ならぬトランプ自身だ」などと強く反発し、威嚇仕返しました。演説後、李氏は国連のグテレス事務総長と会談。国連側の発表によると、グテレス氏は政治的解決の必要性を強調し、緊張緩和と安保理決議の順守を求めました。

 各国首脳から北朝鮮問題の平和的解決と緊張緩和を求める声が相次ぐ一方、トランプ氏の発言を契機に国連の舞台を中心にして再び米朝間の威嚇の応酬が激しさを増しています。

 李氏は、「朝鮮半島情勢の本質は米朝間の対立にある」との見方を示した上で、米朝対立が米国による長年の敵視政策と核による威嚇を背景とするものだと主張。北朝鮮の核戦力の目的は、米国の核の脅威を終わらせ、侵攻を防ぐ抑止力の獲得にあり、「究極目標は米国との力の均衡の確立だ」としました。

 また、米国が、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を暗殺する「斬首」作戦や軍事攻撃の兆候を示せば、「容赦ない先制行動によって予防的措置を取る」と先制攻撃も辞さない姿勢を示してけん制しました。

 自国を「責任ある核保有国」だと位置づけ、「今や核戦力の完成の最後の門までわずか数歩というところまで来た」と宣言。米国の軍事行動に加わらない諸国に対しては、核の使用やその威嚇を与えるいかなる意図もないとも説明しました。

 トランプ氏に対しては、「誇大妄想と独り善がりに満ちた異常者」が「全米へのロケット到達を一層不可避にする取り返しのつかない過ちを犯した」などと攻撃。累次の対北制裁決議を科してきた安全保障理事会のあり方にも不満を表明しました。

新基地建設など「同盟強化」に反対する日本国民の声を無視した重大かつ危険な合意です。

2017-02-12 | しんぶん赤旗より
安倍・トランプ会談
この蜜月は異常で危険すぎる



 安倍晋三首相とトランプ米大統領が初の首脳会談を行い、蜜月ぶりを示しました。両首脳の共同声明は「揺らぐことのない日米同盟」を掲げ、核使用を含めた「日本防衛」への米国の関与や、「日米軍事協力の指針」に基づく米国の地球規模での戦争への日本の参戦体制づくり、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設などを宣言しました。核兵器禁止への世界の流れに背き、憲法を踏みにじる日本の「戦争する国」づくりや、沖縄の過酷な基地負担をさらに深刻にする新基地建設など「同盟強化」に反対する日本国民の声を無視した重大かつ危険な合意です。
地球規模で軍事協力強化

 共同声明は、「日米同盟」に関する項目の冒頭、「核および通常戦力の双方によるあらゆる種類の米国の軍事力を使った日本の防衛に対する米国のコミットメント(関与)は揺るぎない」と述べ、核使用も辞さない方針を示しました。

 安倍政権は昨年末の国連総会で採択された核兵器禁止条約の締結交渉を開始する決議に反対しました。米国の圧力に屈した結果です。唯一の戦争被爆国の政府にあるまじき安倍政権の態度の根底にあるのは、共同声明でも示された「核抑止力」への異常な固執です。今、世界で起こっている「核兵器のない世界」への画期的な動きに逆行する「同盟強化」の有害さは明白です。

 共同声明が「日米両国は、2015年の『日米防衛協力のための指針(ガイドライン)』で示されたように、引き続き防衛協力を実施し、拡大する」としたことも重大です。ガイドラインは、日本の集団的自衛権行使を定めた安保法制=戦争法の内容を盛り込んで策定されました。ガイドラインと戦争法は、海外で米軍が起こす戦争に、世界中で、切れ目なく、自衛隊が参戦する道を開きました。

 安倍首相は会談後の共同記者会見で「日本も『積極的平和主義』の下、より大きな役割を果たしていく考えだ」と表明しました。米軍の戦争支援のため、自衛隊の海外派兵を一層拡大することを表明したものとして看過できません。

 共同声明は、外交・軍事担当閣僚会合(2プラス2)を開催し、「日米同盟をさらに強化するための方策を特定する」としました。「テロ集団とのたたかいのための両国の協力を強化する」ともしており、米軍の過激組織ISへの軍事作戦などへの自衛隊参加を要求されることにもなりかねません。

 安倍首相が今回の首脳会談直前に辺野古の新基地建設に向けた海上工事の着手を強行し、共同声明に「唯一の解決策」と明記したことも、沖縄の民意を踏みにじるものとして断じて許されません。
日本の経済に重大な影響

 共同声明は、「経済関係の強化」として「市場障壁の削減」を強調し、米国の環太平洋連携協定(TPP)の離脱を踏まえ、「日米間で2国間の枠組みに関して議論を行う」ことなどを決めました。TPP交渉以上に譲歩を重ね、日本の農業などあらゆる分野に深刻な影響を及ぼしかねません。

 安倍首相は共同記者会見で、国際的な人権・人道問題になっているトランプ大統領の入国禁止令について「内政問題なのでコメントは差し控えたい」と黙認しました。世界から見ても異常な対米追随の政治を転換することが急務です。

TPPは米国が批准しなければ発効せず、現状のままの協定では実現不可能となりました。

2017-01-25 | しんぶん赤旗より
米TPP「永久離脱」
大統領令署名 2国間協定へ


 【ワシントン=遠藤誠二】トランプ米大統領は23日、環太平洋連携協定(TPP)から「永久に離脱する」とした大統領令に署名しました。TPPは米国が批准しなければ発効せず、現状のままの協定では実現不可能となりました。「米国第一」主義に沿った2国間の貿易交渉、他国の「不公正な貿易」是正に政策の軸足を移します。

 トランプ大統領は、昨年の大統領選挙時からTPPからの離脱を公約に掲げていました。23日の署名後、同大統領は「アメリカの労働者にとって大変良いことだ」と言明しました。

 大統領令は「TPPから離脱し、交渉からも永久に離脱する」と明記。米国の産業振興と労働者保護につながる「あらゆる2国間交渉の追求」も命じました。これを受け、米通商代表部(USTR)は日本など他のTPP署名国に離脱を通知します。

 トランプ政権はカナダ、メキシコとの間の北米自由貿易協定(NAFTA)についても、再交渉を表明。31日には両国の首脳と会談する予定です。ホワイトハウスは、今後、交渉が難航する場合、NAFTAからの撤退の可能性まで言及しています。

 安倍晋三政権が強く求めてきた米国のTPP参加は、同日の大統領令によって完全に消滅した形です。しかし安倍政権が昨年、TPP協定と関連法を強行採決したことは、米国側からのいっそうの譲歩を迫られる条件をつくったことになります。農産物などの関税撤廃や食の安全、医療、雇用、政府調達、知的財産権などの非関税障壁撤廃、投資家対国家紛争解決(ISDS)条項など、TPP協定やその交渉過程で米国に譲歩した内容が日本の「国際公約」とみなされ、そこから、さらなる譲歩を迫られる危険があります。

 環太平洋連携協定(TPP) 日本、米国など太平洋めぐる12カ国が署名した協定。国境を越えて利益を追求する多国籍企業のために、関税と非関税障壁を原則撤廃し、参加諸国の制度をできるだけ均一化することを目指すもの。発効条件が少なくとも、12カ国合計の国内総生産(GDP)の85%以上を占める6カ国以上の批准が必要。米国が批准しないと、他の11カ国を合計しても85%に達しないため、発効しません。

トランプ氏離脱を表明。TPP推進で暴走してきた安倍政権ははしごを外された形になりました。

2017-01-09 | しんぶん赤旗より
2017外交展望
「安倍外交」破綻鮮明に



 「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」を標ぼうしてきた安倍政権。昨年は「安倍外交」が無残な破綻を遂げました。今年もゆきづまりの度合いが強まる一方です。

 (竹下岳)
日米関係
見通し不透明、重い要求も

 安倍政権が年初に直面する外交課題は、20日に発足するトランプ米新政権との関係構築です。トランプ氏は大統領選挙中、在日米軍駐留経費の「100%負担」や核武装を求めるなど、対日関係で過激な発言を繰り返してきました。

 安倍晋三首相は昨年11月、トランプ氏とニューヨークで会談し、「まさに信頼できる指導者だと確信した」と語りました。ところがその直後、トランプ氏は環太平洋連携協定(TPP)離脱を表明。TPP推進で暴走してきた安倍政権ははしごを外された形になりました。

 日本政府は次期政権とのパイプづくりに苦労しており、「これまでのどの政権とも違う難しさがある」(外務省幹部)という状況です。

 首相は1月下旬に訪米し、トランプ新大統領と会談する予定です。必要以上に米国にこびる姿勢を続けていれば、米軍駐留経費の増額や自衛隊の海外派兵の拡大、いっそうの市場開放など、従来の政権以上に重い要求を突き付けられる可能性があります。
日ロ
領土問題・打開の展望なし

 「安倍外交」最大の失敗は、領土問題を棚上げにした日ロ首脳会談(12月15、16日)でした。

 安倍首相は昨年5月のロシア・ソチでのプーチン大統領との首脳会談で「新しいアプローチで交渉を進める」と表明。「今までの停滞を打破する、突破口を開く手応えを得ることができた」などと豪語していました。

 ところが、プーチン大統領は訪日前から「ロシアに領土問題は存在しない」と公言。結局、日本での日ロ首脳会談で領土問題が正面から議題になることはなく、「北方四島」での「特別な制度の下での共同経済活動」に関する協議を開始することで合意しました。しかし、経済協力を領土問題解決につなげるというのは、歴代政府が何度も繰り返した破綻済みの手法です。

 首相は今年前半にロシアを訪問する意向ですが、このままでは領土問題での進展は望めません。
核兵器ない世界
世界の流れに逆行

 昨年10月の国連総会第1委員会、12月の国連総会で、核兵器禁止条約の締結交渉を今年3月と6~7月に行うという画期的な決議が圧倒的多数で採択されましたが、日本政府はこれに反対しました。

 政府は交渉会議に参加する意向ですが、禁止条約には反対という立場は崩しません。「核兵器のない世界」への流れがかつてなく高まる中、日本政府が世界に恥ずべき姿勢をさらすことになります。
近隣外交
日中韓首脳会談見通せず

 韓国国会では朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾訴追が決定され、大統領選が3月末にも前倒しされます。一方、年末には稲田朋美防衛相が靖国神社を参拝。韓国・釜山の日本総領事館前に「慰安婦」を象徴する少女像が新たに設置されたことを受け、政府は6日、「遺憾」(菅義偉官房長官)の意を表明。長嶺安政駐韓大使を一時帰国させるなどの対抗措置を取りました。

 歴史問題で日韓関係が不透明な状況に陥り、2月実施を目指す日中韓首脳会談も見通しが立っていません。

 対中国では、首相は日中国交正常化45周年の今年、訪中実現を目指しています。

 しかし、尖閣諸島周辺の日本領海への中国公船の度重なる侵入や、東シナ海の日中中間線付近での一方的なガス田開発、中国軍の海洋進出拡大など、課題は山積しています。
主な外交日程

 1月中旬  首相がオーストラリア、インドネシア、フィリピン、ベトナム訪問

   下旬? 首相がトランプ次期米大統領と会談(ワシントン)

 2月前半? 日米韓首脳会談(国内)

 3月27~31日 核兵器禁止条約交渉会議(第1回、ニューヨーク)

 5月26~27日 主要国首脳会議(イタリア・タオルミーナ)

 6月15~7月7日 核兵器禁止条約交渉会議(第2回、ニューヨーク)

 7月7~8日 20カ国・地域(G20)首脳会議(ドイツ・ハンブルク)

 9月6~7日 東方経済フォーラム(ロシア・ウラジオストク)

   下旬   国連総会一般討論演説(ニューヨーク)

 11月上旬  アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議(ベトナム・ダナン)
【時期未定】

 日ロ首脳会談(ロシア)

 東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議(フィリピン)

 日・欧州連合(EU)定期首脳協議(ベルギー・ブリュッセル)

環太平洋連携協定(TPP)、年金カット法、カジノ解禁推進法、日ロ首脳会談に対する失望感

2016-12-20 | しんぶん赤旗より
安倍内閣の支持率低下 三大悪法の強行が原因
日ロ首脳会談も 小池氏が指摘


 日本共産党の小池晃書記局長は19日、各メディアの世論調査で安倍晋三内閣の支持率が低下していることについて問われ、「国会最終盤の環太平洋連携協定(TPP)、年金カット法、カジノ解禁推進法という三大悪法の強行3連発による影響だ」と指摘するとともに、領土問題の解決に逆行する結果をもたらした日ロ首脳会談に対する失望感も大きく、こうしたことが安倍内閣の支持率を低下させている原因だと述べました。

 小池氏は、「特にカジノ解禁推進法は、どの世論調査でも圧倒的に反対の声が大きく、それを、あれだけの短時間の審議で乱暴に強行したことに対する国民的な批判が高まっている」と強調しました。

 また、日ロ首脳会談について、「二階俊博自民党幹事長ですら『国民の大半はがっかりしている』と述べるほどであり、これに対する失望感が大きい。さらに、合意された『共同経済活動』については、領土問題を棚上げにしたことで、その解決をいっそう困難にするものだ」と批判しました。

 一方、野党の支持率が低迷していることについて問われ、「野党が安倍内閣に対抗する勢力として、しっかりと大義の旗を掲げて、本気の共闘になるということが現時点ではできていないが、これが実れば大きく変わる」と指摘。「いっそう引き締めて、野党共闘の体制、選挙協力体制を強めていくために努力したい」と述べました。

大変だらしのない外交だった:安倍首相がとった態度は、「新しいアプローチ」の名で、領土問題を脇に置く。

2016-12-19 | しんぶん赤旗より
対ロ、対米、対中―“安倍外交”を根本から問う
NHK日曜討論 志位委員長の発言



 日本共産党の志位和夫委員長は、18日放送のNHK日曜討論で、日ロ首脳会談(15、16両日)をはじめ安倍政権の外交をめぐって各党の代表と議論を交わしました。
日ロ首脳会談
大変だらしのない外交――ロシアが「領土問題は存在しない」と言うもとで、領土問題を脇に置けば一歩も前進しない

 司会の島田敏男氏は日ロ首脳会談が「経済分野での関係強化が先行」し、「懸案の北方領土問題の解決と日ロ平和条約の締結に向けて“急がば回れ”の道を選んだ格好」と指摘。自民党の高村正彦副総裁が「『新しいアプローチ』に一歩踏み出した」と強調したのに対し、志位氏は次のように指摘しました。

 志位 私は、一言で言って、大変だらしのない外交だったと思います。肝心の(日ロ)領土問題ではまったく進展がなかった。

 プーチン大統領は、首脳会談に先立って、「第2次世界大戦の結果は、しかるべき国際的な文書によって確定している」と述べました。ここでいう「しかるべき国際的な文書」とは、(旧)ソ連への「千島列島の引き渡し」を取り決めた米英ソ3国による1945年のヤルタ協定です。ヤルタ協定を前面に押し立てて、千島列島、歯舞(はぼまい)、色丹(しこたん)の不法な占領を正当化した。そして、「領土問題は存在しない」と言い放ったわけです。

 それに対して安倍首相がとった態度は、「新しいアプローチ」の名で、領土問題を脇に置く。そして、まずは経済協力だと。そうすれば、いずれは領土問題の解決に道が開けますというようなものでした。

 しかし、相手が「領土問題は存在しない」と言っているもとで、領土問題を脇に置いてどうなりますか。これは一歩も前進しません。こういう外交姿勢はあらためるべきだということを強く言いたいと思います。
「共同経済活動」
ロシアの4島への実効支配を後押しし、領土問題の解決を遠のかせる危険
クリミア併合問題での対ロ経済制裁に抜け穴をつくることにも

 さらに志位氏は、司会の島田氏から、今回の日ロ首脳会談で、(北方)4島の「共同経済活動」の実現に向け、「日ロ双方の立場を害さない」特別の制度として交渉を開始することが合意されたことについて見解を問われ、次のように述べました。

 志位 私は、強い懸念をもっています。

 第一に、「(日ロ)双方の立場を害さない」と言いますが、ロシア側は「ロシアの主権のもとで行う」と繰り返し言っているわけです。ですから、私は、「共同経済活動」の具体化のプロセスの中で、日本の4島に対する主権が損なわれることを強く危惧します。

 首相は、「共同経済活動」は(日ロ)平和条約締結に向けた重要な第一歩になると言いましたが、その保障はないと思います。逆にロシアの4島に対する実効支配――統治を、政治的・経済的に後押しして、領土問題の解決を遠のかせる危険があると思います。

 第二に、ロシアによるクリミア併合に対して、G7(主要7カ国)あるいはEU(欧州連合)が経済制裁をやっているわけです。そのさなかに、日本がロシアと大規模な経済協力の取り決めをやるということは、この(対ロシアの)国際的な活動に対する、いわば抜け穴を大きくつくってしまうことになる。このことで日本の国際的な立場が問われるという問題もあると思います。

 志位氏の指摘に対し、高村氏は双方の立場を害さないことを担保するために「(日ロ)両方のスペシャリスト(専門家)が特別な制度をつくる」「これからの問題だ」と弁明。民進党の細野豪志代表代行は「志位委員長がおっしゃったような懸念もある。ロシアの主権、法律のもとでという大原則をロシアが譲らない限り、逆に北方領土がロシアの領土であるということを日本が認めることになりかねない」と指摘しました。
領土問題の解決
日本政府は、戦後、一度も、「正義」を主張したことがない
戦後処理の不公正の是正を中心に据え、全千島返還を堂々と求める交渉でこそ道は開ける

 野党側から「領土問題の進展が一切なかった」と批判された高村氏は、「お互いに理屈を言い合って、相手が『わかりました』ということはない」と開き直りました。公明党の山口那津男代表も「『共同経済活動』はまだ中身ははっきり分からないが、挑戦して実績をつくる。これが第一歩だ」と同調。これに対し志位氏は次のように批判しました。

 志位 さきほど高村さんは“(日ロ)両方が正義を主張しても進まない”とおっしゃいました。しかし、本当の意味での“正義”を、戦後、日本政府は、主張したことはないのです。

 日ロ領土問題の根本は、「領土不拡大」という第2次世界大戦の戦後処理の大原則に背いて、1945年のヤルタ協定で「千島列島の引き渡し」を勝手に決める。そして、1951年のサンフランシスコ(平和)条約で、それ(ヤルタ協定)に拘束されて、日本政府が「千島列島の放棄」を宣言してしまう。ここにあるわけです。

 ですから、この戦後処理の不公正を是正する、これが領土問題の解決の中心に据えられなくてはいけない。

 ところが戦後、日本政府は、70年余、ただの一度も、この戦後処理の不公正の是正を求めたことがないのです。これが(日ロ領土問題が)一歩も進まなかった原因であるということをはっきり言わなければなりません。

 この交渉態度をあらため、全千島列島の返還を堂々と求める交渉をやる。その過程のなかで初めて、国後(くなしり)、択捉(えとろふ)を取り戻す道も開けてくる。それから、歯舞、色丹については北海道の一部ですから、中間的な友好条約で速やかな返還を求める。ここに(交渉方針を)切り替える必要があると思います。
日ソ両党交渉では正面から問題提起し返還検討を約束させた
国際的に通用する論建てがなければ前に進まない

 志位氏の発言を受け、自民・高村氏とのやりとりになりました。

 高村 (自身が外相時代に)「領土不拡大」の原則があったじゃないかと、不公正だなんていうことは何回も言っています。言ったからといってそれが通るという話ではないんですよ。交渉というのは、相手が「そうだな」と言わない限りだめなんです。日本共産党が主張したら、のみましたか。のまないでしょ。

 志位 日本共産党は、いまの問題(戦後処理の不公正の是正)を、正面から提起したことがあるんです。日本共産党とソ連共産党との、党対党の交渉のなかで、この問題を提起したことがあります。そうしましたら、(ソ連共産党は)南千島(諸島)については、将来的ではあっても、返還の検討の約束をしました。

 ですから、論建てが必要なのです。領土交渉は、経済協力をやれば進むわけではありません。やはり、国際的に通用する、しっかりした論建てがなければ、これは前に進みません。
首相の真珠湾訪問
何を語るかが重要――過去の日本の戦争を「間違った戦争」と認めなかった首相の歴史観・戦争観が厳しく問われる

 つづいて、安倍政権の対米外交をめぐる議論となりました。公明・山口氏は「年末に(安倍首相は)ハワイでオバマ大統領と最後の日米首脳会談をやるのも、日本の政権が安定しているからだ」と持ち上げました。安倍首相の年末の真珠湾訪問について問われた志位氏は次のように発言しました。

 志位 私は、何を語るかが重要だと思っています。

 安倍首相は、「二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。その決意を示すために真珠湾を訪問する」と言いました。であるならば、過去の日本の戦争は、いったいどういう戦争だったのか、歴史観、戦争観が問われます。

 私は、昨年5月の(国会の)党首討論で、過去の日本の戦争を「間違った戦争」と認めますかと、繰り返したずねましたけれども、(首相は)最後まで(「間違った戦争」だと)お認めにならなかった。「ポツダム宣言」では、「世界征服」のための戦争だったと書いてあるじゃないかとただしても、最後まで認めなかった。そういう態度では世界に通用しないと思います。

 真珠湾攻撃というのは、中国侵略戦争の行き詰まりを、戦線をアジア・太平洋全域に広げることによって打開しようとした、文字通りの侵略戦争です。これは歴史の判定が下っているわけです。私は、この点で、真珠湾を訪問するんだったら、総理の歴史観、戦争観が厳しく試されるし、問われると思います。

 これに対し、自民・高村氏は「日米の関係はもう謝れとか謝るなとかそういう関係じゃない」「日米同盟が日本、米国、国際社会にとっても素晴らしい同盟、“三方(さんぽう)よし”の同盟だと発信するために行くので十分だ」と開き直りました。
TPP協定と日米交渉
歯止めのない譲歩は許さないという新たなたたかいに取り組みたい
多国籍企業の利益優先でなく、各国の国民生活、経済主権を守る公正・平等なルールを

 トランプ次期米大統領が環太平洋連携協定(TPP)からの「離脱」表明をしていることについて自民・高村氏は「(日本が)離脱してくれるなという働きかけをしていく。ぜひTPPを発効させたい。日本は自由貿易を追求する、保護主義に反対するということを鮮明にしておくことは悪いことではない」と発言。民進・細野氏は「TPPだけにこだわるのでなく、違う選択肢を模索すべきではないか」と発言しました。これらをふまえて志位氏は次のように発言しました。

 志位 トランプ次期(米国)大統領がTPPからの「離脱」を表明しているもとで、TPPの発効は絶望的になっていると思います。ただ同時に、トランプ氏は、「2国間交渉を進める」と言っています。こういうもとでTPP(協定・関連法)の強行をやったわけですが、これはたいへん愚かで危険な道だと思います。

 農産物の関税撤廃の問題にせよ、食の安全、雇用、医療などの非関税障壁の撤廃にせよ、TPP協定で日本が譲歩した線が事実上の「国際公約」になる。そしてこの譲歩した線が「スタートライン」になって、アメリカとの2国間交渉が行われて、さらなる譲歩が迫られる。こういう危険があると思います。私たちは、歯止めのない譲歩は許さないという新たなたたかいに取り組みたい。

 さきほど(高村氏は)「保護主義」ということを言われましたが、問われているのは「自由貿易」か「保護主義」かではありません。多国籍企業の利益を最優先させるルールをつくるのか、それとも各国の国民生活、各国の経済主権をきちんと守る公正・平等な貿易と投資のルールをつくるのか。これが問われていることを強調したいと思います。

 公明・山口氏は「今後どういう貿易ルールをつくるにしても、これ(TPP)は非常に大きな参考、教訓になる」としがみつく姿勢を示し、維新・片山虎之助共同代表も「できるだけアメリカの翻意を促す」とけしかけました。
オスプレイ墜落
占領者意識丸出しの沖縄米軍トップの暴言、事故捜査もできない日本――従属国家のあり方を根底から見直せ

 つづいて、トランプ次期政権の安保政策がテーマに。米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)に所属するMV22オスプレイが名護市の浅瀬に墜落した事故で、沖縄県の抗議に対して、沖縄の米軍トップのニコルソン四軍調整官が、住宅や県民に被害が出なかったことを「感謝されるべきだ」などと反論した問題などについて冒頭問われた志位氏は、怒りを込めて次のように発言しました。

 志位 オスプレイの墜落は、全国でも沖縄でも怒りを広げていますが、とくにひどい問題がいくつかあります。

 一つは、いま紹介されましたが、沖縄米軍トップのニコルソン四軍調整官が、「住宅や県民に被害を与えなかったことは感謝されるべきだ」といった。大惨事になりかねない事故を起こしておいて、「感謝せよ」という。これはもう占領者意識丸出しの暴言です。こういうものがまかり通っている。

 もう一つは、日本の捜査機関が「原因究明」のカヤの外に置かれてしまっている。海上保安本部が米軍に捜査の協力を申し出ました。しかし、まったく回答がない。米軍がフライトレコーダー(飛行記録装置)を持って行ってしまう。「公務中の事故」なら第1次裁判権は米側にあるとした日米地位協定の壁に阻まれて、日本側は捜査もできない。こういう問題が起こっています。

 こういうことが、本当に対等・平等の独立国家間の関係と言えるのか。この問題が問われています。こういう従属国家のあり方を根底から見直す必要があると思います。

 これに対し自民・高村氏は「地位協定のことを言いましたけれど、これはNATO(北大西洋条約機構)にいる米軍でも全く同じです。日本だけじゃない」と弁明。志位氏は「それは違います。たとえばイタリアでは捜査権を持っています」と反論しました。
トランプ米次期政権への対応
「日米同盟」絶対の思考停止では対応できない
アメリカ追随外交でいいのかを、根底から考える機会に

 司会の島田氏から「オスプレイの出来事は普天間基地移設にも影響するとみられているが」と問われた公明・山口氏は「移設問題はなるべく危険を避けるというのが普天間基地移設の原点。それを忘れずに丁寧に交渉を進め、実現を図るのが重要だ」と述べ、辺野古新基地建設に固執する姿勢を自民・高村氏とともにあらためて示しました。志位氏は対米追随外交をただしました。

 志位 トランプさんがいろんな発言をされるわけです。“在日米軍の駐留経費を全部出せ”という発言もされた。新政権が発足してどうなるかわかりませんけれど、私は、これまでと同じような、日米安保条約――「日米同盟」絶対の思考停止では対応できないと思うんです。

 (在日米軍の)駐留経費の問題でも、日本は出しすぎるぐらい出しているんです。「思いやり予算」もじゃんじゃん出している。こんなやり方でいいのかということをこの機会に根底から考える(必要がある)。

 それから、結局、「日米同盟」最優先でやっているために、たとえば、いま国連(総会第1委員会)で核兵器禁止条約の交渉開始のための決議が採択されて、来年には交渉が始まろうとしています。こういう大事な動きが起こっているのに、日本はアメリカの圧力に屈してこれに反対するわけです。唯一の戦争被爆国にあるまじき対応です。

 こういうアメリカ追随外交でいいのか。こういう問題を根底から考える機会にしていく必要があると思います。
中国にどう向き合うか
東シナ海、南シナ海での「力による現状変更」をめざす動きは許されない
「北東アジア平和協力構想」――地域の平和協力の枠組みを

 最後に、対中国外交が議論に。志位氏は、「中国とどう向き合うか」を問われ、次のように述べました。

 志位 私は、中国が東シナ海、南シナ海で行っている「力による現状変更」をめざす動きは決して許されるものではないと考えています。私たちは(来年)1月に党大会をやりますが、決議案のなかで(中国に対して)「新しい大国主義・覇権主義の誤りがあらわれている」というきびしい指摘を行いました。

 ただ、これにどう対応するかという点では、力対力、軍事対軍事の悪循環に陥ってはならない。外交的解決に徹する必要があります。

 日本共産党は、「北東アジア平和協力構想」というものを提唱してきました。ASEAN(東南アジア諸国連合)の国々は、東南アジア友好協力条約=TACを土台にして、あらゆる紛争問題を話し合いで解決する地域の平和協力の枠組みをつくっています。中国との関係も、南シナ海行動宣言(DOC)によって、紛争をエスカレートさせないメカニズムをつくっています。そういう、地域の平和協力の枠組みを、北東アジアでもつくろうじゃないかと(いう提案です)。(憲法)9条をもつ日本がそのイニシアチブをとるべきだと考えています。

 自民・高村氏は「東シナ海、南シナ海で、力で現状を変更する動きには毅然(きぜん)として対処するのは当然だ」と発言しました。