旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

名湯「鯖湖湯」に浸かる 福島交通飯坂線を完乗

2016-12-24 | 呑み鉄放浪記 番外編

 「鯖湖湯」は、奥の細道の途中、飯坂に立ち寄った松尾芭蕉が浸かっている。元禄二年(1689年)のことだ。飯坂温泉街には9つの共同浴場があるが、鯖湖湯は最も古くからある湯、ビバ造りの立派な共同浴場は、地元住民や観光客に親しまれる飯坂温泉のシンボルだ。

     

飯坂温泉へは、福島駅で福島交通・飯坂線のローカル電車『いい電』に乗り換えて、ガタゴト23分走って往く。福島交通では、飯坂温泉共同浴場入湯券がついた「1日フリーきっぷ」800円を発売しているので利用すると良い。

     

電車は2両編成、名産の「桃」をイメージしているのだろうか、シルバーステンレスの車体にピンクのラインと花弁を散らしている。福島駅を発車した2両編成は、暫く東北本線と並走した後、右から左へとオーバーパスしていく。車窓には福島市郊外の住宅地が流れていくが、ほどなく左右に果樹園が広がってくる。

左手に見下ろす扇状地の広がりには、もも、なし、りんご、さくらんぼ、ぶどう等の果樹園が広がる。きっと花咲くころはキレイに彩られることだろう。医王寺駅を過ぎて松小川鉄橋を渡ると終点の飯坂温泉まではあと少しだ。

飯坂温泉駅では、ブレーストリア・アーチが美しい十綱橋を背景にして芭蕉翁が迎えてくれる。奥の細道の頃の「飯塚」(芭蕉はこう記している)は、温泉宿4軒の小さな温泉街だったそうだ。芭蕉翁は苫屋のような宿に泊まったため好意的な感想を記していない。

 

 拾遺和歌集にも「あかずして わかれし人のすむさとは さばこのみゆる 山のあなたか」と詠まれている鯖湖湯を訪ねる。アルカリ性単純泉、泉温は51.0度、湯舟の中で動いたら熱くて耐えられそうもないので、じっと浸かってみる。ヒバの香りに包まれて、時間がゆっくり流れていく。

 

 冷えたビールを求めてかつ丼の店「十綱食堂」の暖簾を潜る。わずか8席、調理場には老夫婦、時代から外れたちょっと寂れたお店。でも今までの経験からこの手のお店、味は間違いない。昔なつかしい “ソースかつ丼” にかぶりつく至福の時間を過ごす。

 “青春18きっぷ” で久しぶりの「呑み鉄」の旅は、各駅停車で往復11時間、福島滞在は3時間の少々強引な旅になった。

福島交通飯坂線  福島〜飯坂温泉  9.2km 完乗

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