昨晩のこと、大河ドラマは「平家納経」ということなので、ぜひ見たかった。
ずっと待った。
待つ間に他局のドラマを見たり、柔道を見たり、競泳を見たり、……。
「平清盛」は、2時間遅れでやっと放送された。
源氏の頭領義朝の最期もよかったが、崇徳上皇の人物デザインに柘植伊佐夫さんの力量みたり!柘植さんがドラマを掘り下げていく力の奥には、日本人には珍しいことだが、哲学観と宗教観を個人としてしっかりお持ちの方だ、と得心した。でなければ単なるグロテスクで終わってしまう。今回は、「平家納経」が生まれた一つの答えを出してくれた、と思う。
とにかく「生霊の形相」は凄かった。怨霊となってさまよう魂の表現は、この物語のメインテーマだ、ということを気づかせてくれた。怨霊の能面は生身の人間の深層を抉りとったものだった。
映画館ではなく、家庭のテレビ画面に映し出されるという条件のなかで、半端を排除し、徹底的に描ききった。
しかし、そこで終われば深さはない。上皇が息を引き取る前に一瞬感見せた穏やかな顔が、地上に許しをもたらし、上皇が成仏したことを暗示し、カタルシスを見るものに与える。
ギリシャ悲劇しかり、受難劇しかり。
つまり、大きく歴史をかえるエネルギーは、個々人のおぞましい心の濁流が、一所に集まって起こることであると知ったシーンだった。井浦新という俳優が、脱皮したシーンでもあったろう。
圧巻でした。
ずっと待った。
待つ間に他局のドラマを見たり、柔道を見たり、競泳を見たり、……。
「平清盛」は、2時間遅れでやっと放送された。
源氏の頭領義朝の最期もよかったが、崇徳上皇の人物デザインに柘植伊佐夫さんの力量みたり!柘植さんがドラマを掘り下げていく力の奥には、日本人には珍しいことだが、哲学観と宗教観を個人としてしっかりお持ちの方だ、と得心した。でなければ単なるグロテスクで終わってしまう。今回は、「平家納経」が生まれた一つの答えを出してくれた、と思う。
とにかく「生霊の形相」は凄かった。怨霊となってさまよう魂の表現は、この物語のメインテーマだ、ということを気づかせてくれた。怨霊の能面は生身の人間の深層を抉りとったものだった。
映画館ではなく、家庭のテレビ画面に映し出されるという条件のなかで、半端を排除し、徹底的に描ききった。
しかし、そこで終われば深さはない。上皇が息を引き取る前に一瞬感見せた穏やかな顔が、地上に許しをもたらし、上皇が成仏したことを暗示し、カタルシスを見るものに与える。
ギリシャ悲劇しかり、受難劇しかり。
つまり、大きく歴史をかえるエネルギーは、個々人のおぞましい心の濁流が、一所に集まって起こることであると知ったシーンだった。井浦新という俳優が、脱皮したシーンでもあったろう。
圧巻でした。