ピストンエンジンは永遠か!な?

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ノッキング

2006年08月30日 | エンジン

人気blogランキングへ  秋の気配が深まる今日この頃です。

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ノッキング

普通ノッキングというと1000~2000rpm前後の回転数でスロットルを急激に開けると、カリカリとかキンキンとかの異音がエンジン内部から発生することを言います。特に起りやすいのは過負荷の状態、つまり高速ギアで低いスピードというエンジンのトルク特性に合わない運転を行うときです。

最高出力回転数が1万以上とかの高回転エンジンでは勿論こんな低回転ではクラッチをつないだ時にはストールしてしまいますが、ハーレーのような比較的低回転エンジンでは1000~2000回転でトップギアで加速するようなシチュエーションはあります。

最高出力を5000rpmで発生するようなエンジンでは、バルブタイミングが高回転向けの設定ではありませんから、極低回転でスロットルを開け過ぎると充填効率が想定外に高まりすぎ、燃焼室内の圧力が高くなりすぎてしまうのですね。

このようなノッキング現象はスロットルを戻せば収まるし、タクシーなどは日常茶飯事にそういった運転パターンを行ってもエンジンがすぐに壊れた話は聞いたことはありません。こうしたノッキングを低速ノックと言います。

怖いのは高速ノックで、諸条件が重なるとピストンを溶かしたり、穴を開けてしまうこともあるようです。経験した方によると、安いガソリンを入れて高速道路を走っていたら、ジジという音とともに水温が異常に上昇したそうです。ハイオクガソリンを足したら解消したようです。明らかに粗悪ガソリンのオクタン価不足が原因だったのですね。

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ノッキングのメカニズムを簡単に説明すると、点火プラグの着火で燃焼を始めたガスが膨張をして燃焼室の圧力が高くなり、燃焼室の端のガス(エンドガス)が自己着火してしまい、異常な圧力を発生することです。

燃焼室の容積はクランク角に伴い変化いたしますので、過負荷によりピストン速度が加速できない状況ではノッキングが起りやすい事が分かると思います。

ハイオクガソリン

ノッキングの現象が確認されたのは20世紀も初頭ですが、1930年代にゼネラルモータースの研究グループにより燃焼の模様を撮影することを成功して解明されました。

それまではエンジンの中でデトネーションが発生するのだと考えられてきましたけれど、今ではデトネーションは火炎が1,000-3,500m/sの衝撃波に化学反応のエネルギーが保持されて進む燃焼である。 と定義されノッキングとは区別されています。

ノッキングのメカニズムが解明されてからは4エチル鉛の添加によりオクタン価を高めたハイオクガソリンの発明があり、エンジンの出力向上は飛躍的になされ現在に至っています。

ところが1970年に牛込柳町の鉛中毒事件があり、ホボ同時期にアメリカのマスキー法案の議会可決(実施は先延べ)もありで、1980年代にはハイオクガソリン自体が無い時期もありました。

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有鉛ガソリンが廃止される前はレギュラーも有鉛で、無鉛になることから一部ではバルブが焼きつくとかダメになるとか、マコトシヤカに噂が広まり、こんな添加剤も売られていました。実際には通常の走行では問題はなく、無鉛ガソリンのせいでエンジンが壊れた実例をワタシは見たことがありません。

排ガス規制やオイルショックが一息つくと、ハイパワーへの思いが復活したのか、無鉛ハイオクの登場がありました。直留ガソリンはオクタン価が60くらいしかありませんが、アルキレートガソリンなどとブレンドする事によりオクタン価の向上が実現できたようです。(詳しくはコチラ

ところが無鉛ハイオクの中にはアルコール系の含酸素物質が存在していて、特に長期保管の場合に酸化されたことにより生じる悪影響があるようです。またライトエアプレーンの樹脂タンクが侵食されたことによる事故もあり、航空機には専用の有鉛ガソリンが用意されています。また現在はわかりませんが、レースサーキットにはアブガスという名で航空機ガソリンも売られていて、レースのような連続した高回転・高負荷運転では有鉛ガソリンに利があるのは否めません。

続きます。

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