白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

―窒素と水の話―

2017年02月26日 | 肥料

先月の「サイエンスデイリーニュース」の中に 「水と窒素の同時利用で持続可能性の向上が図れる!」と題する記事があるのを見つけました。

Simultaneous water, nitrogen use can enhance sustainability

窒素と水と言っても、大方の人にはピーンと来ない話かも知れませんが、今や世界的に見れば、地球温暖化と同様に、地球上の貴重な水資源である地下水の窒素汚染は真に深刻な状況にあって、特に地下水を水源として多く利用する欧米諸国では問題になって居り、日本にあっても決して無縁な話ではありません。

それではどんな話なのかその内容を紹介したと思いますが、先ずその表題の窒素と水の関係に就いて、スペインのマドリード工科大学の研究者が実施した、作物栽培システムに於ける水と窒素の利用効果の向上には、多様な技術的手法のアプローチがあり、その実施した研究で得られた結果の持つ意義を次のように説明しています。

 

―空気の約80%を占める窒素のサイクル―WebImagesより

同大学の研究グループの中の二人の研究者が実施した結果で示された事は、窒素損失の減少を指向しながら圃場での生産性を維持するには、窒素と水の投入量を、同時に最適なレベルに管理できる技術手法に頼るべきであるという事です。

窒素と水の両要素を同格に置いて、その効率を改善する手法は、両者を個別に考えるよりも農業に於ける環境面の利益では、一層建設的になると言うのです。

地球規模で見れば、水と窒素の利用可能性は、作物の成長にとって最大の制限要素であります。これらの二つの要素は、多くの地域での食糧生産主権に基礎的な効果を持ち、世界にあっては食糧実生産とその潜在供給力のギャップを減少させるカギを握っています。

その結果の窒素の過剰利用がもたらす自然の水資源の窒素汚染、大気への温室効果ガスの増加、その多くは水の資源管理手法にその端を発していると言えます。

そこに加えての今般の研究は、多くの食糧生産システムに於ける水と窒素の利用効率には、強力な相互関係が存在する事を証明した事であり、このような両者の効率を同時に改善しようとする試みの実践は、水と窒素を分離して各々の最適策を目指すよりもはるかに成功し易い手法であります。

 

ー水は地球の万物の源です!-WebImagesより

以上ですが、それでは此処でマドリード工科大学の両研究者が、実際にはどのような研究を試みたのかその概要に就いて説明させて戴きます。

研究者の Miguel Quemada 及び José Luis Gabrielが実施した研究は七通りであり、最初に実施された実験は、水の欠乏状態にあっての圃場に於ける作物の反応であり、水分ストレスを受けている作物の窒素の施用量をその吸収限界となるまで絞り込んで減らして仕舞って、圃場に残る窒素が直ちに無くなるようにして見たのです。

2番目の実験で試みたのは、灌漑条件下の作物の水分管理を改善する別の良好な手法には、如何にするのが良いかであり、過剰な水分利用では、その水の損失によって溶解した窒素分が根圏域から多く逸脱して仕舞うからであります。

3番目の実験で研究者が示唆した手法は、灌漑用水に肥料成分を溶解して施肥するファーテイゲーション農法であり、この手法は作物にとっての水と窒素の要求を几帳面に果たすのに適する大きな可能性を有する農法であります。

 この研究で4番目に示唆された手法は、圃場の土壌マルチングであります。前作の作物残滓や人口的な被覆資材を使ってこの手法を適用すると、土壌表面からの直接的に蒸発する水分損失が大いに阻止できるのであります。

その上に土壌マルチング農法は、土壌に含まれる窒素 成分の無機化と水分の浸透を促進し、土壌表面の浸食や風食による水分や窒素の損失を減らす事ができます。

5番目に示唆された手法は、土壌およびその有機物から無機化されて土壌に還元される窒素を考慮しての窒素の補給であり、そうすれば、土壌が適切な水分量を保持している場合には、時には与える合成肥料を全体的に代替できるのです。

6番目に挙げられる手法は、利用する栽培品種の適切な選択であります。土壌条件やその地域の気候サイクル、各地域での利用可能な水供給条件に合わせ、品種ごとで組み合わせられる水と窒素の適性正利用であります。 それには当然、将来の緑肥となるカバー作物や土壌マルチイングを考慮しての肥料成分の損失も考慮しなくてはなりません。

 

―その背景にあるのは有機農法と同コンセプト!―WebImagesより

最後の7番目に挙げられる研究された手法は、近接センサーを用いての水と窒素の可用性の遠隔監視農法であります。

今では植物の生理状態や土壌水分の可用性の測定に応用可能なセンサーが多く出回るようになり、その導入結果で分かった肥料成分や水分量に従って、施肥タイミングや冠水の適時予測等が可能になっています。

端的に言えば、研究者達の言う通り、作物生産は最も効果的に窒素損失を減少させる栽培手法を、各々ケース毎に明らかにすれば良く、その結果依って世界中での環境改善に貢献できるのです。

 Story Source:Materials provided by Universidad Politécnica de Madrid.  

以上の7項目の話、読まれた皆さんはどんな感想をお持ちになられたでしょか?

今東京では、完成して移転の運びとなった豊洲新市場の施設の地下水に、深刻な有毒物質汚染が露見して、都民の台所の安全を巡って物議が醸されています。

しかし、東京の地下水の殆どは既に大なり小なり有害物で汚染されており、非常時の飲料水源としての利用等まったく覚束ないのが現状と申せます。

 

武蔵野の三大湧水池で知られる石神井三宝寺池-Wikipediaより

かっては東京の山の手の台地の一画から流れ出る湧水が、近郊の林地を潤して多くの動植物を育んで来ましたが、今ではその僅かに残る面影の湧水の殆どが高度に硝酸態窒素等で汚染さされて居り、飲料に供する事など全く不可能になっています。

それではこの話、大方の人の一般常識である化学肥料を農薬と同列に置いて悪者扱いにする?短絡思考の正しい意味、その理解の一助になってくれるなら、幸いに越した事はありません。

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