世耕日記

参議院議員 内閣官房副長官 世耕弘成(せこう ひろしげ)の活動を日記形式と雑感、主張を交えお伝えするブログです!

10月11日(木)【山中伸弥教授を育てた大阪教育大学附属天王寺という学校】

2012年10月11日 | Weblog
 先日も述べたとおり、私は大阪教育大学附属天王寺中学校、高校で6年間、山中伸弥君と過ごした。

 世間的には進学校というイメージだが、中で育ったものからすると、進学校という感覚は全くない。いわゆる受験勉強的な授業は行われなかったし、かなりユニークな教育方針と校風であった。山中君のような独創的な成果を上げた学者が登場した背景には、この学校での教育の影響が大きいと思う。山中君自身もこの学校の校風を深く気に入っているようで、2人のお嬢さんもこの学校を卒業させている。

 これからの教育のあり方の議論にも資する部分もあると思うので、ノーベル賞受賞者の人格形成に大きな影響を与えたと思われる大阪教育大学附属天王寺中高という学校について、私個人の経験に基づいて書いてみたい。

 まずこの学校には「校則」がない。当時の一般の学校は、やれ「髪を染めてはいけない」、「スカートの長さは何センチ」などという細かい校則が多かったが、附属天王寺には「規律規定」というのがあって「附属中学生として自覚を持った行動をしましょう」といった精神的規定が設けられているのみである。細かい校則は設けず、あとは生徒の自主性を信頼するというのが、学校の基本姿勢であった。

 期末テストや中間テストでは、先生は答案用紙を配布し終えたら、教室から出て行ってしまう。試験監督がいない状態で試験が行われるのだ。しかしカンニングする者は出ない。理由はクラスの中で「ここまで信頼してくれているのに、それを裏切っていいのか?」という自制が働くためである。また「中間期末テストでカンニングをしていい点を取って、何か人生に本質的な意義があるのか?」と生徒自身に考えさせる効果もあったと思う。

 修学旅行もユニークだ。中学の修学旅行はいわゆる物見遊山の観光旅行スタイルではなく、乗鞍高原の民宿に合宿し、数名の班を作って、班ごとにテーマを決めてフィールドワークをする。山中君とは同じ班で付近を流れる川の形態のフィールドワークをした(というのは名ばかりで、川上りハイキングを楽しんだだけだが)。
 高校の修学旅行は何と高校3年の6月に10日間かけて行われる。普通の高校は受験に備えて2年生の時に修学旅行を行うが、附属天王寺は敢えて3年生の時に行うのだ。しかも参考書、単語帳等の勉強道具は一切持ち込み禁止。持ち込みが発覚すると先生に没収される徹底ぶりだ。
 こういう修学旅行を通じて、人生のメリハリの付け方を教わった気がする。

 授業や先生もユニークだった。高校3年になってもまだローマ時代をやっている世界史の先生。自分の好きな漢詩の紹介に徹する漢文の先生。推理小説のあらすじを面白く語ってくれる現国の先生。等々、自分の好きなこと、関心のあることを徹底してマイペースで教える先生が少なくなかった。もちろん数学や英語を中心にカリキュラムをきちんとこなす先生も多かったが、受験勉強は学校に依存せず、自分でやりなさいという学校だった。世間は附属天王寺を受験校としてイメージしているが、実際中にいるとそのような雰囲気は一切感じられなかった。しかし受験一辺倒の教育では教えてもらえない「教養」というものに触れられた気がする。
 後年母親が教えてくれたが、妹や弟の通った学校に比べ、附属天王寺は先生のレベルが抜きん出て高く、保護者会や保護者面談での子供に関する先生の発言や指摘が簡潔にして要を得ていて、子供のことを非常にしっかりと観ていると感じたそうだ。

 勉強だけをしていてもあまり評価されない学校だった。クラブ活動はもちろん必須。生徒会活動も盛ん。それ以外にも夏休みの自由研究、富士登山、100キロ徒歩、臨海訓練、討論合宿、音楽祭などなど、他の学校にはないユニークなイベントが多数あり、こういったイベントにきちんと参加し、リーダーシップあるいはフォロワーシップを発揮してはじめて一人前の生徒として評価される雰囲気があった。私自身も生徒会長を始め、各種イベントで色んな役割を果たしたことが、社会人になってから、そして政治家になってからの仕事に大きく影響していると思う。

 私の個人的体験に基づいて、大阪教育大学附属天王寺という学校の特徴を断片的に述べてみた。他の同級生は別の感じ方をしているかも知れない。山中伸弥教授もどんな受け止め方をしているかは分からない。しかしこのユニークな教育方針と校風が、数々の苦難を乗り越えてノーベル賞を受けることになった人物の人生に何らかの影響を与えていることだけは間違いない。
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