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◇新エネルギー◇フジクラ、高い超電導特性を有するイットリウム系酸化物超電導線を開発

2011年02月16日 13時29分14秒 | スマートコミュニティ/スマートシティ

 フジクラは、800m級で高い超電導特性を有するイットリウム系酸化物超電導線の開発に成功した。

 イットリウム系超電導線は単位断面当たりの臨界電流密度(Jc)が非常に大きいため、最も大電流を流せる超電導線が得らる。また液体窒素温度付近においても磁場下での臨界電流(Ic)が大きい特徴があり、あらゆる超電導機器が安価な液体窒素冷却で可能となることから広範な応用が期待されている。

 イットリウム系超電導材料は構成する結晶配列を高度に揃える必要があったことから、サブミクロンの結晶を長尺にわたって制御する必要があり、長尺線材化が困難とされてきた。2004年に同社が世界で初めて100m長の線材の作製に成功して以来、精力的に開発を行い、2008年2月には実用域とされる300A, 500m長に到達していたが、広範な応用展開に繋げるには1000m級の線材開発が望ましいとされてきた。

 今回、816.4m長の超電導線を開発し、その臨界電流(Ic)特性は572Aであった。臨界電流(Ic)と長さ(L)の積であるIc・L値は米国SuperPower社が2009年8月に300,330Amを発表しており首位の座を奪われていた。

 2010年10月に同社において615m長、609Aの超電導線の開発により世界記録となる374,535Amを達成して再び首位を奪回したが、今回のIc・L値は466,981Amとなり更に世界記録を更新したもの。

 今回の開発にあたってはこれまで同社が開発したIBAD中間層およびPLD法超電導層に更に改良を加え、全長にわたって均質な特性が得られるように工夫を加えた。とくに、超電導層を形成するPLD(レーザ蒸着法)プロセスにおいて、新しく「ホットウォール加熱方式」を開発し、超電導膜の成長面の温度管理を飛躍的に安定させることに成功した。

 その結果、全長にわたって高特性を保った線材を歩留まり高く製造することが可能になった。その結果、昨年10月に615m x 609A、100m x 706Aといった超電導線の作製に成功するとともに、このたび816.4mx572Aの超電導線の作製に成功した。