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制裁と映える命 DINER 第14話「Innocent Prayer&Silver bullet⑪」 感想(ヤングジャンプ2017年50号)

2017-11-09 | DINER
救えた命と、救えなかった命。





何かしらの芸を持った人間が不祥事やらなんやかんやで糾弾されたり捕まったりする
すると必ず「子供が可哀想」という意見に行き着くが、それが例え事実であったとしても
結局は“親と子の関係”というのは相対的ではなく絶対的なものだと思う
ポロンは暗殺者として数々の人を殺してきた
それは(人として)許されない事実

だけど、一方で自分の娘を端正に育てて病気も面倒を見て、命を懸けて守り抜いて来たのもやはり事実なのだ
娘にとっては、すべてをかけて自分を育て守り抜いてくれた「恩人」という存在でしかない

そういうのが、一面的ではないものの見方・・・という事なんですよね
想像力がないとそういう部分を見逃しがちなんですけど、
こういう漫画が「それ」を教えてくれる側面はあると思う
たった一瞬だけでも、「親子の時間を過ごした」・・・それだけでも価値のある描写だったと感じました。


幸いなのは、
リリィは「何も知らない」ということ
この世の闇も親の犯した罪も、自身の置かれていた状況すらも
何も知らずに純粋無垢なまま生きていける・・・それもまた親であるポロンと、
そしてカナコが与えた「これからの希望」だったのだ
それだけでも、
それだけでも「甲斐」を深く感じられるシリーズだったなあ、、、と個人的には思う
残虐な中にも、一筋の光・・・。本作がやりたかった(であろう)事が端的に描かれていた傑作回だったかと。





一方で、
ギデオンを憎むか?と言われれば決してそうでもない
ポロン自身が言っていた通り、どれだけ優しい素振りを見せても所詮は“人殺し”だ
残念だけど、やはり暗殺者の末路が幸福なものであってはいけないのかな。。とも、
正直そう感じる部分もあったのが本音っちゃあ本音ではある

つまりは、
ポロンは人知れず娘を育て上げ、手術を施し、希望を与えた「親としてのご褒美」と
稀代の暗殺者として数多の命を手にかけて来た「人殺しとしての制裁」を同時に受けたことになる
それは読んでて寂しい気もしたけど、「しょうがないのかな・・・。」とも感じられる、
ある意味ギデオン側にもカナコ側にも何かしらの感情を置けてしまう、
絶妙な作劇に仕上がってた気がして
今回も相当深くて悲しくて、だけど胸に来るものもあって・・・と最高な話数になっていたと思う

カナコの云う「親でした」というのも分かるし、
ポロンの云う「同情するな」というのも分かる
そして、ボンベロが見せた何とも言えない表情も分かる、、、し
なんだか今日の朝これ読んだから仕事の最中ずっと切ない気持ちになってたんですけど(笑
ただ、ギデオンの殺し方は相当衝撃的かつセンセーショナルで読んでてドキドキしてしまいました
一番最初に開いたページが顔面スライス前の何かされた!?みたいな見開きだったせいで
かなりバクバクの心境でページを捲れたのも正直大きかったですね
カナコの涙を観てたら、
こっちまで貰い泣きしそうになりましたけど笑
だけど、個人的にこの結末には「妥当」だと思う気持ちも少々あったりもする
それと同じくらいリリィの為に存在して欲しくもあった気持ちもなくはないし、
色々複雑ですけど・・・
その複雑さ、こそこの漫画がこんなにも面白くて人気のある理由な気もしましたね

ボンベロの表情は、
冷徹とも感情的とも言えない、
そんな「複雑」を絵に描いたような表情で
ストーリーの面白さだけではなく、
作画の絶妙さもすげえ際立ってるなあ。。と思えた最高の締めだったかと












ありがとう・・・。






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