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意識を失ったままボクシングの試合を続けた?

2017-07-23 23:12:37 | 意識・心理学

数十年前、日本人のボクサーで世界チャンピオンにまでなった男が、試合中に相手のパンチで意識を失ったまま試合を最後まで続けた体験があることを告白している。

いったい意識を失ったままボクシングの試合など続行できるでろあろうか?

普通「意識を失う」ということは「失神」を意味する。

ボクシングの試合ではKOによる失神はよくある。

しかし、失神してはさすがに試合はできない。

そこで、かのボクサーが言う「意識を失った状態」というのは、「全意識の喪失」としての失神のことではないことが分かる。

彼が言う「意識を失った状態」とは「意識が再帰的現象性を失い、機械的に機能するだけになった」ということなのである。

機械的に機能するだけの意識は、行動の制御を自動的に行うことができるが、その記憶と自覚が失われるのである。

しかし、ボクシングの試合には注意と短期記憶に基づいた身体運動は必要である。

彼にはパンチを繰り出しフットワークを維持するための注意と短期記憶は残存してたのである。

ただし、その働きは現れては消える束の間のもので長期記憶には残らないのである。

それゆえ彼は試合後、自分が何をしていたのか覚えていなかったのである。

ちゃんと最終ラウンドまでファイトを続けたのに。

ちなみに、我々の日常生活もこうした無意識的行動によってかなりの部分が占められている。

これについてはデネットが『解明される意識』において詳しく分析している。

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