骨で聴く異世界

耳を使わずに「聴く」世界を旅します。耳をふさいでいても聴こえる世界です。

藤岡の霊泉を骨で聴く

2008-03-11 10:40:17 | 骨で聴く巡礼旅

 群馬県の藤岡市を久しぶりに取り上げます。
 以前にご紹介した蛇喰渓谷の近くです。観光ガイドブックにはない穴場の骨伝導巡礼地だといえます。

 ⇒ 蛇喰渓谷を骨で聴く

 渓谷のある県道沿いです。
 ここは関越、上信越自動車道のある藤岡ジャンクションとはまったく異なる風景です。市街地から山岳地帯へかなりの距離を走っています。

 県道に小さな立て札を見つけ、「弘法井戸」の文字を確認すると、右折して急な坂道を登っていきます。自動車であれば、対向車が来たらすれ違うことは不可能な道路です。路面も悪く、サスペンションを通じて車内に悪路の振動が伝わってきます。樹木が空を覆い、昼でも暗い山道です。

 1.3キロほど先に井戸はあるようです。自動車だと簡単に行ける距離のようですが、道路が道路だけに決して容易に到着するという感じはしません。

 目的地の「弘法井戸」とは文字通りの井戸ではなく、岩盤基部の穴から大量に湧いている水のことで、小屋に覆われています。

      
 
 弘法大師が修行の途次、この地を通りかかりました。山道の途中には水を求めるところがなく、人家もありませんでした。
 たまたま山中から機を織る音が聞こえ、大師はそこへ立ち寄り、一杯の水を頂くことにしました。
 親切な老婆は大師に水を与え、このこき村人たちが水不足で困っているという話をしました。
 大師はそれを聞いて、早速に浄地を定めたといいます。

 錫杖で岩を砕く。すると、そこから水が湧き出してきました。以来、夏でも冬でも枯れることのない清水が、いつでもこんこんと湧き続けています。

  村人たちは石を積み、霊水をまんまんと溜めるようにし、いつでも誰でも使いやすいようにしました。さらに、弘法大師の尊像を岩上に祀り、報恩謝徳の心を表したといいます。

 この霊水を飲む村人たちは、みな長寿だということから、わざわざ霊水を飲みに来る人があとをたたないようです。

 いかにも弘法大師らしい、水に関する伝説だといえます。

 実際に目にする井戸は味も素っ気も無いのが現実です。しかしこれは、この地の霊泉があり、弘法大師の伝説と重なって大いに意味があるといえます。この霊泉を骨で聴き、偉大なる霊泉に感謝します。

 そんな旅を続けます。

 ⇒ 骨伝導の驚異の秘密

              



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