書籍名:Copycat
著者:Oded Shenkar
出版:2010年 Harvard Business Press


今回は、前回の続きとして、本書の「模倣」そのものについて要約します(本書 第1章)。
【模倣ペースの加速化】
広く模倣されるまでの平均期間は、1877年〜1930年の間で23.1年から9.6年
に短縮している。1940年以降に市場にでた製品については広く模倣されるまで
平均4.9年となっている。模倣者が市場投入するまでの時間は2.93%短縮してい
るというデータもある。1961年には模倣が12年遅れていたが、1981年には
それが4年になり、1985年については12ヶ月〜18ヶ月とさらに短くなって
いる。
【模倣者の優位性】
ピーター・ドラッカーが言うには、IBMは「世界の抜きん出た創造性豊かな
模倣者」である。
模倣者はフリーライドを享受できる。既に、顧客は新規の製品若しくはサービス
を利用できる環境にあることから、研究開発費を節約できるだけでなく、
マーケティングも節約できる。開発中の薬品のおよそ90%が10億円もの投資
した後の試験段階で失敗しており、潜在的な節約ははかり知れないものがある。
模倣者は、先駆者による投資を負担しないので、模倣者は、既に市場に存在
する先駆者のオリジナル製品を消費者の好みに合うようにマイナーチェンジできる
、若しくは、次世代の技術へと飛び越すこともできる。例えば、サムソンは、
デジタルへと飛び越したとき、アナログ技術では、救いようがない程、
遅れていた。
【模倣者の変わりつつある側面】
20世紀初期の直前まで、例えば、製薬業界ではイノベーターと模倣者との間は
明確な区分けがあったが、10数年を経てジェネリックというカテゴリーが
生まれ、USの処方薬市場の半分以上がこのジェネリックに浸食された。
【イモベーション(Imovation):イノベーションと模倣との融合】
GE(General Electric)は、ネタ作りが上手いイノベーター(storied innovator)
であり最も模倣している企業の一つでもあるが、そのGEは、優れた技術を有する
コンペチタよりも上手に立ち回るために模倣手段を活用し、そしてGEは、
ウォルマートから短期市場知識や、HPから新規製品開発の方法論のような実務を
導入する歴史がある。我々は、このような企業をイモベーター(imovators)と
呼んでいる。たとえイノベーションを試みていても、我々は他社が何をしている
のか知りたいものであるし、イノベーションのいくつかは模倣から導かれるもの
なのである。
ちょうどまさに欧州の起業家が中国の磁器と現代の生産技術とを結合させる
ようなもので、イモベーターは、模倣要素とコンテキスト及び環境についての知覚
及び創意を融合するのである。
<読んで感じたこと>
⇒模倣者の方が、先駆者であるイノベーターよりも、市場の反応を見て、市場参入する
ことができる点で、確かに有利かとは思いますが、同じ製品を安い値段で模倣者が
販売し、多いに儲かっているとしたら、イノベーターは黙っていないでしょう。
裁判になりかねませんし、勝てる可能性も低いでしょう。でも、模倣者も、模倣者なりに
創意工夫して新しいエッセンスを加えた上で、イノベーターの製品と似たような製品を
販売し、多いに儲かっているとしたら、事情は前者とは少し違ってくると思います。
模倣者の製品を購入するお客さんの中には、新しいエッセンスを評価して購入するお客さん
がいるのも考えられます。また、新しいエッセンス部分について知財権を取得する等の知財力
や、契約交渉力などで模倣者もイノベーターに対抗できる余地がありそうです。
一方、全てを自ら創作する真のイノベーターとなるのは、世界中の情報を容易に取得
できる現在、厳しいように思います。どこかしらの発明にも、模倣のエッセンスが
含まれているのではないでしょうか。そうすると、発明は模倣の一種のような雰囲気も
でてきますが、この辺の議論は複雑そうなので今回は見送ります。
模倣する対象を製品(知財、不正競争)以外にするのは参考になるかもしれません。
HPの新規製品開発の方法論の例がありました。この方法論が営業秘密等に該当しなければ
ですが。

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著者:Oded Shenkar
出版:2010年 Harvard Business Press
今回は、前回の続きとして、本書の「模倣」そのものについて要約します(本書 第1章)。
【模倣ペースの加速化】
広く模倣されるまでの平均期間は、1877年〜1930年の間で23.1年から9.6年
に短縮している。1940年以降に市場にでた製品については広く模倣されるまで
平均4.9年となっている。模倣者が市場投入するまでの時間は2.93%短縮してい
るというデータもある。1961年には模倣が12年遅れていたが、1981年には
それが4年になり、1985年については12ヶ月〜18ヶ月とさらに短くなって
いる。
【模倣者の優位性】
ピーター・ドラッカーが言うには、IBMは「世界の抜きん出た創造性豊かな
模倣者」である。
模倣者はフリーライドを享受できる。既に、顧客は新規の製品若しくはサービス
を利用できる環境にあることから、研究開発費を節約できるだけでなく、
マーケティングも節約できる。開発中の薬品のおよそ90%が10億円もの投資
した後の試験段階で失敗しており、潜在的な節約ははかり知れないものがある。
模倣者は、先駆者による投資を負担しないので、模倣者は、既に市場に存在
する先駆者のオリジナル製品を消費者の好みに合うようにマイナーチェンジできる
、若しくは、次世代の技術へと飛び越すこともできる。例えば、サムソンは、
デジタルへと飛び越したとき、アナログ技術では、救いようがない程、
遅れていた。
【模倣者の変わりつつある側面】
20世紀初期の直前まで、例えば、製薬業界ではイノベーターと模倣者との間は
明確な区分けがあったが、10数年を経てジェネリックというカテゴリーが
生まれ、USの処方薬市場の半分以上がこのジェネリックに浸食された。
【イモベーション(Imovation):イノベーションと模倣との融合】
GE(General Electric)は、ネタ作りが上手いイノベーター(storied innovator)
であり最も模倣している企業の一つでもあるが、そのGEは、優れた技術を有する
コンペチタよりも上手に立ち回るために模倣手段を活用し、そしてGEは、
ウォルマートから短期市場知識や、HPから新規製品開発の方法論のような実務を
導入する歴史がある。我々は、このような企業をイモベーター(imovators)と
呼んでいる。たとえイノベーションを試みていても、我々は他社が何をしている
のか知りたいものであるし、イノベーションのいくつかは模倣から導かれるもの
なのである。
ちょうどまさに欧州の起業家が中国の磁器と現代の生産技術とを結合させる
ようなもので、イモベーターは、模倣要素とコンテキスト及び環境についての知覚
及び創意を融合するのである。
<読んで感じたこと>
⇒模倣者の方が、先駆者であるイノベーターよりも、市場の反応を見て、市場参入する
ことができる点で、確かに有利かとは思いますが、同じ製品を安い値段で模倣者が
販売し、多いに儲かっているとしたら、イノベーターは黙っていないでしょう。
裁判になりかねませんし、勝てる可能性も低いでしょう。でも、模倣者も、模倣者なりに
創意工夫して新しいエッセンスを加えた上で、イノベーターの製品と似たような製品を
販売し、多いに儲かっているとしたら、事情は前者とは少し違ってくると思います。
模倣者の製品を購入するお客さんの中には、新しいエッセンスを評価して購入するお客さん
がいるのも考えられます。また、新しいエッセンス部分について知財権を取得する等の知財力
や、契約交渉力などで模倣者もイノベーターに対抗できる余地がありそうです。
一方、全てを自ら創作する真のイノベーターとなるのは、世界中の情報を容易に取得
できる現在、厳しいように思います。どこかしらの発明にも、模倣のエッセンスが
含まれているのではないでしょうか。そうすると、発明は模倣の一種のような雰囲気も
でてきますが、この辺の議論は複雑そうなので今回は見送ります。
模倣する対象を製品(知財、不正競争)以外にするのは参考になるかもしれません。
HPの新規製品開発の方法論の例がありました。この方法論が営業秘密等に該当しなければ
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