![]() | 世界の音を訪ねる―音の錬金術師の旅日記 |
音楽プロデューサー、久保田麻琴さんの近著。
書店で手にとって、CDが付いているのに驚いた。
やはり百読は一聴に如かず、音源付きとは粋な計らいだ。
その著書に一体何が書かれているのか
正直想像もつかなかったが、
冒頭からぐいぐい引きこまれた。
まさに「世界の音を訪ねる」、表題そのまんまである。
著書は2部に分かれており、第1部は久保田さんが
「ただごとでない音楽」を求めて訪れた
世界各地のフェスティバルの模様のレポート。
第2部が、彼自身へのロングインタビューである。
第1部では、まずブラジル北東部(ノルデスチ)、
レシーフェのカルナヴァルを克明にレポートしている。
久保田さんは、この地方の音楽シーンが、
近年稀にみる「ただごとでない」盛り上がりをみせている、という。
ヨーロッパ、アフリカ、インディオ・・という歴史を背に
様々な伝統芸能を生み出したこの地から、
パソコンを操る若い世代を筆頭に
素晴らしい音楽が次々と生み出されているそうだ。
次に、音楽評論家のサラーム海上さんと訪れた
モロッコのグナワ・フェスティバルのレポートである。
もともと少人数向きのトランス芸能であるグナワが、
近年、ロックコンサートの音響設備を使った
数万人単位での鑑賞音楽に変貌していることに、
久保田さんは「ただごとでなさ」を感じているようだ。
面白いことに、このグナワのリズムは、興がのってくると
ブラジルのサンバのグルーヴの「訛り」に酷似するという。
そして、シンガポールのワールド・ミュージックの祭典、
「WOMAD in シンガポール」、スリランカで昨年初めて開催された
「フェスティバル・オブ・ドラムズ」のレポートへと続く。
久保田麻琴さんの名前は、1990年代初頭のいわゆる
ワールドミュージックブームのときに知った。
シンガポールの歌手、ディック・リー、そして
インドネシアのダンドゥットユニット、チャンプルーDKI、
はたまたスンダ語で歌うポップ・スンダのデティ・クルニア・・
全てはこの方を通して聴いた音楽だ。
しかし「アジア方面の音楽プロデューサー」としての側面は、
彼の仕事のほんの一部に過ぎないだろう。
第2部のインタビューでは、彼自身の音楽遍歴はもとより、
アジア・プロジェクトを手掛けた経緯も語られており、興味深い。
彼はインドネシアの歌手にザ・ピーナッツのカバーを
歌わせたりしたが、60年代の日本の歌謡曲の持つ
メロディの良さを表現したかったのだという。
改めてそうした話を聞くのは新鮮だ。
(それにしても、久保田さんが元・裸のラリーズだとは
知りませんでした・・)
音楽に対する柔軟な姿勢に感心させられたり、
独特のユーモアに満ちた表現に笑わせられたりと、
自分にとっては非常に面白い一冊だった。
個人的には、シンガポールのサンバチーム(!)、
「ウィキッド・オウラ・バトゥカーダ」に
大変興味をそそられた。(聴いてみたいぞ!)
ここでの久保田さんのコメントに、一番感銘を受けた。
「このようにリズムは飛行機に乗って世界を回る」
・・いい言葉だなあ、と思った。













私も買ってから、CDが付いている事に気づきました(笑)面白い試みですね。普段あまり聴かないジャンルのお話だったのですが、久保田さんの「熱」を感じられる好いお話ばかりでした。
まさに久保田さんの思いがドンピシャで伝わってくる、好著だと思います。といっても、私も詳しくないのですが、実際の音をあれこれ想像しながら読むのも楽しい経験でした。
そうなんです、「岩波新書初のCD付き!(BY岩波書店)」なんだそうです。
しかし、このCDで世界の音に対し理解が深まったかというと・・ウーム、でありました(笑)