暇人映画

映画嫌いが映画を見まくる地獄のサーキット

インシテミル/7日間のデス・ゲーム

2011年10月14日 22時53分56秒 | 邦画>★★
2010年/邦/中田秀夫監督/藤原竜也 綾瀬はるか 北大路欣也 武田真治 片平なぎさ 石原さとみ 石井正則 阿部力 平山あや
2011年10月14日 日テレ金曜ロードショー

【あらすじ】
フリーターの結城(藤原)が、時給11万円強のアルバイトに応募した。他9名の参加者と共に連れて行かれたのは、人里離れた謎の施設。外部との連絡手段も断たれ、何かの心理実験なのか監禁されて7日間過ごせという。案内人もなく、スピーカーやギミックからの指示に従い、疑心暗鬼に駆られつつ時間を過ごす面々。タイムカウンターの下で回るカウンターの意味は?そして死亡事件は発生し、デス・ゲームは走り出してしまった…!
果たしてこのアルバイトの実態とは何なのか、そして結城は無事に7日間を生き抜くことが出来るのか!?


<時給10万円>なんて、生死に関わるだろうくらいのことは予想されて然るべきだよなあ。参加者が隔離施設に連行された時点では、「es」っぽい実験でも始まるのかと予想していたのだが。
狙ったところは、劇中で脚本が言わせちゃった通り「そして誰もいなくなった」を中心としたミステリーと、「ソウ」や「CUBE」あたりの密室サバイバルなんだろう。だけどそれらが物語として成立したのは、<誰も知らない隔離空間>だからこそだ。
すんごい見られてるよ。
アクセスは殺人の前後に急増するんだって。いくらなんでも、演出なしの生中継をいつでも見に行けるほど、世の人間は暇じゃないだろ。
しかもそんなに見られてたら、誰かしら通報するよ。
そんな怖いサイトがあるんだって、くらいの情報は、藤原やらの耳にも入ってるだろうよ。
現実的に考えたら、このモチーフなら警察が潜入するってパターンになりそうなものだが。そうじゃないのだなあ。
作者としては、「インターネットという無法地帯の恐怖」を描きたかったのかもしれないが、いくらインターネットといえどもあそこまでアクセスカウンターが回る中では良心の介入が無ければリアリティは薄い。国家公認、暗黙の闇エンターテインメント事業であるくらいの世界観があれば、まだしもなんだがなあ。でなければ、金持ちの賭博とか。ベット対象者には大金出す、警察その他の組織にも金握らせて黙殺させる。賭けに参加するのに大金取る、参加者しか中継を見られない。金持ちだから常時暇。それこそバイト雇って、面白そうな展開になってきたらご主人様に報告。なんだ、こっちの方がずいぶん説得力あるなあ。
施設内の参加者行動予測も、かなり曖昧のように感じた。当初から<サバイバル・アドベンチャーゲーム>として生き残りの賞金を懸けた前提ではないにも関わらず、参加者全員が当然のように凶器箱を開封している。目的は<7日間を消化する>のであるから、中には箱など気にならないメンバーがいても良いではないか。気になりつつも、開封の仕方が分からず諦めるバカがいたって然るべきだ。なるほど確かに藤原の参入がリサーチの上での計算であれば、他の面子も同様だろう。藤原以外のメンバーには、予めルールも凶器箱の開け方も知らされていたかもしれない。もしくはネット中継の閲覧経験があって、知っていたのかもしれない。しかしそれでは、開始直前直後に<知らない演技>をしていなければならなくなり、つじつまが合わなくなってしまう。
要するに、練りこみ不足なのだ。
ロボに捕らえられて独房に入れられるとか、失笑以外の何ものでもない。あんな視野の狭い、行動範囲が限られた上にトロくさいロボなんぞは、とっとと壊してしまえよ。監視カメラ見付けたら塞いでしまえよ。などと冷ややかな感想を持ってしまうことになってしまったのでした。
そしてこの作品を象徴するのが、最後の<賞金ポイっちょ>なのですなあ。あれだけ苦労したら、いくらか貰わないと割りに合わないって現実の人間なら考える。何処に連れられて来たのかも分からないだろうと思われる二人が、金も持たずに現場から立ち去る。日常生活に戻るのではなく、お話から退場するのだ。
「ひょっとしたら世の中には、こういう怖いアルバイトが実在するのかも」ではない。「お伽話はこれにておしまいです。ご観覧ありがとうございました」なのですな。
「es」が実話ベースだったのに対して、なんてヌルい映画だったんだ。

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