MBAで教える「交渉術」

MBA留学先での「交渉」の授業内容を配信。といっても最近はもっぱら刺激を受けた本やMBAについて。

<23-1>アクティブリスニングってなに?

2005-11-14 | 第三部:実戦で交渉に勝つコツは?
コミュニケーションのハウツーは世の中にたくさん出回っています。
ビジネススクールの交渉論も基本的には「自分でそうした本を読みましょう」というスタンスでしたが、アクティブリスニングという概念は特に紹介されていました。
そこで今回はこの考え方をみてみたいと思います。

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-なんで話がかみあわないんだろう?

交渉に限らず誰かと話しているとき、誰もがこうした苛立ちを感じることがあると思います。
会話を円滑に進める技術があれば、いろいろな場面で非常に役に立つでしょう。
特にお互いの利害が絡んだ真剣な話し合いではそうしたワザがとても重要になります。(たとえば交渉のように)

では、話がかみあわないのはどうしてなのでしょうか?

話している内容が本当に支離滅裂な場合も時にはありますが、多くの場合話しのキャッチボールが成立していないことに原因があるようです。
話がスムーズに進まず喧嘩になった時を思い浮かべてみてください。
例えば、次のような発言をしてしまうことはないでしょうか。

「その考えは間違っているよ」
「そっちの言うのも分かるけど、こっちは他にやりようがないんだ」
「君は本当はこうすべきなんだよ。まず…。次に…」

どれも赤提灯に飲みに行ってクダをまいている時に出てきそうなセリフです。
「こんなこと自分は言わない」と思っているヒトも多いでしょう。
しかし何かの拍子にこうした言い方はひょいと顔を出すことがあります。
なぜなら、何かを強く主張したりアドバイスをして聞かせる事は誰にとっても大きな満足感をもたらすからです。
相手の話を聞いてやるつもりでも、いつの間にかこちらばかりが意見を主張し、言いたいことを言ってさっぱりしたと感じていることがあるものです。あれこれアドバイスした方からすればそれでも良いでしょう。
しかし話を聞いてもらう方からすれば話し足りない気持ちが残りますし、自分の意見が反映されないアドバイスを心から受け入れるのはとても難しいことです。

結果として聞いてもらうつもりだった方は「分かってもらえない」「どこか話がかみ合わない」と感じ、その不満が会話をさらにぎくしゃくさせていくものなのです。相談事のように明確な話し役/聞き役が決まっているケース以外でも、こうした感覚が積もればは話し合いをすれ違いに追い込む元凶になります。

相手の話をきちんと聞いてやることは、話を「かみ合わせる」上でとても重要です。
そして相手の話を聞く上で典型的な障害は、上に述べたような誰もが持つクセだと言えます。
具体的には、

1. 断定(「その考えは間違っている」)
2. 自己防衛(「こっちには他にやりようがない」)
3. 問題解決(「君はこうすべきだ」)

といったスタンスが過剰なことが問題なのです。
しかし人間誰しもこうした行動を自然に取ってしまうクセをもともと持っているので、自然な状態ではこれらを排除するのは非常に困難です。

ではどうすれば相手の話をうまく聞けるのでしょうか。

(第23回続く)

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