MBAで教える「交渉術」

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崖の上のポニョ

2008-08-25 | 雑記
掲題の映画を見ました。
説明するまでもありませんが、宮崎駿監督の最新作。

面白かった部分とそれほどでもない部分が交じり合った、微妙な映画でしたが「見てよかった」感はあります。
一言で言うと「楽しいウォーターアトラクション」のような映画。

最も印象的だったのは水の描写。

海辺の町で展開する物語なので海がずっと出てくるのですが、その表情が面白い。
冒頭では静かな海が、波が魔物のようにうごめいたり、津波が魚になったり、また高潮が丘を襲ったり、嵐がやんだ後透明な水の中の世界が水面から見えたり、と。
その動きが非常に生き生きとしていて、つい自分も映画の世界の中にいるように感じる、新鮮な臨場感がありました。
オール手書きとのことですが、クレヨンと絵の具で書いたようなやさしいトーンの色合いも目に心地よかったと思います。
(最近のディズニーの、色が濃くどぎついCGアニメとまさに好対照だと思います)

ある意味では遊園地のアトラクションのように、感覚的に海を楽しむ映画でしたし、その意味では評価満点だったと思います。
不思議な生き物がひしめく海の中の世界と、浮遊感も良好。


いまひとつに感じたのは、ストーリーでしょうか。

まあ、まとまりがあってこれでいいのかなとも思えますが、かなりシンプルです。
子供でも「え、これで終わり?」な感じがするかもしれません。
ポニョの両親が何者なのかなど、細かい設定があまり説明されないので、結局どういうことだったのか分からない部分も残りますし。
監督自身が「5歳児でも分かるもの」を目指したとのことなので、これは5歳児には世の中詳細が分からないことがいっぱいあるという表現かもしれません。
しかしネット時代の子供たちは細かい情報も結構よく知っていそうですし、絵に描いたように「常に正直で勇敢で礼儀正しい」主人公の少年が、リアルな5歳児なのかどうかはちょっと不明。

とはいえ、やたら細かい設定で人間の暗部をグロテスクに描いた作品が多い昨今、こんな風に

-複雑な裏設定が垣間見える中、柱のストーリーはシンプルに
-人間の明るい側面をとらえて
-映像で想像力とぬくもりにあふれた別世界を見せる

というのも好感が持てると思いました。
でもこれって昔のディズニー映画に近いのかもしれませんね。


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