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集中講義「フランCFAのお話」(2)~固定レートはネオ植民地主義?!

2016-04-25 07:30:20 | アフリカ情勢
中西部アフリカの仏語圏を中心に広く使われている共通通貨、フランCFAについてお話をしている。前回、この通貨の特徴として「ユーロ固定レート」だ、という話までさせていただいた。

(前回の記事)
第一話 14カ国の共通通貨

しかしよく考えて見ると変な話だ。不安定、クーデター、貧困・・・そんな話題も絶えない地域で、なぜ通貨価値が維持可能なのか。

たとえば前回もお話ししたギニア。フランスと決別して「貧困の中の真の自由」を選んだ。今日現実はどうだろうか。一週間もホテルに泊まったら、リュックサックほどのギニアフランが必要だ。もしギニアビサウやニジェール、中央アフリカが独自通貨を持っていたら、同じような運命をたどっていたはずだ。しかしなぜ信用が落ちないのか。

(ギニアフラン紙幣)



それは当然、フランスがフランCFA通貨に「裏書き」を与えている、ということだ。言い換えれば、フランスがフランCFAをこの交換比率で買い支える、といっているようなものなのだ。

加盟国にはこの固定レートを維持するため、外貨準備高の50%をフランス財務当局に預け入れることが義務付けられる。他方、フランスの命令的な通貨政策に従う必要がある。特にユーロ圏内に適用される通貨当局へ指示には歩調を合わせなければならない。そのようなもとで、通貨安定が維持されているのだ。


このことはアフリカ諸国にとって大きな議論を呼んでいる。

ユーロ固定レートにはもちろん大きなメリットがある。いうまでもないが、通貨リスクがないという安定性。何物にも変えがたいリスク回避である。

(ちなみに固定と言っても1994年には通貨の切り下げが行われている。そういうリスクはないことはない。)

また域内で通貨の統合が実現されているということ。アフリカ連合は、共通通貨圏の実現を通して市場統合を進めていく方針を採択しているが、奇しくもその統合はフランスのシステムのもと実現されている。


他方、このユーロペッグ通貨、デメリットも少なくない。まずは既に述べた外貨預け入れ。そして命令的指示に従う義務。これをめぐってはフランスと加盟国の間でこれまでも意見の食い違いがしばしば生じてきた。

さらに。ユーロ固定ということは事実上、ヨーロッパと擬似同一経済圏ということになる。このことは域内の他の国に比べ物価の高止まりを意味する。逆に言えば、労働賃金や原材料、ロジスティックコストが高いことを意味し、そのまま「競争力」の問題に跳ね返ってくる。

そして何より、独立国として通貨政策の自由がなくて良いのか、という尊厳に関わる問題も提起される。いつまでフランスへの依存に頼るのか、われわれはリスクも含め、独立国として固有の責任を負うべきではないのかと。独立50周年を迎えた2010年には、大きな議論が巻き起こった。

そういえばフランCFA、70年前に植民地時代に生まれて以来、ずっとこの呼称が変わっておらず、フランCFAのままだ。ただ、その植民地当時の正式名称は'franc des colonies françaises d'Afrique'、つまり「植民地フラン」のCだったのだ。

フランCFAはフランスによる「ネオ植民地主義」ではないのか?


こんな議論の中、先日4月7日に、カメルーンの首都ヤウンデでフランCFA圏の財相サミットが開かれた。注目ののトピックは・・・もちろんフランCFAの行く末についてであった。

(つづく)

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