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映画『Wùlu(ウル)』観てきました!〜マリを蝕む組織犯罪と若年層

2017-07-13 14:30:02 | アフリカ映画
先日、話題で触れた映画、『Wùlu(ウル)』。

映画『Wùlu(ウル)』〜マリを蝕む組織犯罪と若年層

マリ人ダウダ・クリバリー監督、2015年作品。前回、当地コートジボワールのフランス映画祭の際は、遅刻、早退の観劇だったので、ちゃんと見るのは今回が初めて。重たく、ズシっとくる映画の余韻が残る。



(モノの情報によるあらすじ)
ラディは模範的な運転手見習いであったが、仕事を失ってしまった。生活のため、かれはマリ国境までコカインを輸送する「運び屋」の仕事に手を染める。次第に良心の呵責も薄れ、その道で地位を上げていく、、、。若さ、貧困、野望の中で、ひとは組織的犯罪行為への幻惑に抵抗することができるだろうか?先鋭的なマリ人監督が描く、社会と政治への鋭い眼差し。


映画は叙述的なテロップから始まる。いわく。
野生界には五つのレベルがある。ライオンは来し方を振り返り、ダチョウはいく末を見つめる。鳥は空から大地を眺め、人は宇宙と遭遇する。そしてイヌ。Wùluとはイヌ。この物語は、イヌのレベルの話である。


映画の2006年から2012年までを時代背景としている。主人公はかつて不法取引に手を染めた乗り合いバス見習いの貧しい青年。しかしより良い報酬を求めて、再び麻薬取引に手を染め、その世界に深く入っていく。ダカールへの危険な運び仕事、マリ国境キディラでの検挙。ギニア国境での買収。

トンブクトゥへの運び屋ミッションは、壮絶な掃射を受け、命からがらその場を逃れた。しかし仲間は銃弾に伏した。しまいにはアルジェリア国境へ、大量のブツを移送。危険なポーカーのジャックポットに賭した。

カネは青年を頽廃の世界に陥れ、そして再び危険な旅路に誘う。潤うほどに無機質、無表情になっていくラディ。なんのために生きているのか。何を喜びとし、何を悲しみとして生きているのか。彼は自らの生きざまにアクセルを緩めることなく、、、



映画には繊細な時代背景描写がある。ストーリーのスタートは2006年。麻薬のマフィア取引が隆盛した時期でもあり、サヘル地域がイスラーム武装勢力に支配される前夜だ。ストーリーにはマグレブ諸国のアル・カイーダ(AQMI)が登場するが、彼らがその名を世に出したのは2007年だ。セスナ機による取引は、2010年のマリ北部へのボーイング727機の砂漠への不時着事故を想起させるもの。

また映画の中では2008年、クリスマス・イヴに発生したギニアのダディ・カマ大尉によるクーデターを報じる国際メディアが写されるシーンがある。


大胆なカットの推移や登場人物の入れ替わり、象徴的な描写などで分かりにくい部分もあるが、かの世界のリアリティを覗くのに十分な迫力。今後、この映画は方々で紹介されていくことであろう。機会があれば、ぜひご覧いただいては?


長編映画
2015年、セネガル・フランス、95分
ダウダ・クリバリー監督(マリ・フランス人)
La Chauve-Souris制作
フィクション
フランス語、バンバラ語、アラビア語


(おわり)
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