ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

日本文化情報センターの活動「新美南吉生誕100年記念翻訳」

2013-06-10 |  新美南吉
 今年に入ってからずっとこのことを発表したかったのですが、ようやく翻訳作品がベラルーシの雑誌に公表されましたので、今日初めてご報告します。
 2013年に始まった、新美南吉生誕100年を記念した翻訳作業です。
 皆さんは「ごんぎつね」を教科書で、また絵本で「手袋を買いに」などを読んだことがあると思います。
 日本文学界で言えば「東の宮沢賢治、西の新美南吉」と言われるぐらい、有名な作家です。
 その新美南吉が今年生誕100年を迎え、故郷である愛知県半田市では今年初めから連日、イベントが催され、大変な盛り上がりとなっています。
 
 さて、日本文化情報センターは児童図書館内の一施設としてオープンしましたので、日本文化の紹介をするときに、児童文学についての紹介にも力を入れています。日本の児童文学だけに限れば、所蔵文献、情報量はベラルーシで一番だと思います。
 そのような弊センターが新美南吉の童話をロシア語とベラルーシ語に翻訳し、広く紹介しようと決定したのが、今年の1月初めでした。
 その後翻訳作業を進めてきたのですが、現在5作品をロシア語に、さらにそのうちの4作品をベラルーシ語に翻訳しました。
 このように書くと、私が1人で翻訳したように思えますが、実際に翻訳したのは私ではありません。
 どうしても外国語から母国語に翻訳するのは楽でも、その逆は難しいのです。つまり私の場合、日本語である南吉童話をロシア語やベラルーシ語に翻訳するのは難しいので、ベラルーシ人に翻訳してもらいました。

 その1人は私の娘です。母国語はロシア語で、日本語能力試験N3(3級)認定書を持っており、幼稚園から現在に至るまでベラルーシ語学級で学んでいる小学6年生です。
 短い作品は30分でさらさら翻訳してくれました。私だったら10倍ぐらい時間がかかるところです。
 しかし、何と言ってもまだ小学生なので、文章が子どもっぽすぎるのと、PCでの打ち込み作業は遅いので、手書きで書いた翻訳文を私がPCで打ち込み、さらにそれをベラルーシ人のニコライさんが推敲してくれました。
 ニコライさんは日本語の読み書きができる人なので、文章を推敲してもらったり、私の打ち込みミスを直してもらったりしました。
 
 さらに同僚である図書館司書さんで、ベラルーシ語のとても得意な人、さらに雑誌編集部の人たちにチェックしてもらいました。
 このように彫刻にたとえると新美南吉が書いた原作が原木で、うちの子がノミで大体の形を掘り出し、私が細かいところを削って、さらに多くのベラルーシ人の協力者さんたちが磨きをかけてくれ、ようやく一つの作品ができあがった、という感じです。

 現在はあちこちの雑誌編集部や新聞社などに掲載依頼をしているところなのですが、今日第一歩として、ベラルーシの雑誌「ビブリヤテカ・プラパヌエ」2013年6月号にロシア語に翻訳された2作品「でんでん虫のかなしみ」と「あめ玉」が掲載されました。
 新美南吉はベラルーシでは全く知られていない作家なので、私がロシア語で書いた作家の紹介も載りました。
 それから、皇后陛下が子ども時代に新美南吉の童話を読んだときの思い出を、講演として1998年インドで開催された国際児童図書評議会第26回世界大会で、ビデオ上映されたものが、すえもりブックスから発行されています。
 この講演部分で「でんでん虫のかなしみ」について述べられている部分を、参考資料として編集部に渡したのですが、それもロシア語訳といっしょに掲載されました。

 この雑誌「ビブリヤテカ・プラパヌエ」ですが、翻訳すると「図書館は提案する」という何だかすごい雑誌名です。
 その名のとおり、ベラルーシの図書館司書向けに毎月発行されている業界紙のような雑誌で、一般向けには販売されていません。
 発行部数は5100部で、ベラルーシにある図書館、学校図書室に配られています。主な都市にある公立図書館には必ず置いてあり、まずは司書が読んだ後、閲覧室で自由に読める雑誌です。学校図書室には置いてあるところと置いていないところがあります。
 とにかく、ベラルーシ中の5000箇所の図書館で南吉童話が読めるようになったので、うれしいです。

 他の雑誌、新聞などにも掲載される予定です。公表され次第、この記事内でお知らせします。

 今回の翻訳作業については半田市にある新美南吉記念館からの多大なご協力をいただきました。
 新美南吉の公式写真の転載を許可してくださったり、翻訳作業中に出てきた細かい疑問についても丁寧に教えていただきました。
 本当にありがとうございます。
 このブログ記事についている写真も新美南吉記念館からの提供です。

 新美南吉記念館のサイトはこちらです。

 そして今年大変な盛り上がりを見せている新美南吉生誕100年記念事業についてはこちらです。
 イメージキャラクターのきつねのごん吉君のフェイスブックとか、とにかくすごいです。
 私は遠方に住んでいるので、今年中にはとても行けそうにもない半田市・・・。
 日本に住んでいる皆様、機会がありましたら、ぜひ新美南吉のふるさとを訪れてみてください。

 日本文化情報センターでは朗読会なども予定していますが、これらのロシア語・ベラルーシ語訳関連の活動が、新美南吉生誕100年記念事業実行委員会から、正式に認められ、後援を受けることになりました。
 ちゃんと実行委員会長様から、後援の認定書が送られてきました。
 感動です。いや、感動にひたっているだけではなく、ちゃんとベラルーシで南吉作品の紹介をしなくては! と気合が入っているところです。

 新美南吉作品のロシア語・ベラルーシ語訳についてはまた続報をこのブログで公開します。お楽しみに。

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 すえもりブックスの「橋をかける 子ども時代の読書の思い出」はロシア語訳も出ていますが、現在は絶版状態です。(日本文化情報センターには幸い寄贈してくださった方がいたので、一部所蔵しています。)
 この本に収録された皇后陛下の講演の内容は現在、宮内庁HP内で読むことができます。もちろん新美南吉の童話のことだけではなく、美智子様が読んでこられた児童文学についての思い出やお考えなどが書かれています。読んでいるこちらの心が洗われるような文章なので、ぜひ読んでみてください。
(本当にロシア語に訳してくれてありがとうございます。)

 新美南吉の作品と言えば、「ごんぎつね」「手袋を買いに」が有名ですが、そのほかの作品は知らない、と言う人もぜひいろんな作品を読んでみてくださいね。
 そういう私も新美南吉の作品を今までそんなに深く考えることはなかったのですが、勉強しましたよー。
 このことについても、また翻訳作業裏話など、おいおいこのブログで書いてみたいと思います。 

 それから「日本語能力試験って何?」と思われた方へ。日本人には必要ない試験なので、日本ではあまり知られていませんが、日本語を勉強している外国人の間ではとても重要な試験です。
 チロ基金はベラルーシで日本語を勉強しているベラルーシ人がこの試験を受験するのを支援する活動を行っています。
 日本語能力試験についてはこちらです。

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 関連記事のリンク集です。

 2013年6月12日と13日に国立ベラルーシ文化研究所で行われた第2回国際学術会議「ベラルーシ文化 現代におけるその実態 文化発展のための提案と異文化コミュニケーション」に参加し、発表論文「自国文化をプレゼンテーションする方法と異文化の紹介としての児童文学翻訳(日本人作家新美南吉を例として)」の中で新美南吉の作品「去年の木」のベラルーシ語訳を朗読しました。詳しくはこちらです。

 新美南吉生誕100年記念に関してロシア語でベラルーシ人向けに紹介しているサイトはこちらです。

 2013年5月にネット上で起こった「ごんぎつね論争」についてはこちらです。

「手袋を買いに」のロシア語訳についてはこちらです。

 おまけ。ニコニコ動画で見つけた「ごんぎつね」と「二匹の蛙」の動画。

 2013年7月に日本文化情報センター内で開催の新美南吉展についてはこちらです。

 ベラルーシの児童雑誌「カチェーリ」2013年7月号に掲載された作品についてはこちらです。

 2013年7月25日付のベラルーシの新聞「ゴーラス・ラジムィ」紙に新美南吉を紹介する記事、作品がベラルーシ語に翻訳されたニュースが掲載されました。こちらをご覧ください。(記事はベラルーシ語で書かれています。)

 2013年7月30日にミンスク市立第5児童図書館内で行われた新美南吉生誕100年記念朗読会についてはこちらをご覧ください。

 2013年7月31日付読売新聞夕刊でベラルーシで南吉童話が紹介されることが記事になりました。が、しかし受けた取材の内容はほとんどカットされたので、ブログ上でご紹介しています。

 2013年8月3日付のベラルーシの新聞「クリトゥーラ」紙に新美南吉を紹介する記事、ベラルーシ語に翻訳された3作品が掲載されました。詳しくはこちらをご覧ください。(記事はベラルーシ語で書かれています。)

 2013年8月のベラルーシのネットニュース「マラドスツィ」で新美南吉生誕100年記念朗読会のニュースが報道されました。
 詳しくはこちらをご覧ください。

 2013年8月7日付ミンスク市立児童図書館ブログで新美南吉朗読会が紹介されました。

 「新美南吉と私」と言う連載記事を投稿してみました。
 
ベラルーシ国立図書館が隔月で発行している雑誌「ライブラリー・ワールド」2013年第4号で、新美南吉が取り上げられ、「去年の木」のロシア語訳が掲載されました。詳しくはこちらをご覧ください。

 2013年9月30日世界翻訳の日に開催された新美南吉作品ロシア語・ベラルーシ語翻訳記念朗読会についてはこちらです。

 2013年7月30日と9月30日に行われた朗読は、新美南吉生誕100年記念事業実行委員会より、後援を受けています。
 新美南吉生誕100年記念事業のサイト内「後援事業・その他」のページで、この朗読会についても紹介されました。

 ベラルーシの児童雑誌「ストラナ・スカザク」にロシア語訳の新美南吉童話が掲載されました。

 2013年10月20日付読売新聞滋賀県版のコラムで紹介されました。詳しくはこちらです。

 新美南吉の作品についてベラルーシ人の感想文の日本語訳は第一弾がこちら。そして第2弾がこちらです。

 ベラルーシの文芸雑誌「マラドスツィ」2013年10月号に南吉童話のベラルーシ語訳2作品が掲載されました。詳しくはこちらです。


ベラルーシの雑誌「ビブリヤテカ・プラパヌエ」2013年11月号に学校図書室で司書をしている方の新美南吉童話の感想が掲載されました。その日本語訳はこちらです。


 2013年11月15日にバラノビッチ市内の図書館で朗読会を行いました。詳しくはこちらです。


 2013年12月12日にオシミャヌイ市内の図書館で朗読会を行いました。詳しくはこちらです。

 2013年12月19日にミンスク市内の学校で朗読会を行いました。詳しくはこちらです。

 ベラルーシの雑誌「ビブリオテカ・プレドラガエト」2014年1月21日発売号に新美南吉の紹介記事が掲載されました。詳しくはこちらです。

 新美南吉記念館が毎年発行している新美南吉記念館研究紀要の第20号にベラルーシから寄稿しました。また記念館だより171号でも翻訳活動について紹介されました。詳しくはこちらです。

 新美南吉の代表作である「ごんぎつね」のベラルーシ語訳がベラルーシの文芸雑誌「マラドスツィ」2014年12月号に掲載されました。
 詳しくはこちらです。

「ごんぎつね」を読んだベラルーシ人からの感想はこちらです。
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