23日の午後から、2泊3日で福島市と郡山に行ってきました。
福島大学の准教授になっている海城時代の2人の教え子(小山良太くん・清水晶紀くん)と会い、小山くんが農業関係者にする放射能汚染状況の講演を聞いたり、東大の島薗進教授らと福大の彼らが行うシンポジウムに参加するためです。
この間、彼らを含めてフクシマの取材を精力的にやってきたフリーライターの義理の息子・有太マンの運転です。
有太マンが構成を担当した『週刊朝日』の「FromF」という半年にわたったグラビア連載が、現在発売中の3月30日号でちょうど完結し、その記念に、去年の6月に小山くんと清水くんを有太マンに引き合わせてそのきっかけを作った僕にも声がかかったのです。
泊まった福島市内の23日の夜には思いがけない、かき氷のような雪が降り積もったり、25日の夕刻にも福島大学周辺にまた雪がちらついたりでしたが、2泊3日の充実した旅を終えて、無事帰ってきました。
小山くんがメイン講演をした郡山市の「福島視察・全国集会」と、小山くんがパネリストとして加わった福島大学での「特別講演&シンポジウム in 福島大学」は、両方とも充実した内容で大いに勉強になりました。
1.福島視察・全国集会
「農から復興の光が見える~有機農業が作る持続可能な社会へ~」
主催:福島県有機農業ネットワーク
日時:3/24・3/25
会場:ホテル華の湯(郡山市磐梯熱海温泉)
小山良太「福島県内における放射能汚染の実態と今後の対策」
2.特別講演&シンポジウム in 福島大学
「放射能災害と被曝リスク~原発事故から1年、リスクはどう語られてきたか~」
主催:福島大学経済経営学類
日時:3/25
会場:福島大学共通講義棟L4教室
★ 特別講演①
「原発災害と医学者の倫理」
講師:島薗進氏(東京大学大学院教授、宗教学)
★ 特別講演②
「原発災害後の報道と専門家の発言」
講師:影浦峡氏(東京大学大学院教授、言語メディア論)
★ パネルディスカッション①
「余計な被曝をいかに避けるか」
パネリスト:影浦峡(東京大学)、島薗進(東京大学)、遠藤明子(福島大学)、小山良太(福島大学)
★ パネルディスカッション②
「被曝リスク負担の公平性を考える」
パネリスト:影浦峡(東京大学)、島薗進(東京大学)、後藤忍(福島大学)、永幡幸司(福島大学)
関連した以下のサイトを、ぜひご参照ください。
小山良太「福島県における放射能汚染問題-実態把握を踏まえた安全対策の必要性-」 (『農中総研 調査と情報』2012年3月号)
島薗進「日本の放射線影響・防護専門家がICRP以上の安全論に傾いてきた経緯(1)~(5) ――ICRPの低線量被ばく基準を緩和しようという動きの担い手は誰か?――」など
影浦峡「中川恵一氏を擁護する(「専門家」の見解をどう捉えるか(3))」
正面の建物が「特別講演&シンポジウム in 福島大学」の会場ですが、その手前に見えるのは放射能測定装置です。
ここで測定された放射線量が、学内のあちこちに立っている電子掲示板に「現在の放射線量」として掲示されているようです。
去年の6月に来た時にはなかったので、少々ショックを受けました。
電光掲示板の数値を見ると、0.276マイクロシーベルトで、決して低い数値ではありませんが、意外にそう高い数値でもありません。
ところが、これが何と1週間ほど前に放射能測定装置の周辺だけを徹底的に除染した「偽装」だというのです。
実際には、キャンパスの大部分は0.8マイクロシーベルトもあるといいます。
果たしてこうした事実を、学生たちは知っているのでしょうか。
しかも、このような「偽装」は福大だけに限ったことではないという話も聞きました。
もしそれが事実だとすれば、学生や市民、とくに子どもたちへの許しがたい犯罪だと思います。