長内那由多のMovie Note

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『インデペンデンス・デイ リサージェンス』

2017-02-11 | 映画レビュー(あ行)


夏だ!映画だ!宇宙人侵略だ!
天災と続編映画は忘れた頃にやってくる。1996年のメガヒット作『インデペンデンス・デイ』20年ぶりの続編だ。
96年という時代のせいか、前作は今見ると非常に呑気なアメリカ万歳映画だったが、嫌いになれない魅力があった。宇宙人による圧倒的な破壊のカタルシス、大統領から市井の人々まで入り乱れたパニック映画としてのアンサンブル、そして何より当時、新たな代表作を得る事の出来なかったジェフ・ゴールドブラムを復活させ、ウィル・スミスを大スターへと押し上げた功績は大きい。映画ファンが一番に押す映画ではないが、多くの人々に好かれた映画だった。

残念ながらこの続編はこれだけのブランクを得ながら何一つ十分な企画開発が行われておらず、魅力を受け継ぐ事に失敗している。賢明なウィルはアメコミ映画に乗り換えてしまったため、実質上の主役不在。ゴールドブラムはこの20年でウェス・アンダーソン組に入ってしまったので、大作SF映画にはあまりにオフビートが過ぎる。カリスマ的な大統領役で人気を博したビル・プルマンはその後、デヴィッド・リンチの怪作『ロスト・ハイウェイ』に出演した事からも分かる通り、元来このジャンルに向かない人である。

となれば新進スターに頑張ってもらいたいところだが、リアム・ヘムズース、マイカ・モンローらは説明セリフだらけの憐れな脚本によってペラッペラの紙みたいな人物を演らされている。

それもこれも完全にピークを過ぎたローランド・エメリッヒ監督の責任であり、タメのないスペクタクル描写の数々は少しもスリルとサスペンスを生み出さないという異常事態に発展している。こんなにハラハラドキドキしないサマームービーなんてありかよ!そもそも救難信号を受けてやってきたのに同じ物量作戦とか、インデペンデンス・デイ星人も準備悪すぎだよ!

“宇宙人侵略モノ”とは時代を映す鏡でもある。
映画では度々、エイリアンに時代の仮想敵国が反映されてきた。96年の前作には“アメリカの敵は宇宙人くらい”という能天気さがあったが、本作には敵(テロリスト)は全員ぶち殺せ!という気配が伺える。前作の戦いを経た事によって世界から紛争がなくなったという基本設定は9.11以後の今、意義深いが、やたらと好戦的な幕切れと言い、トランプ時代の不穏な空気感だけは反映された娯楽作だなぁと思った次第。



『インデペンデンス・デイ リサージェンス』16・米
監督 ローランド・エメリッヒ
出演 ジェフ・ゴールドブラム、ビル・プルマン、リアム・ヘムズワース、マイカ・モンロー、ジョーイ・キング、シャルロット・ゲンズブール
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