長内那由多のMovie Note

映画レビュー、俳優論など映画のことを中心としたブログ

『ジョン・ウィック』

2017-06-18 | 映画レビュー(さ行)


キアヌ・リーヴスという俳優は何とも不思議なキャリアの持ち主だ。
本人はアクション映画に留まらず、インディーズ映画にもギャラを度外視して出演するこだわりを持っているが、哀しいかなこんなに演技力が向上しない人も珍しい。何度も“過去の人”扱いされてきたそのキャリアはアクション映画への出演で何度も浮上した。『ハート・ブルー』『スピード』、そして今やSF映画史に残る金字塔となった『マトリックス』3部作…エキゾチックな顔立ちと痩身には類稀な運動神経が備わっており、アクションスターとしてならその無表情も“クール”と映える。

本作はキアヌ演じる主人公ジョン・ウィックが最愛の妻を亡くしたところから始まる。傷心を妻が残した愛犬で慰めるキアヌ。ところがロシアンマフィアのドラ息子がキアヌの愛車マスタングに目を付け、邸に侵入。キアヌに重症を負わせ、目の前で愛犬を殺してしまうのだ(我が家に来てまだ2日なのに!)。
ドラ息子がマスタングを車屋に持ち込むと、お抱えディーラーのジョン・レグイザモ(半ドン仕事も数をこなせば貫禄になる)が顔色を変える「マジでか…」。キアヌはその昔、最強と謳われた伝説の殺し屋だったのだ!周りが最強伝説を話せば話すほどギャグにしか聞こえない振り切れ方が可笑しい。かくして“Just a Dog”なキアヌの復讐劇が幕を開けた!

ジョン・ウィックの戦闘スタイルは近接格闘と銃撃を組み合わせた“ガンフー”なるオリジナル戦術。ほとんどダンスの如くキアヌが舞い、刺し、撃つのだが、ダブルタップで確実に殺しているところにマンガに終わらないリアルな迫力がある。スタントマン出身のチャド・スタエルスキー監督はアクションのバリエーション作りにも余念がなく、キアヌは見事な銃さばきでアサルトライフル、ショットガン、ライフルをぶっ放す。クライマックスではマスタングに乗ったままハンドガンで皆殺しにする無双っぷりで、ロシアンマフィアも最後には「あ、オレ詰んだ」と諦めモードに入ってしまうのがユカイだ。

殺生厳禁の中立ホテルや、裏社会共通通貨のコイン、ウィレム・デフォーの渋味など裏社会のディテールもマンガとハードボイルドの間で程よい味付けになっているのが魅力。第2弾が間もなく公開されるが、またワンちゃんは殺されちゃうんでしょうかね?


『ジョン・ウィック』14・米
監督 チャド・スタエルスキー
出演 キアヌ・リーヴス、ウィレム・デフォー、ジョン・レグイザモ
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