長内那由多のMovie Note

映画レビュー、俳優論など映画のことを中心としたブログ

『キングスマン』

2017-05-11 | 映画レビュー(か行)


原作マーク・ミラー、監督マシュー・ボーンの『キック・アス』コンビ最新作は“英国らしさ”をこれでもかと肯定したブリティッシュイズム溢れる快作スパイアクションだ。
表の顔はロンドンの高級テーラー、その裏の顔は世界の平和を陰から守る秘密結社“キングスマン”というボンクラ設定を、今やオスカー俳優となったコリン・ファースを筆頭にマーク・ストロング、マイケル・ケインら眼鏡とスーツが似合うミドル達が大真面目に演じているのが堪らない。『スカイフォール』『スペクター』と同様に“旧いものは良い”という精神に則って、いかに英国的な物が唯一無二なのか実証して見せるのが本作だ。

もちろん、ボーン×ミラーのコンビだから堅苦しさはない。根底にあるのは初期007シリーズへのオマージュに満ちた、スパイアクションというジャンルへの偏愛だ。
世界征服を企むのは悪の組織でもテロリストでもなく、既に僕らを征服しているシリコンヴァレーのIT長者だ。ゲスな人間をとことんゲスく演じてくれるサミュエル・L・ジャクソン叔父貴が、悪党の慣例にそって主人公に振る舞うディナーはなんとビッグマック。ケータイもマクドナルドも不偏で均一化された世界標準だが、鍛錬とオーダーメイドによって創られた“キングスマン”たる英国式マナーの特権性にはかなわない。公営団地の悪ガキから英国紳士へと成長していく新星タロン・エガートンは後半、映画を牽引し、頼もしいデビューを飾っている。

ボーンは『キック・アス』以上に下品でノリの良いキレを発揮している。
とても運動神経がいいようには見えないコリン・ファースがアメリカ南部はキリスト教原理主義者の集う教会で300人斬りを繰り広げるアクションシーンは2015年最高のアクションシークエンスの1つだ。あの人たち、なんにも悪くないのに!w


『キングスマン』15・英
監督 マシュー・ボーン
出演 タロン・エガートン、コリン・ファース、サミュエル・L・ジャクソン、マイケル・ケイン、マーク・ストロング

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