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ひっそり値上げ。缶ビールは「安売り規制」でいくらになったのか?

2017-06-02 10:37:33 | ニュースまとめ・総合
ひっそり値上げ。缶ビールは「安売り規制」でいくらになったのか?



2017年6月2日 5時0分

まぐまぐニュース

6月1日より「改正酒税法」が施行され、これまでのような「原価割れ販売」が厳しく規制されます。これにより、どこで買ってもほとんど同じ金額になることから、「町の酒屋さんに活気が戻るのでは」との意見もあります。しかし、無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』の著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんは「総合的に見ると、一部の既得権益層を除き誰も得しない」と、厳しい見方を示しています。
酒の安売り規制開始。ビール類が1割以上値上がりした例も

「お酒を買うなら5月中、本日まで。明日6月より約1割値上がりします。お買い得価格でお買い求めいただけるのは本日までです」

東京都内のある食品スーパーでは、お酒の購入を促す録音音声を繰り返し放送していました。店員も同様のことを口にしながらビールなどを陳列していました。売り場には5月中に購入することを促す店頭販促(POP)が掲げられていました。

このスーパーでは5月31日と6月1日とでお酒の価格が大きく変わりました。例えば、350ml缶6本パックの税抜価格はビール「キリン 一番搾り」が1,000円から15.8%増の1,158円に、発泡酒「キリン 淡麗グリーンラベル」が708円から14.1%増の808円に、第三のビール「キリン のどごし生」が595円から10.6%増の658円に値上げされていました。

6月1日から酒税法などの改正法が施行され、仕入れ代に販管費を加えた総販売原価を下回る原価割れ販売が規制されるようになりました。いわゆる「酒の安売り規制」です。これを受けてメーカーは値下げの原資となる販売奨励金(リベート)を減らしているため、お酒の店頭価格が上昇しているのです。

キリンは他社に先駆けて1月からリベートの減額を開始しました。その結果、一部の店頭価格が上昇しました。同社の「2017年12月期第1四半期決算 決算説明会資料」によると、350ml缶6本パックの「キリン 一番搾り」のスーパーでの税抜価格は、1月以前は1,000~1,020円程度だったのに対し、リベートを減らした1月以降から4月まででは1,050~1,060円程度にまで上昇しています。他の大手ビールメーカーも見直しを進めています。

改正酒税法は議員連盟「街の酒屋さんを守る国会議員の会」が改正案を国会に提出したことで成立しました。スーパーやディスカウントストアの安売り攻勢で街の酒屋は苦境に立たされていました。そこで、街の酒屋が集まる団体が同議員連盟に働きかけました。そして、酒の安売りに規制がかかるようになったのです。

改正酒税法により価格は上昇することが予想されます。メーカーとしてはリベートを減らす大義を得ることができ、安売り体質から脱却できるため基本的には歓迎しています。一方、消費者は従来より高い価格で買わざるを得ず、大手スーパーなどは集客の目玉を失い、リベート収入が減るため喜ぶことはできません。

長期的には、消費者のアルコール離れにより市場が縮小し、街の酒屋やメーカーも苦境に立たされる恐れがあります。街の酒屋の場合、競合はスーパーやディスカウントストアだけではありません。コンビニエンスストアが大きく立ちはだかると考えられます。

コンビニはもともと割引が少ないため改正酒税法の直接的な影響はほとんどないとみられます。スーパーなどの安売りされたお酒を目当てにしていた消費者がコンビニに流れることが考えられるため、コンビニにとってはむしろ追い風となりそうです。街の酒屋とコンビニとでは価格に大きな差はないため、利便性やブランド力の観点から街の酒屋よりもコンビニに多くが流れると考えられます。

価格が高くなったことにより消費者のアルコール離れが進めばメーカーにとっても大きな打撃でしょう。改正酒税法の影響がないアルコールでカバーするにしても、影響は小さくないと考えます。近年増加傾向にある「家飲み」需要に水を差すかたちになるからです。

サントリーは今年4月に家飲みに関する消費者調査の結果を「RTDに関する消費者飲用実態調査 サントリーRTDレポート2017」で公表しているのですが、家飲みが増えたと答えた人が24.4%にものぼり、減ったと答えた人を約9ポイント上回るという結果が示されています。家飲みは増加傾向にあるとしています。

また、家飲みはビール系飲料(ビール、発泡酒、第三のビール)とRTD(Ready to Drink)と呼ばれるそのまますぐ飲める缶チューハイなどの低アルコール飲料で多くを占めているのですが、2016年のRTD市場は9年連続で前年を超えて過去最大の市場規模に成長し、家飲み市場を支えていることが示されています。

家飲み市場は拡大しています。しかし、メーカーのリベートはビールや缶チューハイに手厚いとされるため、酒の安売り規制により家飲み市場が縮小してしまう恐れがあります。さらに、ビール系飲料の販売数量が減少していることも好ましくない状況です。

キリンの「DATA BOOK 2015」によると、国内大手5社のビール系飲料の課税数量は2006年には約630万キロリットルありましたが、2015年には537万キロリットルにまで減少しました。この10年間で約90万キロリットル減少し、年間ベースで一貫して減少しています。

ただ、今後の販売数量は伸びる可能性があります。今後10年でビール系飲料の酒税を一本化するのですが、発泡酒と第三のビールは増税になるもののビールは減税になるため、課税数量で依然過半を占めるビールが全体を引き上げ、全体では販売数量が伸びる可能性があるからです。ビール系飲料の中でビールの割合は減っているものの、それでも課税数量は過半を占める稼ぎ頭です。

酒税の一本化はビール系飲料の販売数量が増加する要因になる可能性があります。一方、酒の安売り規制は減少要因になります。中長期的にはこの二つの要因のせめぎ合いにより売り上げが大きく左右されそうです。

短期的には売り上げは低下することになるでしょう。経済産業省が「酒類関連産業の動向と飲食消費行動の変化」を調べた調査では、家飲みのための酒類の購入先はスーパーとディスカウントストアが上位を占めていています。安売りしている業態で酒類を購入している消費者の実態が確認でき、「安さ」が購入の決め手になっていることがわかります。そのため、値上げによりお酒を敬遠する消費者は少なくないと考えます。

実際、キリンは1月からリベートを減らし店頭価格が上昇したことで、ビール系飲料の売り上げは減少しています。1~3月のビール系飲料の売上高は前年同期と比べ約7億円減少(0.6%減)しています。

価格の決定は本来企業経営の問題で国が規制するべきものではありません。公正な自由競争がなくなり、結果として市場が縮小してしまう可能性があります。全体のパイが小さくなってしまえば、メーカーや街の酒屋の首をも絞めることになるでしょう。市場縮小で税収が減ってしまえば国も損害を被ります。消費者も得することがありません。一部の既得権益層しか得しないのではないでしょうか。
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