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トランプ氏で露見した「文民統制」の危うさ

2017-06-28 13:09:51 | ニュースまとめ・総合

トランプ氏で露見した「文民統制」の危うさ


6/28(水) 12:01配信

ニュースソクラ


 今年3月から5月にかけ、日本ではトランプ米大統領の威勢の良い発言に惑わされ、「米軍が北朝鮮を攻撃する」との報道が溢れた。それがいかなる惨禍をもたらし、日本にどのような影響が生じるか、を知らない右派の人々からは、「米国が北朝鮮をやっつけてくれる」との期待を示す言説も出た。

 だが、朝鮮半島の現実を知る米軍は武力行使に慎重で、6月には西太平洋での空母配備も1隻だけの平常状態に戻し、戦争の可能性は遠のいた。「軍人は戦争をしたがり、政治家がそれを抑制する」というシビリアン・コントロールの観念は常に正しいとは言い難い例だ。

 米軍と韓国軍は毎年春に合同演習「フォ-ル・イーグル」(若鷲)を行っており、今年も3月1日から4月末まで実施した。これに対抗して、北朝鮮は3月6日秋田沖に「スカッドER(射程延伸型)」4発を発射するなど威嚇行動をしたため、米海軍はシンガポールからオーストラリア訪問に向かっていた空母「カール・ヴィンソン」を反転させ、同艦は4月29日に日本海に入った。

 また昨年11月から横須賀で定期点検・修理に入っていた空母「ロナルド・レーガン」は5月7日に作業を完了、16日から日本海に向かった。空母「ニミッツ」は6月1日、ワシントン州キトサップ港を出たから、日本では「日本海に米空母3隻が集結」と報じられ、「Xディ(攻撃の日)は何日か」とはしゃぐような報道もあった。

 だが、「ヴィンソン」はすでに6か月近く海外に展開していたから、乗組員の拘禁性ノイローゼを防ぐためにも母港のカリフォルニア州サンディエゴに帰る必要があり、「レーガン」は中東海域に配備の予定で、西太平洋は通過するだけ。仮に日本海に入っても少し顔を出す程度か、と思われた。

 結局、西太平洋に残るのは横須賀を母港とする「レーガン」1隻だけで、まったく平常の配置に戻った。

 米国防長官ジェームズ・マティス海兵大将(退役)は5月19日の国防省の記者会見で、北朝鮮の核・ミサイル問題につき「軍事的解決に突き進めば信じられない程の規模の悲劇となる。外交的手段による解決のために国連、中国、日本、韓国と協力して行く」と述べ、その後のテレビ番組でも、それを力説した。

 「知勇兼備」の評がある歴戦のマティス大将が、武力行使は駄目だ、と言うのは当然だ。3月22日の本欄で書いたように、米国は1994年に北朝鮮の原子炉等の航空攻撃を検討したが、在韓米軍はそれは1953年以来休戦中の朝鮮戦争の再開を招き、最初の90日間で米軍に5.2万人、韓国軍に49万人の死傷者が出て、民間人の死者は100万人以上、との損害見積もりを本国に提出、米国は攻撃を諦めた。

 今日、攻撃の困難と危険は23年前の比ではない。原子炉などは空から見える固定目標で破壊自体は容易だったが、核弾頭になればどこにあるかわからない。弾道ミサイルも移動したりトンネルに隠されているから、攻撃で一部を破壊しても、残った物が韓国や日本に発射される。

 また、ソウルからわずか40キロほどの停戦ラインのすぐ北側の地下陣地には射程60キロの22連装ロケット砲や長距離砲が300門以上配備され「戦争になればソウルは火の海」と北朝鮮が言うのは事実だ。

 北朝鮮の要人殺害をはかる「斬首作戦」も報じられたが、要人の所在を確実にリアルタイムで知ることはきわめて困難だ。オサマ・ビン・ラディンの殺害は米軍のアフガニスタン侵攻の10年後だったし、サダム・フセインの拘束は米軍がイラク全土を占領した8か月後だった。指導者を殺せば大団円になるのはハリウッド映画の話で、イスラム過激派のテロもイラクの混乱も要人の殺害、処刑では片付かなかった。

 軍事知識のないトランプ大統領が「外科手術的攻撃」など勇ましいことを言うのに対し、マティス大将や安全保障担当の大統領補佐官ハバート・マクマスター陸軍中将らが現実を説いて諫め、トランプ氏もそれを受け入れたようだ。5月1日にはブルームバーグ通信のインタビューで「金正恩氏と会談できれば光栄」とまで語って、話し合いの道を探る姿勢に転じた。

 「シビリアン・コントロール」は「視野が広い政治家が軍を統御し、暴走を防ぐ」という観念に立脚しているが、軍事史には逆の例も少なくない。

 イラク戦争開戦の直前、2003年2月25日には、米陸軍参謀総長のエリック・シンセキ大将(日系人)が上院軍事委員会で「イラクを攻撃するなら、その後数年間、数十万人の兵力を駐屯させる必要がある」と答弁し、主戦論者のジョージ・ブッシュ大統領(息子)やドナルド・ラムズフェルド国防長官の怒りを買って早期退職に追い込まれた。だが結果はまさにシンセキ大将の言った通りになった。

 1953年、ベトナムで敗北寸前になったフランスは米国に援軍の派遣を求めたが、米陸軍参謀総長マシュー・リッジウェイ大将は優秀な参謀将校数人を送って調査させ「介入するなら50万人以上の兵力が必要」との報告を受けて派兵に反対、歴戦の陸軍大将ドワイト・アイゼンハワー大統領もそれに同意し、フランスの敗戦に巻き込まれることを避けた。

だが、その後、米国は徐々にベトナムに深入りし、ピーク時の1919年には62万人余りを派遣したが勝てず、戦費の負担により最大の債権国から債務国に転落する結果となった。

 国際情勢や軍事問題の知識が乏しい大衆は「分かりやすい」対外強硬論に傾きやすく、政治家は国民感情を煽って支持を獲得しようとするから、好戦的な政権が生じがちだ。メディアも当初はそれに同調して人気を得ようとすることが多い。

 一方軍人は、現実的、合理的な判断を求められるし、常に最悪の事態を想定して予備兵力を保つ必要を教えられ、部下を無駄に死なせたくないから、概して優秀な将校ほど戦争に慎重だ。

 現在の日本では、稲田防衛相は平均的自衛隊幹部よりも右傾している感があり、シビリアン・コントロールが「稲田コントロール」になれば、抑制の効果はあるまい。

 戦前・戦中の日本軍人のように、精神主義に凝り固まり、政治権力の増大と派閥抗争に熱中し、補給を軽視して140万人もの兵を餓死させたような連中は、軍人の本来あるべき姿とは全く異なる。無能傲慢な官僚政治家に堕していたと言うべきだ。

 その点、米軍の上層部には視野が広く、合理的な判断をし、政治家をたしなめる知将が多いように思われる。ダグラス・マッカ―サーのように高慢な将軍は例外的だ。

 マティス大将はワシントン州の一般大学卒だが、数千冊の蔵書を持つ歴史研究家と言われる。マクマスター中将はウエストポイント(陸軍士官学校)を出て軍務についた後、ノースカロライナ大学の大学院で軍事史の博士号を得ている。

 国務長官にまでなったコリン・パウエル陸軍大将は軍の奨学金でニューヨーク市立大の夜間部を卒業し、任官したが、ベトナム戦争に2度従軍した後、ジョージ・ワシントン大学で経営学修士となった。

 日本では防衛大学校、幹部学校の成績が良かった士官が昇任するが、自分が勤務した部隊と使った装備、自衛隊関係法令以外の軍事知識は特に持たない職人的な幹部が多い。

 視野の広い高級幹部を育成するためには、米国のように防衛省が一般大学の学生に奨学金を出して優秀な人材を確保し、さらに国内・海外の大学院で修士・博士号を得た人を将官にするといった制度を考えることが軍のみならず「政治家の暴走」を防ぐためにも必要ではないか、と考える。
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