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核・ミサイル開発続ける北朝鮮 中国が制裁に及び腰なのはなぜか?

2017-08-05 14:24:19 | ニュースまとめ・総合
核・ミサイル開発続ける北朝鮮 中国が制裁に及び腰なのはなぜか?



2017年8月5日 13時30分

THE PAGE


 北朝鮮は7月28日深夜、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射しました。今年に入って、弾道ミサイルの発射は11回目になります。米トランプ大統領は翌29日「中国にとても失望した」と発言。米中首脳会談以来、トランプ大統領は中国に制裁強化を含む北朝鮮への働きかけを求めてきただけに、米本土を射程に収めるICBMの発射によって米国でも危機感が募っています。

 トランプ大統領の発言の背景には、国連安保理で北朝鮮への経済制裁が決議されてからも、中国が北朝鮮との貿易を中止していなかったことがあります。中国の貿易は「経済制裁を骨抜きにする」と批判される一方、「北朝鮮に中国が大きな影響力をもつ」ことの根拠と捉えられてきました。

 それでは、なぜ中国は北朝鮮への制裁に及び腰なのでしょうか。取り引きを続けることで北朝鮮に影響力をもつことは、中国にとってどんなメリットがあるのでしょうか。中国と北朝鮮の関係をまとめます。(国際政治学者・六辻彰二)
北朝鮮にとって9割占める中国との貿易

 まず、中国と北朝鮮の経済取り引きの状況を確認します。表1は、北朝鮮の貿易額を示しています。北朝鮮に対する経済制裁が国連安保理で決議されたのは、弾道ミサイル発射と核実験が実施された2006年からです。それ以降、多少の増減を続けながらもその貿易額に大きな変化はありません。

 ところが、そこにおける中国の割合は、2009年ごろから目立って上昇。これは北朝鮮の非核化をめぐる「六者会合」(日米韓朝中ロ)が行き詰まり、経済制裁が強化された時期にあたります。北朝鮮の主な輸出品は石炭で、中国からは石油・ガソリンなどが主に輸入されているとみられますが、2010年代半ばには輸出、輸入とも中国が全体の90パーセント前後を占めるに至っています。

 さらに、取り引きされているものには、エネルギーなど民生品だけでなく、核・ミサイル開発に関連する物資・技術も含まれているとみられます。日本を含む西側先進国で監視の対象となっている北朝鮮のフロント企業の多くは香港を含む中国を拠点にしており、これらを通じて北朝鮮は核・ミサイル開発に必要な物資などを調達しています。

 つまり、中国との経済交流は、北朝鮮に対する経済制裁の効果を弱め、金正恩体制が生き残ることを、結果的に可能にしてきたといえます。それは「北朝鮮に中国が大きな影響力を持つ」という見方につながるのです。
朝鮮戦争、そして「血の同盟」

 中国が北朝鮮への制裁に積極的でない背景には、その歴史的関係や地政学的条件があります。しばしば中国と北朝鮮の間には「血の同盟」関係があるといわれますが、それは朝鮮戦争(1950-53年)にさかのぼります。

 第二次世界大戦後、日本軍の撤退とともに「力の真空」が生まれた朝鮮半島では、北部にソ連の支援を受けた北朝鮮が、南部に米国の支援を受けた韓国が成立。東西冷戦のもと、1950年に北朝鮮が韓国に侵攻するや、米軍を中心とする国連軍がこれに介入。当初、押され気味だった韓国軍が国連軍とともに国境である北緯38度線を超えて進撃するなか、中国が北朝鮮を支援して介入してきたのです。

 中国の支援を受け、膠着状態となったことで、1953年に双方は休戦協定に調印(終戦ではない)。中国の支援がなければ、現在の北朝鮮の体制はなかったかもしれません。

 一方、中国にとっても、朝鮮戦争への介入には差し迫った事情がありました。伝統的に、中国を中心とする国際秩序である「華夷(かい)秩序」のもとで、朝鮮半島の各王朝は「宗主国」中国の「属国」という扱いでした。つまり、中国からみた朝鮮半島は自らの「勢力圏」。米国主導の国連軍が勝利し、朝鮮半島が韓国によって統一されることは、中国にとって「敵国」と隣り合わせになることを意味するため、北朝鮮を守る必要があったのです。

 その結果として生まれた「血の同盟」は、少なくとも公式には、中朝関係の基盤と位置付けられてきたのです。
中国からみた北朝鮮問題のリスク

 その一方で、中国にとって北朝鮮は、あまり信用できない「厄介な身内」でもあります。特に朝鮮戦争後、北朝鮮が核・ミサイル開発に強い関心を持ち始めたことは、中国にとっても安全保障上の問題となるものでした。

 核兵器不拡散条約(NPT)で「合法的な核保有国」と認められる中国にとって、核保有国が増えること自体、特権を脅かすものです。それが自分の勢力圏と捉える北朝鮮なら、なおさらです。そのため、中国は北朝鮮に関して「冷静な対応」を各国に求める一方、「朝鮮半島の非核化」も求めています。

 中国が北朝鮮の核武装を望まなかったことは、その開発過程からも見て取れます。中朝間では1980年代半ば、ウラン濃縮に必要な超高速遠心分離機に関する技術交流が行われていました。しかし、北朝鮮の核開発に関する情報が各国に伝わり始めていた1991年、共同研究は中断。これに関して、中国は「北朝鮮の事情」と述べるにとどめています。

 核・ミサイル開発そのものだけでなく、それに起因する経済制裁で金正恩体制が崩壊することも、中国にとっては大きな懸念です。「兵糧攻め」で金正恩体制が崩壊すれば、多くの難民が中国に押し寄せるからです。

 2017年3月の国連の報告書によると、北朝鮮では全人口約2490万人の約5分の2にあたる約1050万人が栄養不足の状態にあるといわれます。北朝鮮では自然災害が相次いでおり、2016年8月にも咸鏡北道(ハムギョンブクドウ)で洪水のため6万9000人が土地を追われました。

 食糧危機が広がる中、軍事予算を拡大させる北朝鮮政府は国民の窮状を放置しており、経済制裁の中で西側からの人道支援も減少。しかし、国外に逃亡を図れば厳罰に処されます。このような状況のもと、金正恩体制が崩壊すれば多くの難民が発生することは明らかです。

 こうしてみたとき、中国が経済制裁に慎重であり続けたことには、「朝鮮半島の非核化を中国のペースで進めること」と「中国にとってダメージの大きい金正恩体制の崩壊を防ぐこと」の両方の目的があったといえます。

 中国にとって「朝鮮半島の非核化」は望ましいのもですが、大規模な戦闘や金正恩体制の転覆など、大きな変動をもたらしかねない米国主導のハードランディング(硬着陸)によって多くの難民が発生するのも避けたいところ。この観点から、中国が経済制裁に消極的なことには、自らが主導権をとり、「金正恩体制の維持」と「朝鮮半島の非核化」を両立させるソフトランディング(軟着陸)のために、北朝鮮を自分の引力圏に引き込むものだったといえます。
北朝鮮が反発強めるというリスク

 しかし、中国による「からめ手」は、逆に北朝鮮の反発を強める結果にもなっています。

 中国からみて北朝鮮が「厄介な身内」であるのと同様、北朝鮮からみても中国は「朝鮮半島の非核化」を掲げる、油断のならない同盟国です。米朝間の緊張が高まった4月以降、トランプ政権による「米中間の貿易問題の棚上げ」の引き換えに、中国が北朝鮮からの石炭輸入を停止し、英字新聞『グローバル・タイムズ』など中国国営メディアで北朝鮮に批判的な論評が出てきたことは、平壌の危機感を強めることになりました。

 その結果、5月4日付けの朝鮮労働党の機関誌『労働新聞』は、「中国は米国に踊らされている」など、異例ともいえる中国批判を展開しています。

 これに対して、6月には中国の巨大国営企業、中国石油集団(CNPC)が北朝鮮への燃料輸出を停止。この燃料輸出の停止に関して、CNPCは「支払いをめぐる商業上の問題」とだけ発表しており、期間などについては不明です。また、中朝いずれの政府もコメントしていません。

 とはいえ、これが少なくとも結果的に、自らへの批判を展開した北朝鮮に中国が存在感を示したことは確かです。ロイター通信は中国からのエネルギー輸出の停止により、平壌周辺でのガソリン価格が4月と比べて6月には50パーセント上昇したと伝えています。北朝鮮にとって原油は生命線ともいわれています。

 ただし、仮にこの輸出停止が「忍耐が切れた」ことによる脅しだったとしても、中国がそれを長く続けるかは不明です。北朝鮮が安全保障面だけでなくエネルギー面でもロシアと急速に接近しているからです。中国にとって、冷戦期以来の同盟関係にあるロ朝の接近は予想外でないにせよ、そのスピードは目を見張るものです。

 ボイス・オブ・アメリカによると、2016年に74万ドルだったロシアの対北朝鮮石油輸出額は、2017年の1~4月だけで230万ドルにまで急伸。ロシア産エネルギーの輸入の急増は、北朝鮮にとって日米などによる経済制裁への対抗手段であるだけでなく、中国の引力から逃れるための手段でもあります。一方、欧米との関係が悪化するロシアにとって、北朝鮮への影響力を増すことは、ひいては米国に対する影響力につながります。

 しかし、中国からみて、ロシアはソ連時代から公式には盟友であっても、黒竜江(アムール川)の珍宝島(ダマンスキー島)の領有権をめぐる軍事衝突(1969年を含め、因縁のある「油断できない仲間」です。そのロシアが隣接する北朝鮮で影響力を伸ばすことは、中国にとって必ずしも望ましくありません。そのため、北朝鮮向けエネルギー輸出を制限し続けることは困難といえるでしょう。

 以上から、中国にとって北朝鮮への制裁の強化は「痛しかゆし」の状態にあります。
「ソフト」でも「ハード」でも……

 仮に中国が「しびれを切らして」ハードランディングに転換した場合、北朝鮮は日干しになるか、自暴自棄になる危険性が膨らむかのいずれかですが、「国家」より「体制」を優先させる現在の北朝鮮政府が、後者に向かう可能性は大きいといえます。

 その一方で、中国がソフトランディングにこだわる場合でも、北朝鮮は中国に懐柔されるか、その引力圏から逃れるために、これまで以上に核・ミサイルによる「問題行動」をエスカレートさせるかしかありません。ロシアという「代わりのスポンサー」を得たことは、北朝鮮政府に「おとなしくする」という選択肢を取る必然性を低下させます。

 つまり、いずれに転んでも、北朝鮮の行動がエスカレートする可能性は大きいといえるのです。

 2003年に始まった六者会合に北朝鮮は、中国の働きかけもあって参加しました。しかし、米本土に届くICBMが開発され、さらにロシアが関与を深めるなか、北朝鮮問題のステージは「中国の方針で北朝鮮の行動が大きく左右される」段階を超えてしまったといえます。その意味で、現段階で他国より中国が北朝鮮に影響力をもっていることは確かとしても、その対応一つで状況が改善するとは考えにくいといえるでしょう。
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