ネイチャーサロン by こうちフィールドミュージアム協会

 自然をより深く知ることの楽しさを,お茶会のような雰囲気で語り合いましょう.

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こうちフィールドミュージアム協会について

2016-01-14 17:20:50 | 日記
 こうちフィールドミュージアムという県の計画が発表されたとき,それに賛同し協力して行こうという趣旨で誕生した民間団体が「こうちフィールドミュージアム協会」です.

 自然史博物館的な仕組みづくりをめざしつつ,自然や自然史に関する資料の収集,自然教育や環境教育,自然史関係者の交流や情報交換,などの活動をしようという集まりです.

 「こうちフィールドミュージアム協会」が実施する行事を,私たちはネイチャーサロンと呼んでいます.自然をより深く知ることの楽しさを,お茶会のような雰囲気で語り合いましょう,というメッセージを込めています.

 こうちフィールドミュージアム協会のネイチャーサロンは,多くの場合次の2つのいずれかのスタイルで実施されています.

1.ミクロコスモス
顕微鏡や実体顕微鏡を使って,小さな生物たちの世界を紹介します.

2.持ち寄り展示会
自然や自然史に関する物や情報を持ち寄って展示会を開きます.


 今後,より多様な活動形態を取り入れて行きたいと考えています.
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ミドリムシの培養液(2)

2015-06-23 00:24:26 | 日記
 「ミドリムシの培養液(1)」の続きです.

 まず,補足説明.

 ヨーグルト造り(乳酸菌)でも酒造り(麹と酵母)でも同じだけど,こういう微小生物を飼うとき注意せねばならないのが,他の微小生物の混入(contamination, いわゆる「コンタミ」)だ.

 特に,殖やしたいと思っている生物と性質の似た生物が混入すると,もう取り返しがつかない.藻類を飼う人は,他の藻類によるコンタミを green contamination(緑の汚染)と呼んで警戒する.ミドリムシの場合も,他の原生生物の混入だけは何としても避けたい.そういう理由から,「熱湯消毒」を強調して説明しました.

 消毒と言っても,今回説明する程度の作業では,バクテリアの混入を完全に防ぐことはできません.バクテリアや菌類の胞子は熱湯に漬けた程度では殺せません.研究機関の実験室のように,無菌操作のできる環境ではないので,培養液を作る過程でも,それ以後もずっと,バクテリアが侵入するチャンスはいくらでもあります.

 また,今回の方法では小麦の煮汁を使うので,液の中にはタンパクなどの栄養が含まれます.それを「食べて」バクテリアは増殖できます.

 バクテリアは仕方ないとしても,他の原生生物が侵入することだけは防ぎたい.そういう趣旨の「熱湯消毒」です.


 さて,ここからが本論.

 ハイポネックス1,000倍希釈液ができたら,次は小麦の煮汁(小麦浸出液)を作ります.

 小麦浸出液とは概略次のようなものです.1リットル用の三角フラスコに水を500mlほど入れて,小麦を40~50粒加える.このフラスコを火にかけて沸騰させる.5分ほど沸騰さ せて火を止める.熱が十分に冷めてから,濾過して小麦粒を除去する.最後に水を加えて全量を1リットルとする.

 ここでは三角フラスコなど利用できない一般家庭を念頭に置いて,もっと小規模で簡便な方法を採用します.

 まず,マグカップに水を100mlほど入れる.それに小麦を5粒入れる.そして電子レンジにかける.2分~3分.ハイできあがり.

 マグカップは自分がコーヒーを飲むとき使っているものでも構わないけれど,私は一応ミドリムシ専用として,安物のマグカップを用意しています.

 次に,電子レンジからマグカップを出す.マグカップ内は熱湯なので,使用する可能性のあるピペットで湯を吸って捨てる.こうしてピペットを「熱湯消毒」しておく.

 まずピペットで,マグカップ内の湯を,たとえば2ml取って,飼育用の容器に入れる.容器については以前の記事を見てください.容器には予め熱湯を通しておくこと.

 次に,同じピペットを使って,ハイポネックス1,000倍希釈液を2ml入れる.そして容器に軽くフタをして放置.

 十分に液の温度が下がったら,ミドリムシを,たとえば1ml 入れる.この時使うピペットは,改めて湯を通しておいた方が良いかもしれない.またはピペットを使わないで,直接注ぎ込む.量はアバウトで良い.

 注意を1つ.この方法ではバクテリアの侵入を完全に防ぐことはできません.ミドリムシを飼っているわけだけど,バクテリアも大増殖している可能性がある.だから,この方法で飼っているミドリムシを,決して口に入れないでください.
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ミドリムシの培養液 (1)

2015-06-18 18:15:44 | 日記
 ハイポネックスを知っていますか? 園芸用などに使われる植物の肥料です(写真).

 ミドリムシを飼うために私が考案した培養液は,まず,
1.ハイポネックスを水で1,000倍希釈したもの.
2.小麦粒を煮沸した液
を作る.
 次に1と2を等量混合する.これで完成.

   *   *   *

 しかし研究機関ならともかく,一般家庭でこの作業ができるだろうか? 1,000倍に希釈するには,たとえば水1リットルにハイポネックス1mlを入れる.しかし,1リットルとか1ml とかを,どうやって計れば良いだろう?

 名案が浮かばないので,私はプラスチックのピペットを使っています.研究室で使われている使い捨てピペット.写真のものは(株)栄研器材の製品で「滅菌スポイト3号」というらしい.2ml 用です.



 このピペットには4つの目盛り線が入っている.先端側から順に,0.5ml, 1ml, 1.5ml, 2ml だ.つまり,これを使えば,こういう量を計ることができる.


 というわけで,1 ml はそのように計ることにした.では1リットルとか,その半分(500 ml)とかは,どうやって計る?

 これは簡単.ペットボトルの飲み物を買う.たとえば 500 ml 入りのコーヒーを買ったら,そのペットボトルで水 500 ml を計ることができる.本当はペットボトルではなく,火にかけて加熱できる容器が欲しいのだけれど,ここではペットボトルを使う方法をご紹介します.

 まず,やかんで湯を沸かす.沸騰したらその湯をペットボトルに注ぐ.湯を注いだとき,へなへなと変形してしまうなら,そのボトルは使えない.湯を注いでも変形しないものを使ってください.

 方法.湯をペットボトルの口一杯まで注ぐ.次に,その湯をピペットで吸っては捨てる.大体この辺が500 mlだろう,というあたりまで捨てる.この操作によって,ペットボトルとピベットの両方を「熱湯消毒」したことになる.

 で,次にそのピペットを使って,ハイポネックスを0.5 ml取って,このペットボトルの湯に注ぎ足す.あとは軽く(ゆるく)フタをしておく.熱湯を扱うので,やけどに注意,です.とにかく,これでハイポネックス1,000倍希釈液ができる.

 この続きは,また今度書きます.
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愛玩動物ミドリムシ

2015-06-13 00:42:18 | 日記
 私の愛玩動物? ミドリムシです.まだあまり殖えてないけど,かすかに緑色に見える(バックの木の葉が映っているので,あまり説得力がない).



 左側は「100円の店」で売っている瓶.直径5cm,高さも5cm程度.ガラス製.
 右側は研究室で使っていたサンプル瓶.プラスチック製.

 どちらもフタをきっちり締めないで,少し緩めた状態で静置してあります.写真のような場所ではなく,室内の窓際に置くのが良い.ただし直射日光が当たらない場所.

 飼い方は,容器をまず熱湯で満たす.次に熱湯を捨てて,培養液を入れる.フタをして放置.温度が十分にさめたらミドリムシを入れる.そして,ゆるくフタをして,北側の窓辺に放置する.

 容器をまず熱湯で満たすのは,ミドリムシ以外の生物を混入させないための処置.ヨーグルトを作ったことのある人ならご存知ですよネ.

 ミドリムシは光を「食べて」成長する.だから容器は光が透過するものでないといけない.プラスチック容器は,材質によっては特定波長の光を透過させないため,見かけは透明でもミドリムシを飼うのに不適なものもあるかもしれません.

 補足1. ミドリムシは野外で採集することもできるけれど,後の手間のことを考えたら,とりあえず誰かから分けてもらうのが良い.

 補足2.培養液の作り方は,また今度説明します.
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カナリアは何色?

2015-03-29 03:47:03 | 日記
カナリアは何色?

 黄色に決まってるじゃないか,と思うかもしれないけれど,話はちょっと複雑です.というわけで本日は少しだけ自然史を.

 カナリアは,ヒワに近い種類の鳥である.英国の野鳥図鑑 Collins Pocket Guide to British Bird (1986) では,Siskin (マヒワ)とか Goldfinch(ゴシキヒワ)とか Serin(セリン)などの近くに,Canary(カナリア)が図示されている.そこに描かれている「野生の」カナリアは,灰色っぽい緑色の,地味な鳥である.こういう色のカナリアを mule(らば)と言うらしい.

 ヒワの類はどれも緑色を基調として黄色の混じる,似たような色調である.マヒワは日本にもいるので,まあ大体ああいう色調を想像してもらえば良い.ゴシキヒワは名前の通り美しいけれど,マヒワやセリンはちょっと地味.
 カナリアのmule はさらに地味である.飼い鳥のカナリアが逃げ出して野生化し,その結果,色も先祖返りで本来の野生の色,ないしそれに近い色になったのだろう,英国で野外で見られるカナリアには,こういう mule から,飼育されていた時そのままの黄色一色まで,さまざまな変異が見られるそうな.

 わざわざ説明するまでもないと思うけれど,カナリアという鳥の名は,元々は15世紀にスペイン人が航海から持ち帰った「カナリア諸島の鳥」に由来する.地味な色調の鳥であったが,「声」を楽しむため宮廷などで飼われた.異国の産物であるという希少性も宮廷でウケたことだろう.
 その後は飼育下で徐々に「品種改良」が進み,そして1677年,ドイツのとある小鳥屋さん?が,何と全身まっ黄色のカナリアを作り出した.今われわれが知っている黄色いカナリアは,こうして誕生した.
 まあ,そのような歴史が語られている.

 外国産の飼い鳥が逃げ出して野外で繁殖したと場合,さまざまな影響が考えられる.その1つは,近縁種に対する影響だろうか.カナリアの近縁種としては,上述のセリンという野鳥がいる.セリン Serinus serinusとカナリア Serinus canaria は,この学名が示すように,同じ「属」である.よく似ているが,カナリアのほうが大きく,「長い」体つきをしていて,そのぶん翼が相対的に短い.
 セリンの声を You Tube で聞くことができる.カナリアに近縁といっても,我々が知っているカナリアの美声とはずいぶん違っている.カナリアが飼い鳥として,良い声を選んで品種改良されてきたことは確かであるが,上記の通りそもそも当初よりカナリアは声の良さが買われ,声を楽しむ鳥として飼育されてきたのだろう.

 ちょっと脱線.
 英国には日本と同じ種類のハクセキレイがいる.しかし日本のハクセキレイが飛びながらピピッ,ピピッ,ときれいな声を出すのに対し,英国のハクセキレイの声は地味である.鳥の声は一つの自己主張だろうから,鳥の声が力強く美しい地方には,そういう声を必要とするような条件があるのだろう.たとえば強力な競争相手のいるような地方では,そいつに負けないような声を鳥も進化させるだろう.そのように考えるなら,セリンとカナリアの声の違いは,そういう違いを生み出すような風土的バックグラウンドの違いを反映しているのかもしれない.

 セリンはフランスからデンマークまで,けっこう広く分布しているが,英国ではメッタに見られない.つまりセリンは歴代ずっと,ドーバー海峡の対岸に植民を試みているわけだ.しかし,この英国攻略作戦は,今までのところ大きな成功を収めるには至ってないらしい.
 仮に将来,セリンの英国侵攻が本格的に開始したら,それを迎え撃つのは英国で野生化したカナリアたち,というような図式になるのかもしれない.上記の図鑑が出版されてもう30年近くが経過しているわけで,英国の野生カナリアは今どういう状態なのか,興味深いことである.
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