雑記

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小説 ある大学の日常4-1

2016-03-21 12:40:33 | 小説 ある大学の日常
4-1 桧山君と真子さん



 ぼーっと天井を見る。真子が俺の下半身を舐めている。真子はめちゃくちゃ身体が柔らかい。さっきまで俺の横で寝ていたはずなのに、身体を器用に折り曲げて俺の性器を舐めてるらしい。こいつ、こんなことしてて楽しいのかなって思う。俺は全然楽しくねえけど。


 浜辺について行った文芸部室で真子に会った時は、結構狼狽した。だって思わねえじゃん。あんなところに真子がいるなんて。あの日、突然浜辺に呼び出されて文芸部室まで着いて行った。何か話したいことでもあったんだろうな。でも結局は真子と都と浜辺で適当な話をして終わった。話してる間は結構、冷や汗ものだった。こんなしょうもない関係を続けてる相手と、自分を最もよく知る高校時代の同級生が並んでいるのだ。ばれたかな。あいつ勘が鋭いし、何かあることは気付いただろうなあ。



 「こんなしょうもない関係」が始まったのは一年の冬のことだった。突然知らないアドレスからメールが来た。どこから俺のアドレスを入手したのかは知らないが、それは真子からだった。全く脈が見えない透に業を煮やした真子は、ついに俺への相談を敢行した。
 適当なファミレスに入り、真子の話を聞いた。相談内容は単刀直入、「透はどうすれば手に入るか」というものだ。俺の答えも単純明快、「無理じゃない?」としか言えなかった。そんなこんなで、俺たちはセックスをした。そんなこんなでセックスをするなというかもしれないけど、やる時なんてこんなもんだ。相手が誰かとやりたいと思って、俺もやってもいいと思った。水面下での合意に達したのならば、あとはそういう風に誘導すればいい。



 しかしまあ、ここまで長く続くとは思わなかった。何が楽しくて、こいつは俺とこんなことしてんだろうってよく思う。好きな男がいるのに、いつもその横にいる男と寝るって、どういう心理なんだろう。誰かと付き合いたいなら、こいつを好きなやつなんていくらでも居るのに。自分を舐めている真子をみる。何も考えていなさそうだった。
「お前さ、なんでこんなことしてんの。なんで俺なの」
 真子が顔をこちらに向ける。化粧がなくても小綺麗な顔してんなあって思う。
「嫌なの?桧山君は」
「嫌じゃないけど、純粋に気になっただけ」
 俺がそういうと、彼女はまた俺のそれを舐める作業に戻った。しばらくして、顔をこちらに向けないままつぶやくように彼女はこう言った。
「強いて言うなら、そういうこと気にしないからかな」
 あっそ。詮索するなってことだった。

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