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新潟市の住宅設計事務所ネイティブディメンションズ=狭小住宅や小さい家、構造計算、高気密高断熱が好きな建築士のブログ

アクアニュース’18.01号

2018-01-14 17:27:52 | アクアニュース
今月のアクアニュースは「野菜ジュース」についてです。
飲みなれた野菜ジュースですが、そもそもどんな作り方なんでしょう?
効果はどの程度でしょうか。

素朴な疑問を掘り下げます。

以下、本文

日本では厚労省の定める「野菜の摂取量」が発表されていますが、実はそれを満たせている国民は5%程度しかいないと言われています。そんな中、野菜ジュースが注目を集めています。今回は「野菜ジュース」について考えてみましょう。

野菜ジュースの背景
2007年10月12日付の朝日新聞で【『1本で1日分の野菜』実は栄養不足】という見出しで取り上げられました。愛知の消費生活センターが市販の野菜ジュース35銘柄の栄養成分を分析した際に、野菜350gを摂った場合に得られる栄養を指数として換算し、比較しました。結果、ビタミンCやカルシウムなどの摂取量が水準に達したものは35銘柄中2銘柄しかなかったそうです。もともと、厚生労働省は「1日350gの野菜摂取」を量的な面で推奨しているものの、実はそれの根拠となる栄養素についての明記はしていません。これは野菜を350g食べている国民はだいたい健康に暮らせているということが疫学的にわかってきたので、まずは量を取ることを推奨したからです。野菜ごとに含まれている栄養素が違うため、厚生労働省は栄養素の基準までは決められなかったのです。つまり野菜ジュースに書かれている「1日分の野菜が取れる」という言葉は、野菜350g分をジュースに入れたという意味であり、野菜350gを摂った場合の栄養素がまるまる入っているという意味ではないのです。ちなみに「野菜350g分使用」と謳っているものの中には元となる野菜を500g分以上搾って使っている商品もあります。

硝酸態窒素
野菜を栽培する時に窒素系の肥料を使用していると野菜には硝酸態窒素という物質が取り込まれます。この物質は葉物野菜の中に残留しやすい傾向があり、地下水などの汚染に繋がるなど、環境問題の原因物質の一つとして国際的に注意が呼びかけられている物質です。硝酸態窒素は大量に摂取すると、体内で血液中の酸素運搬を阻害するメトヘモグロビン血症になってしまいますが、成人であれば身体の機能によって中和されるためほとんど問題になりません。しかし、生後4ヶ月未満の赤ん坊の場合は違います。アメリカでは裏ごししたホウレン草を離乳食として与えられた赤ん坊がこのメトヘモグロビン血症によって20人近く亡くなる事件が起きました。赤ん坊は身体の機能が未成熟で、身体も小さいため比較的少量の摂取でもこの病気になりやすく、この事件によって注目を集めたこの病気は全身が青くなってしまうことから通称ブルー・ベビー症候群といいます。汚染された地下水を利用して育てられた葉物野菜には無農薬栽培であってもこういった思わぬ落とし穴が生まれてしまうこともあるようですので注意が必要なのです。

濃縮還元とは
野菜ジュースの野菜は世界各国から輸入されています。輸入前にそれらの野菜を加熱してケチャップ状にします。
元の体積から6分の1程度にまで濃縮された“濃縮ペースト”を作り、冷凍したものを日本に輸入しています。濃縮ジュースはこの輸入の際に非常に大きなメリットを持ちます。簡潔に言うと体積が6分の1になれば、運賃も6分の1になるという感じです。この“濃縮ペースト”に水を加えて元に戻すことを「濃縮還元」と呼びます。その際に水に溶けない不溶性の食物繊維などは搾りカスとして取り除かれます。水溶性の食物繊維しか残らないと言われています。ビタミンCなどの熱に弱いとされる栄養素は濃縮還元製法の場合には減少しますが、逆にβカロテンなど吸収効率の観点からみて野菜ジュースにして摂取したほうが良い栄養素もあります。一概にどちらが良いかは言い切れません。製造過程で減少してしまった栄養素を製造後に添加し、補っている製品もありますが、そもそも健康的な食生活の基本は色々なものを少しずつ、バランスよく食べることです。「過ぎたるは及ばざるが如し」ということわざがあるように、同じものを摂りすぎるのは良くありませんし、野菜ジュースはその補助として考えておくのが良いようです。

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