大田区議会議員 奈須りえ  フェアな民主主義を大田区から!

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第一種住居地域に出されている大型店の出店についての陳情の取り扱い

2007年10月05日 | ├.まちづくり・都市計画

 「住宅地に大型店舗を出店することに対する指導」に関する陳情が都市整備委員会に提出され審議が行われました。
 
 大田区池上の第一種住居地域にスパーマーケットの出店計画があります。
 1000㎡を超える大型店舗の出店は、大店立地法という法律により、出店者に対し東京都へ以下のような届出を義務付けています。 

(1)開店時刻、閉店時刻、年間休業日数及び業種
(2)交通手段別の来店見込み客数(平日休日別)
(3)駐車場に案内する経路
(4)駐車場・駐輪場の利用可能時間帯等
(5)廃棄物及びリサイクル対象物の保管・処理対策
(6)騒音と対応策
(7)バリアフリー対策
(8)振動・臭気・照明・地域景観との調和、その他の生活環境に関する特記事項

 区民の意見は、直接東京都へ提出することになっている一方で、東京都は地元自治体(区市町村)に対し必ず意見聴取を行わなければならないことになっています。
 現実には、上記のような項目はありますが、それらが法律上満たされているかどうかを、各部署が確認を行うだけで、要件を満たしていれば、出店を判断したり、制限したりするものではありません。

 しかし、大型店舗を出店する場合、地元商店街との営業競合関係や地域住民の住環境を乱すといった視点から、反対運動がおこることがあります。

 そうした場合にも、行政は、出店者と地域住民との協議を促すのみで、基本的には、双方に中立な立場をとります。
 協議の結果、開店時間を短くし、深夜営業を控えたり、車の搬出入についての工夫をしたりということはありますが、通常は、出店そのものを取りやめたりすることにはなりません。
 
 今回の場合は、特に、建設計画のある地域が第一種住居地域であることから地域住民は、住民の安全と環境保全の確保から出店の見直しを要望しています。

 大田区の場合、マンション紛争などの、民間と民間(=民民=マンション業者と住民)の利害関係の問題は扱わないとしていました。
 スーパーマーケットの出店も同様に扱われる可能性がありましたが、こうして、陳情で取り扱われたことは、これまで、民民ですませてきた紛争として切り捨てられてしまってきた問題を、「まちづくり」という自治体として取り扱うべき課題であるとの認識に立てたという点では、一歩前進であると、私は、とらえています。

 特に大田区は、これまで、地域特性をいかしたまちづくりに行政として積極的に取組んできませんでした。地域の特性をより鮮明にすることで、まちを暮らしやすくする。住みたいまちに変えていくことは、個人の努力だけでできるものではありません。
 土地を個人所有ととらえ、自分の土地ならなんでもして良いという発想から、大田区も、地域のなかで、地権者のまちなみへの責任や規制についても考える時期にきているのではないでしょうか。

 そうした意味では、これまでの規制緩和型一辺倒の都市計画・地区計画から、規制制限型の都市計画・地区計画を選択する地域がもっと出てきてもよいのではないでしょうか。

 大田区では、田園調布3丁目を中心とした地域や南千束1丁目を中心とした洗足池周辺地域が、建築物の用途を制限したり、緑化についての具体的な制限をかけたり、高さ制限を行ったするなどしています。

 陳情は、残念ながら、継続審議となりましたが、今後、更に、まちなみの保全や誘導に対する可能性への議論が深まることを期待しています。

 あなたの家の前に突然「スーパー」が「高層マンション」が建設予定になったら、一体どうしますか?


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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
池8にサミット建設反対する会代表 (大野忠久)
2007-10-10 03:05:39
奈須先生:
貴ブログ掲載有難う御座います。それと、
先日は御多忙中+雨の中、お時間頂き有難う御座いました。
お蔭様で、次の手法を見出す事が出来まして、10/14に作戦会議を開きます。お時間有ったらの話ですが、16:00~なのですが、池8にお見えに成りませんか?
この事例、小職にとっても日々勉強、大田区議会にとっても、この布石、大田区まちづくり行政にとって重要なテキストに成るかと私見しております。
尚、次回は区議会選に行きます…
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私も勉強します (rie)
2007-10-10 10:26:23
まちの現状はひどいものです。
各地で起きているマンション紛争・耐震偽装
景観問題・・・根本には同じ問題が存在している
ことを感じます。

今日も情報を仕入れに行ってきます!
返信する
「生きる」を見て (書記)
2007-10-11 19:59:51
最近、黒澤監督の代表作「生きる」リメークが放映されましたが、特に印象的であったのは縦割り行政の対応でした。

まさに今回、私達が直面している現状です。
大田区役所も「開発はココ、建設はアッチ、まちなみはソコ」とたらい回し状態。
民間企業ならありえないお粗末さであり、「どうして鳥瞰図的に全体を見る組織を作らないのか?」「効率化によるスリム化で職員の仕事がなくなることがそんなに問題なのか!」等と勘ぐられても仕方がない状況です。
更には「どうせ反対し(足掻い)ても建ってしまうよ」と考えが(はっきり)見え隠れする態度、言動。期待するだけ淋しくなる限り

その中で拝見したこのブログ。
「やはり痛みが判る方はいる。ここはrie様の知恵と勇気を借りて、会長の下、総力上げて頑張るぞぉー」と自分を鼓舞する今日でした。
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思わぬ方向に行く可能性有り… (池8にサミット建設反対する会代表 大野忠久)
2007-10-20 22:53:02
ご無沙汰しております!
表の活動をしつつ、裏では私達ブログのバンドル「モトジメ」を名乗っております。
表も一生懸命活動しておりますが、裏情報の収集にも努めております。面白いネタ=私達にとって有利なネタ取得次第、ご報告します。
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RE : 大田区行政事務方の心を開いて貰います! (池8にサミット建設反対する会代表 大野忠久)
2007-10-28 12:42:22
昨日(10/27)は、台風下にも関わらず、お時間割いて頂き、有難う御座います。
『書記』さんコメント通り、、「どうして鳥瞰図的に全体を見る組織を作らないのか」を念頭に入れて、今後、大田区行政事務方に、納豆の様にねちっこく質問を繰り返す予定ではおります。そのうち、質問(100%)に対して、回答(50%)を断念し、回答(100%)に成る日が必ず来るのでは?と言う、呼称『マラソン問答』?
では、今後共、宜しくお願い申し上げます。
尚、「大森北一丁目開発」の件も非常に興味有ります。行政の方向性を一旦、見誤ると物理的な犠牲、即ち、我々の血税の供給バランスをも崩す、怖い結果と成ります。貪欲な民間企業(サミット)の様に、良いものを安く買って頂く、勉強も行政には今後必要かと思います。ですが、サミットと違い、TPOをわきまえて、閑静な住宅地に実行しないで頂きたい事を言うまでも有りません…
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