志情(しなさき)の海へ

琉球弧の潮風に吹かれこの地を掘ると世界と繋がるに違いない。世界は劇場、この島も心も劇場!貴方も私も劇場の主人公!

『裸足で逃げる』沖縄の夜の街の少女たち、を昨日きさ子さんから借りて読み終えた!

2017年06月11日 10時04分48秒 | 書評

評判が大きく、地元の新聞でも大きく取り上げられ、読みたいと思っていたので、彼女の家のテーブルの上にあったので良かった。今年の秋に出版予定の真喜志きさ子さんも中身が気になったのだろうか。「どうだった」と聞くと、反応は鈍かった。昨今評判の太田出版である。

琉球大学の教育学部の女性教員も、反応が即座に返ってこないのが気になっていた。読みやすく、すぐ読了できる記録本である。6人の少女達の生きる闘いの記録だね。読みやすいということは、科研の研究の流れで纏められているのだが、少し軽めということを暗に示している。

それはすでに鈴木大介さんの『家のない少女たち10代家出少女18人の壮絶な人生』『最貧困女子』『最貧困シングルマザー』『援デリの少女達』の書籍の他、風俗業や援交に走った少女達のドキュメント書籍がすでに何冊も発刊されているゆえでもあろうか。ネットのコメント蘭を読んだら、沖縄の少女達の実態に驚く声が結構見られたが、全国的に家の外に押し出されている少女たちの実態に共通項があるのは事実だ。数ヶ月に何百人と、男たちに係わった十代の少女達のある事実も記録されている。それは例えば大地朋子の『少女売春供述調書ーいま、再び問いなおされる家族の絆』に詳細が記述されている。

大地さんと鈴木大介さんの書を何冊か読んだ事があったので、上間さんのドキュメンタリーは「優しく少女達の語りを聞き取った本」という印象である。

当事者の物語であり、身近でインタビューしながらまとめたハイティーンの少女達の家族や友人達との関係性、恋人や元夫やキャパクラでの付き合いや家庭内暴力があぶりだされる。聞き取った物語、ウチナーヤマトグチ(ヤマトウチナーグチ)を聞き取りそれを素直に文字にしている。一読して迫ってくるのは沖縄の貧困であり、シングルマザーが多いことである。風俗業で働く少女達が、意外ではなく、多いのらしい地域性が見えてくる。キャパクラや援交、デリの形態で生き抜いてきた6人の少女たちが自らを語る物語である。読みやすく分かりやすい。少女たちの語りを物語にした上間陽子さんは、彼女たちと一緒に泣ける女性である。泣く、泣いたということばも目に飛び込んでくる。DVを受けつつ子供を懸命に育てる姿や発見も網羅されている。なぜ男達がDVするのか、その掘り下げがなされているわけではない。ただ素直に少女たちの語りを文字化している印象である。

早く成熟させられ母親になる少女たちがいる。しかし彼女たちの精神や生活基盤が強固で自立しているわけではない。その彼女たちが生き延びるために働く糧がキャパクラであり、援交であり、デリである。中には看護婦免許をとって普通の生活を続ける女性もいる。必ずしも全く助太刀がいない地獄に見えないが、生き延びるための手段が自らの身体を客体として提供することが主になっていく構図がある。それをある面、風土的に許容する諦観も見え隠れする。暴力が性にまとわりつくものなのか?DV常習の男達の姿は、彼らもまた社会のバッファーとして、見える・見えない抑圧を背負って生きざるを得ない、負のサイクル・循環の被害者であり、加害者でもあるのだと感じさせる。

支援者としての大学教員の立場がある。彼女たちは研究の被写体でもある。社会の縮図を照らす少女たちの数少ない生活の記録は、書かれる事のない其の他大勢の少女たちや家族、関係者の縮図として見る事は可能だ。貫かれているもの、儒教社会、家父長制の中の女性原理もあるようだ。シングル・マザーがパートナーを求めているのも事実。

教育によるキャリア志向(上昇思考)を持たない少女たちが、手短で働く職業がキャパクラやデリだという事実がある。そこで働いた事を秘匿し、新しい恋人に走る主人公もいる。沖縄は身体を資にして生き抜いていく少女たちが多いのだろうか?他のアジア諸国の貧困が少女たちに強要されるシステムが、この地でも彼女たちを待ちうけている。生き延びるために彼女たちが選択する行為は、必ずしもネガティブではない。アムネスティー・インターナショナルはsexworkを労働の権利や人権の視点で見据えている。

大学で、女子学生たちとガールズトークをやったことがある。18歳の大学生の一人がすでに高校生の時中絶していたり、恋人に捨てられたり、ストーカーされたりしている。

裸足で逃げる少女達、12、3歳から20歳に至る少女たちを取り巻く環境は『語られない「子ども」の近代』(元森絵里子著)を今一度紐解きながら、考えてみたい。戦前の遊郭で客体化された身体を生き生かされた少女(芸娼妓)たちと実は本質的に変わらないものを内包しているのだと、考えている。

思うに今年は、廃藩置県から138年目だが、沖縄は日本の最貧困県でありつづける。

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『家のない少女たち 10代家出少女18人の壮絶な性と生』

『最貧困女子』

『最貧困シングルマザー 』(朝日文庫)

『援デリの少女達』

 
 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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