第77回皐月賞回顧~リアルインパクトをA.P.Indyで炒めたら

2017-04-16 18:13:04 | 血統予想

中山11R 皐月賞
◎8.ファンディーナ
○5.レイデオロ
▲16.クリンチャー
△6.アウトライアーズ
☆17.ウインブライト
注3.コマノインパルス
注7.ペルシアンナイト
ファンディーナの3代母クードジェニーはフランスの2歳女王で、そこに一流種牡馬が代々かけられてきたが、母父ピヴォタルがアウトサイダー血脈豊富なアウトブリードで、良血が強すぎて煮詰まりそうなところを巧く希釈しているといえる。クードジェニーの全兄マキャヴェリアンは父としても父父としても母父としても成功し、ヴィクトワールピサやヴィルシーナ=ヴィブロス姉妹などの母父でもある。ファンディーナとヴィクトワールピサはサンデーサイレンスとマキャヴェリアン=クードジェニーを通じるヘイローのクロスを持つなど配合パターンがよく似ていて、岩田が乗って中山の4角でうなりながら加速するさまもよく似ている。だから皐月賞を狙ってきたのは正解だろう。
マキャベリアンの父系は牝馬がよく走ることでも知られ、今オセアニアで連戦連勝の女傑ウインクスや、北米史上最強牝馬の一頭にあげられるゼニヤッタは、ともにマキャヴェリアン直仔ストリートクライの娘だ。ストリートクライの息子ストリートセンスは現在日本で供用中だが、これも初年度産駒を見るかぎりどうやらフィリーサイアーの傾向を示している(ヴィクトワールピサ産駒もジュエラーをはじめ牝がよく走る)。ディープインパクトも牝馬の大物を多く出している種牡馬だが、そういう血統背景から、柔らかく大きく、強く速く動けるとびきり素晴らしい牝馬が現れたのだから、ウオッカのダービー制覇ぐらいのことをやってのけても何の不思議もない。
ファンディーナが勝つとしたらヴィクトワールピサやアンライバルドのように4角でうなりながら先頭に立つはずだから、相手にはトライアンフマーチのようなマイラーでもいいから俊敏で自在味のある差しを拾うというのが基本線。カデナとスワーヴは大跳びで内回りの4角で加速できるタイプではないので、オッズまで考慮するならば消しでいきたい。前で拾うとすればハイペリオン的なスタミナが凄い配合のクリンチャーだろう。

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同じ芝2000mの8R鹿野山特別が1.58.7、昨年の鹿野山が2.00.1でしたから、昨年よりも高速かつ外差しがきかない馬場で行われた今年の皐月賞

レースは59.0-58.8で勝ち時計1.57.8という平均ペース、しかし中盤が12.2-12.4と緩んで上がり3Fが11.4-11.4-11.7、58.4-59.5のHペースで流れた昨年の勝ち時計が1.57.9ですから、この馬場でこのペースだと外を回って差すのは、それこそドゥラメンテ級の爆発力がないとなかなか難しい

ペルシアンナイトはこの馬場で早々とラチ沿いに潜り込み、しかも向正面でファンディーナの直後の5番手までスルスルとポジションを上げていったのが圧巻で、しかし4角でペルシアンと並んでいたアルアインが直線で反応して抜け出したところがゴールでした

「ハービンジャー産駒はダートも短距離も一息で(全勝ち鞍206勝中179勝が芝1600m以上)、活躍の場が芝中距離に偏っているのに、この種牡馬成績はなかなか優秀というべきで、でもディープ産駒と活躍の場がかぶりすぎるのでどうしても大一番で後塵を拝してしまう」とよく言われます

今日はインを捌いてついにG1勝ちかと思われたのに、また前にディープ産駒が、同じ池江厩舎の同じノーザンファーム産のディープインパクト産駒がいました

アルアインについては一言コメントで“リアルインパクトのA.P.Indy炒め”と評したように、母ドバイマジェスティがBCフィリー&メアスプリント(米G1・ダ7F)の勝ち馬で、そこにディープインパクトを配して「父中距離×母短距離」ですからリアルインパクトのような機動力ある先行脚質に出たのは順当



A.P.Indyの影響でリアルインパクトを少し胴長にしたような体型をしていて、毎日杯の勝ち方もリアルインパクトの1800版みたいに見えました(ちなみに母父Essence of Dubaiは9FのG2スーパーダービーの勝ち馬で、Nasrullah≒Royal Charger6・6・7・7・7・8・8×6・6・6・6とNasrullah血脈がやたら多い)

私はもう少しペースが速くなるとみたので、1800型の先行ではあと1Fがシンドイんじゃないかと思えたんですが、二冠や三冠を獲るような傑出馬がいない場合、三冠全て分け合うような年の場合は、ロゴタイプやキャプテントゥーレやノーリーズンのような中山記念タイプ、1800タイプがスピードで押し切ってしまうことが皐月賞ではままあります

だからアルアインのこの勝ち方には驚きはないんですが、母も自身も5代アウトでしかも5月生まれで、こういうディープ産駒が皐月賞を勝ったというのはかなり驚きです

思い起こせば新馬戦も、ムーアが乗ってあんまり強くないメンツに何とか勝ったという印象しかなかったし、しかしこの馬は使うごとに着実に力をつけてきて、シンザン記念の頃と比べても体質や動きにしなやかさが増してきたように見えるし、そしておそらくこれからまだ強くなるでしょう

ダンビュライトは今日の馬場で外を回してファンディーナにプレッシャーかけながら、しかも最後までしぶとく脚を伸ばして3着というのは評価できるし、ハッとする速い脚は全然ないんですが確かな持続力を感じさせます

上がり11.4-11.7ですから後方から差してきた連中も脚は使ってるわけで、しかしスワーヴリチャードもカデナも最速スピードに乗ったのは直線半ばからで、ロゴタイプの年のエピファネイア然り、ヴィクトワールピサの年のローズキングダム然り、ノーリーズンの年のタニノギムレット然りで、そういう脚では皐月賞はなかなか差しきれない(4角ノーブレーキでコーナーを直線に横切った一昨年の勝ち馬は除く)

だからスワーヴもカデナもダービーで着順を上げてくると私も思いますが、今日のパドックを見ていてもスワーヴはもうちょっとトモに肉がついてほしいし、ダービーまでにもうちょっとつくのかどうか

クリンチャーはAureole魂の先行馬なのでこの外枠はむしろ歓迎だったし、外からかぶせられなければ最後まで頑張るとは思ったんですが、DanzigとGraustarkをクロスするディープスカイ産駒、高速馬場を11.5-11.5で上がれる馬ではないです

レイデオロはTom Foolな自在脚質なので中山でどこからいっても差せると思ってましたが、あんなに位置取りが後ろになったのは意外でしたね

ファンディーナはパドックの映像はそんなに細いとは思いませんでしたが、今日の流れで4角持ったままで、最後止まるにしても一度もビュンと反応することがなかったのは、今までと何かが違ったとしか言いようがない

まあ3連勝の内容はエゲツない脚を400m使っただけですから、今日は上がり3Fのレースになってガス欠してしまったという見方もできるでしょうが、この負け方は私は走ってないと思います

いつも書くように、歴史的な名馬でもあのとき何であんな負け方しちゃったんだろうねえ…というレースは一つや二つあるもので、どう考えてもフラワーやつばきの加速は普通じゃなかったし、こんな負けぐらいでどうこう言うのは早計でしょう


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5 コメント

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Unknown (Y子)
2017-04-16 21:16:09
ファンディーナの敗因は、やっぱり、非ノーザンで育成されたという所にあるような気がします。
ファンディーナより上の着順に来た馬の内、非ノーザンの馬は、追分のペルシアンナイトとノースヒルズのクリンチャーだけですからね。
実は、キズナのダービーを見た時から、幼駒からハイスペックな育成環境にいないと、ノーザン一強時代の中でダービーは勝てないんだなあとは、思っていましたが。
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Unknown (レプティリア)
2017-04-17 06:41:08
ファンディーナはオークスに向かうんでしょうかね?
それはそれで初顔合わせで面白くなりそうです。
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Unknown (ゆーな)
2017-04-17 19:43:57
ファンディーナ、わざわざマークされに、プレッシャー受けに行ったような騎乗に
揉まれたことがないのは分かっていたのに
速い馬場を考えてのことだとは思いますが

ペルシアンナイトはAureole魂見せなかったですね。
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Unknown (たろう)
2017-04-17 20:06:51
ファンディーナとソウルスターリングの敗因は、意外と同じようなものなのかもしれません。
ファンディーナは、飼い葉食いに問題があり、馬体重を減らさないように、ずっと馬なり調教が続いていました。
それでも楽勝し続けてきたのは大したものですが、ファンディーナがビシッと追い切られたのは、もしかするとデビュー前が最後だったかもしれません。
レースでも殆んど追われていませんし、調教もひたすら馬なりということでは、コースレコードタイの時計が出るような消耗戦では、ガス欠を起こしても仕方ないでしょう。
今後の課題は、いかに馬体重を戻して、G1レースに対応できるきちんとした追い切りが出来るか否かだと思います。
で、ソウルスターリングですが、一部では「フランケル高速馬場専用説」のような気の早い意見も出ていますが、やはり馬なり調教だけでは、馬場が重くなって消耗するようなレースに対応できないということでしょう。
道悪が得意か不得意かではなく、ガス欠で苦しがって手前を変えたりしていたのだと思います。
レイデオロやミスエルテの年明け初戦組が、もうひとつな結果に終わったのも、桜花賞と皐月賞では馬場の傾向は正反対でしたが、それぞれ消耗戦になってしまい、休み明けでは対応できなかったということでしょう。
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Unknown (ゆーな)
2017-04-17 22:01:30
4着まではRibot持ちと考えれば皐月賞(中山)らしかったのか
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