
Luca Mannutza(P)
Gianluca Renzi(B)
Nicola Angelucci(Ds)
Rec. July 2-3,2006,Itary (Venus TKCV35401)
最近のヴィーナスはイタリアのミュージシャンにけっこうご熱心で、これまでにステファノ・ボラーニ、アンドレア・ポッツァ、フランチェスコ・カフィーソ、ジョバンニ・グイディを日本デビューさせているが、イタリアは今アメリカに次いでジャズが熱い国なので、目の付けどころはとてもいいと思う。
今回のルカ・マヌッツァ(1968年生まれ)はなにかとファブリッツィオ・ボッソ絡みの仕事が多い人。私自身のブログで検索してみても「Fabrizio Bosso&Flavio Boltro/Trumpet Legacy(別頁あり)」と「Mare Mosso/Mare Mosso(別頁あり)」の2枚が引っかかる。あとつい最近聴いたばかりの「Roberto Gatto/Traps(別頁あり)」でも弾いていたね。
ニコラ・アンジェルッチ(1979年生まれ)はフランチェスコ・カフィーソのヴィーナス盤「Francesco Cafiso Quartet/Seven Steps To Haven(別頁あり)」で叩いているが、その関係もあって普段自分のトリオで一緒にやっているマヌッツァを原さんに売り込んだところ一発で気に入り、この度のレコーディングと相成ったようだ。
ジャンルカ・レンツィ(1975年生まれ)はわたし的には初めて聴くのかな。この人も普段トリオで一緒にやっているのだろう。2004年には「Looking For The Right Line」というリーダー作をリリースしている。
ローマ・トリオとはまた安直な名前だけど、ヴィーナスにはビル・チャーラップのニューヨーク・トリオもあることだし、まあそれに対抗してってことなのかもしれないな。
アンジェルッチの1曲のオリジナルとジャズメン・オリジナルやスタンダードで全10曲。
3段階にテンポが変わる1曲目の「慕情」からしてすでにカッコいい。最初はゆったりと、次は3連符の頭2つを1拍に見立ててミディアム・ファーストで、ピアノのアドリブに入ってからは最初の3連符を倍テンにしてアップテンポでガンガン突き進んでいる。ベースソロではまたテンポ・ダウンしているね。単に倍テンにするだけだったら誰でもやっていることだけど、このミディアム・ファーストの部分がちょっとしたアイデアだよねぇ。そういえば「慕情」はブラウン=ローチ・クインテットでの5拍子を絡めた急速調な演奏も異常にカッコよかったなぁ。2曲目の「If I Should Lose You」も同じような切り口で途中でテンポを変えている。3曲目の「Whisper Not」ではそれに加えて、今度は7拍子や5拍子のような変拍子なんかも出てくるね。続くどの曲も途中でテンポを変えてみたり変拍子だったりして、なんか構造がワンパターンという気がしないでもないが、基本的にこういうテンポがコロコロ変わる演奏(アップテンポな部分も多いし)は大好きなので、これでよしとしておこう。少なくともスタンダードをごく当たり前に演奏されるよりはよっぽどマシですな。
曲の攻め方はけっこう込み入っているものの、マヌッツァは縦横無尽且つテクニカルに弾きまくっている割にはよく歌っているので難しく聴こえないし、レンツィはウォーキング時の音使いがとても明快(アドリブもグッド)で分かりやすいし、アンジェルッチは変に出しゃばることのない小気味いいドラミングなので、トリオとしてのサウンド自体は比較的聴き易い方だ。イタリア人特有の陽気さのせいか内省的な演奏にはなっていないのも、このトリオには合っている。コンスタントに活動しているせいか3人のまとまり感はとてもあるね。
本作でようやくマヌッツァの全貌が見えてきたって感じ。今までもなにかと注目していたけれど、スタンダード系をやらせてもここまでカッコよく聴かせてくれるとは大したものですわ。これは今後の動向にも目が離せないっす。
評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)







