小指ほどの鉛筆

日記が主になってきた小説ブログサイト。ケロロ二次創作が多数あります。今は創作とars寄り。

33 貴女は、存在自体に罪がある、特異中の特異な人間だ。(クルドロ)

2008年07月28日 15時28分30秒 | ☆小説倉庫(↓達)
・付き合う前です。
・例の如く、設定なんてありません。今までの自分なんて知りません。
・よって、今までの小説なんて知りません。

そんな我侭小説ですが、どうぞ↓

__________________________________




貴方は、存在自体に罪がある、特異中の特異な人間だ。

誰かがそう言ってくれたら、僕は自分を正当化して生きることが出来たのかな。
今でも十分に、アサシンを利用しているけど。
アサシンの中では、罪なんて言葉を使わなかった。
自分達のしていることは罪ではないと、そう思っていた。思い込んでいた。
確かにそのときはその通りだったかもしれない。
罪になることじゃなかった。
それは危険な星での、生きる術。
あの星での、あの場所での、僕自身の仕事だったから。
でも平和な地球で、この場所で、僕が笑っていることが、罪じゃなくていったいなんだって言うんだろう。
これならまだ、あの場所で殺戮を繰り返していたほうが幸せだったかもしれない・・・
僕も、地球人も。

―・・・君は、どう思う?


「お茶にしましょう~」
リビングに集まっていたケロロ小隊全員分のアイスティーをお盆に乗せ、夏美が
台所から戻ってきた。
本を読んでいた冬樹とケロロはパッと顔を上げる。
「珍しいね、姉ちゃんが軍曹達に飲み物だなんて。」
「今日は特別暑いからよ。異星人に倒れられても、対応の仕方が分からないわ。」
意地を張る夏美を、ケロロは笑ってみていた。
そうしている間に、ギロロやクルルが飲み物を口に運んでいく。
「そうそう、冬樹殿~!」
「なに?」
「後でプラモ屋付き合って欲しいんでありますが・・・」
「うん、いいよ。」
嬉しそうな顔をするケロロと冬樹。
たわいもない会話が、ドロロに影を作っていく・・・
自分は本当に今、満足しているのだろうか?
この笑顔の中に居て、異様ではないだろうか?
最近妙に自問自答が多くなった。
今になって、不安になってきたのだ。
満足しているだろうか。
本当は、何かを隠し、何かを恐れ、それを平和で隠そうとしている・・・ごまかそうとしているだけなのではないか・・・そう思うのだ。

ふ、と思った。

本当に罪なのは、人を殺したことじゃなく、星を滅亡させたことでもなく、今、平然とした顔で笑っていることなのだ。

この笑顔で、純真な彼らを欺いていることなのだ。

「ドロロ、もぅ帰るの?」
突然立ち上がったドロロに、冬樹が何気なく声をかけた。
そんな問いかけにも、ドロロは笑顔で答える。
ここにいてはいけない。
「そろそろ町内の見回りに行ってくるでござる。夏殿、ご馳走様。」
「いいえ。」
「気をつけてねー。」
自分の笑顔に応えてくれるかのように、2人は笑いかけてくれる。
それが更にドロロの心を締め付けた。
扉を閉めた後も、夏美の『ドロロは礼儀正しいわよね~あんた達と違って。』などという声が聞こえ、消えてしまいたくなった。
律儀に玄関まで歩いていき、扉を開けた瞬間、新鮮な風が入り込んできた。
暑い日に、その風は気持ちがいい。
思わず神経が緩む。
「おい。」
「!!」
いきなり声をかけられ、驚いて振り向く。
そこにいたのは、さっきまでケロロ達の後ろでなにやら作業をしていたクルルだった。
「クルル殿。どうされたのでござるか?」
いつもどおりの笑顔を向ける。
彼は他人の笑顔が嫌いだから、きっと帰ってくれる。
用なんて、大したこともないのだろうから。
ドロロはそう思っていた。
けれども・・・
「パトロールなんて言ってよぉ・・・アンタらしいごまかし方だぜ。いや、アンタだからこそ出来る、都合のいい逃げ道だな。」
「え?」
予想外のことに、逃げ遅れてしまった。
クルルはどんどん近くによってきて、あの独特な笑みを湛える口元も、その距離に伴ってどんどんつり上がっていった。
「そうだろ?」
そう言い、クルルは手を伸ばした。
腕をつかまれたドロロは、とりあえず抵抗を試みる。
「クル・・・!」
「おいおい、あんまり派手に抵抗すんなよ。奴等が来ちまうぜぇ~?心配かけたくねぇだろ?」
見事に弱いところをつかれ、ドロロは言葉を詰まらせる。
そうこうしているうちに、壁に押し付けられてしまった。
何が目的だ?
「どうせパトロールなんかしねぇで公園にでもいるつもりだろ?それとも山奥か?どちらにせよ、んなとこにいるくらいなら、俺のトコに来いよ。」
「何?」
眉をひそめたドロロの顔の真横に、自分の顔を寄せる。
そんなクルルにを引き離そうと、ドロロはやはり抵抗を試みる。
「ま、嫌がっても連れてくけどな。」
そう言ったクルルの表情は見えなかった。
だからかもしれない。
ドロロの反応が遅れしまったのは。
「うわっ!!」
壁が回転して、2人を飲み込む。

「ドロロ?まだいるの?」
声がしたような気がして見に来た冬樹の前には、いつもの玄関があった―

「クルル殿!!これはどういう事でござる!!」
暗い視界が急に明るくなり、気がついたらラボにいた。
いつもクルルがいる、普通のラボだ。
ドロロは頭を打ってのた打ち回っているクルルの襟首を掴み、凄い剣幕で尋ねた。
「ってぇ・・・アンタが暴れるから・・・」
頭を抑えるクルルに、少しだけ冷静になる。
こんなのは自分らしくない。
恐らく自分は、嘘を見破られたことについて動揺しているのだ。
「ちゃんと目的は教えてもらう。」
クルルを離し、ドロロは二歩ほど後ろへ下がった。
それは、次の危険を回避するための基本動作。
クルルは頭を抑えながらダルそうに立ち上がり、ドロロとは真逆へと歩き出した。
「ちょっと!!」
無言で歩いていくクルルにどうしていいか分からず、とりあえず恐る恐るついていく。
クルルが入っていたのは、小奇麗な応接室だった。
「入れよ。」
警戒して入ろうとしないドロロに声をかけ、クルルはソファーに座って足を組む。
「・・・何がしたい?」
そう尋ねると、クルルは笑った。
「暗ーい雰囲気かもし出してる元アサシンが気になったもんでなぁ~・・・ちょいと話を聞かせてもらいたいと思った・・・ってのは理由にならねぇか?」
「ならないね。」
嘘だと思った。
「理由なんて、くだらないもんだ。」
「そういうものかな。」
ドロロも、向かいのソファーに座る。
特に危険はないようだった。
「地球人がいる中でアンタがやばいこと考えるわけねぇだろうし、なんか悩みでもあんのかよ。」
その表情と声は心からのもののようで、妙に真剣だった。
それが不思議で仕方がない。
「それを何故君に言わなくちゃいけないんだ?」
「・・・ずいぶん冷たいこと言うじゃねぇか・・・。」
本当に参ったような顔をして、クルルが溜息をついた。
「理由は、本当にそんなことなの?」
「あぁ。そんなことだ。」
信じられない。
そう言おうかどうか、迷った。
「何がそんなにアンタを暗くすんのか知らねぇけどよぉ・・・俺としては、暗い雰囲気は気が滅入って仕事の邪魔なんだよなぁ?」
「じゃあ、どうして僕が外に出ようとしたのを止めた。」
「気になるじゃねぇか。」
「・・・」
それは好奇心からか。
それとも、もっと危険な何かからか。
どこから湧いて出た『気になる』なのだろう。
「くだらねぇ理由だと思うか?」
笑って聞くクルルに、ドロロも笑って見せた。
「とてもくだらないと思うよ。」
「そうかい。」
そこで、会話は途切れた。

僕は、この痛みと苦しみは誰にも分からないと思っていた。
人にはそれぞれ個人の感じる痛みの種類があって、それは他人には分からないものなのだと。
それを共用できるのは、繋がれた2人だけなのだと・・・
罪な自分は、きっと人よりも酷い痛みを感じているんだろう。
だから、こんなにも血だらけになっているのだろう。

―けれどもこれは・・・自分の血じゃない―

「あいつ等と居るのが嫌だったのか?」
唐突に聞かれたその疑問に、僕は素直に首を横に振った。
自分の頭は、今のところ冷静だ。
ちゃんと働いてくれている。
彼は何を考えているのだろう。
見てみたい。見たくない。見てはいけない―
「ってことは、それなりの何かがあるってことだな。」
彼は僕の何を暴きたいのだろうか。
「仮にそうだとして・・・「仮じゃねぇ、

真実だ。」

何故だか、逆らえない迫力のある声だった。
「分かった。君の考えが正しいとして、」
今度は訂正しなかった。
さっきと同じ事を言ったのだが・・・
「君は、僕の何が知りたい?」
重要なことだから、先に聞いておく必要があると思った。
僕はアサシンだ。知られてはいけないことだってある。
それが何の目的のためなのかすらも分からずに、易々と自分のことを教えることはできない。
いつ、何所で、誰が聞いているかも分からないのだ。
もしかしたらクルルをターゲットにする日が来るかもしれないのだ。
敵にむやみに情報を与えてはいけない。
それは彼もよく分かっているはずだ。
「俺が聞きたいのは、単純なことだ。さっき言っただろ?」
「あんなのは理由にならない。」
「それが理由なんだよ。」
睨みあう。
いや、睨んでいたのは僕だけだったかもしれないが。
そもそも、彼は元から目つきが悪いのだ。
「僕が暗い理由?僕がいつ暗かった?」
「今日。さっきの隊長と冬樹の会話の後から。」
驚いた。
彼はアサシンでもないのに、人のオーラや気を読み取ることが出来るのだろうか。
「俺はアサシンじゃねぇ。特別な訓練も受けてねぇ。けどな、何とかなくは分かるんだよな・・・昔から。それはまぁ、俺が悪かったんだろうけどよ。」
「君が、悪かった?」
僕がその言葉を反復したときの彼の表情。
その目を僕は知っている。泣くのを我慢すると、こんな瞳になるのだ。
僕はよく泣いていた。
だから知っている。どんなときに、こんな瞳をすることになるのか。
「寂しいの?」
「・・・馬鹿言うな。」
彼の瞳は、眼鏡の反射によって隠された。
だからその言葉が苛立ちによるものなのか、強がりによるものなのかは、判別できなかった。
それが残念でもあり、同時に悔しかった。
ずるい。
君は逃げられる。
ずるい。ずるい。ずるい。
「アンタはあの頃・・・どうだったんだ?」
すでに彼の策は展開され、彼の攻撃もまた、始まっていた。

駆け引きは正直、得意じゃない。

「アンタは今、どこかが暗い。それは確かなことだ。」
「・・・」
「そして、それは俺達ケロロ小隊によるものでも、地球人によるものでもない。」
「・・・」
僕は、どちらの言葉にも、何も言わなかった。
言う義務なんてない。
頷く義務なんて、ない。
「なぁ、とりあえず首くらいは動かしてくんね?」
自分勝手な要求だ。そう思ったから、顔を背けた。
「ったく・・・そういう態度とられるとなぁ・・・」
顔をそむけた僕は、壁の白さに見とれていた。
それはなかなか楽しいもので、今の自分の時間は、何にも邪魔されないとさえ思った。
けれども、それは意外なものによって邪魔された。

―殺気・・・?

鋭くはないが、確かにそれは殺気だった。
黒じゃなく、紫ではなく、それは赤い赤い、血を求めるような殺意。
そしてその殺気を放ったのは、紛れもなく自分の目の前に居る存在。
本当に鋭くはないのだ。だからこの程度に殺されることはない。
それでも、重くのしかかるそれは、僕の瞳を引き戻すには十分だった。
「人の話は目を見て聞くんだろ?」
それは僕が隊長に言った言葉。
そんな言葉さえも、彼は聞いていたのだ。
「・・・さっきの二つについては肯定する。」
「よし。ならいい。」
彼の態度は、少し偉すぎはしないか。
そう思ったのだが、理不尽なのは今に始まったことではない。
それが彼なのだろうか。
彼はそれで、満足なのだろうか。
そんな自分が、本当に誇らしいのだろうか。
「っ・・・!!」
そう考えたとき、急に眩暈がした。
頭がくらくらする。吐き気がする。
「ドロロ?」
クルルが立ち上がったのが見えた。
僕はすでにソファーから転げ落ちていた。

―ドロロ!!

その強い声に目覚めたとき、彼は安心したように僕を抱き起こした。
彼の手が、肩に触れる。
瞬間、僕は声を発していた。
「僕に触れないで。」
「はぁ?んなに警戒すんなよ。」
彼は勘違いをしていた。
僕はそんなことを恐れているんじゃない。
君の身を、案じているんだ。
「僕は、アサシンだ。」
「だからなんだ。」
彼の手を振り払った自分に、嫌悪感。
「何が引き金になって君を殺してしまうか分からないんだよ?」
それは、脅しのようだったかもしれない。
実際、それに近かった。
これで彼が自分に恐怖を抱き、自分に近づかなければいいと思った。
彼は、何も言わなかった。
「僕は人を殺す。君だって、例外じゃない。」
「それで?」
「触れないで。切れそう・・・」
それは神経ではなくて、アサシンの自分を縛り付けている縄や鎖や茨など。
それが切れてしまえば、誰も止められない。
気づくのはいつだって・・・全てが終わった後だ。
「それに・・・僕に触れたら、汚れる。」
「馬鹿か。」
馬鹿じゃなくて、真実なんだよ。
彼が言ったように、僕もそう言ってみようかと思った。
それでも、彼は納得してくれないんだろう。
分かっている。理不尽は今に始まった事じゃない。
「アサシンは、素手で人を殺める。僕だって、何度もそんな任務を請け負った。僕の手に、何人の血が染み付いていると思う?」
「知るか。」
「僕はアサシンだ。皆と一緒に笑えない。」
そう言った後に思った事がある。クルルの目がいっそう赤くなっているような気がしたのだ。
だんだんと恐怖は感じてきていた。
だから立ち上がった。
彼は俯き加減で、やはり立ち上がる。
そして、彼は言う。

「思い上がるんじゃねぇ。」

その言葉が、これほどまでに僕をズタズタに引き裂くなんて、思いもしなかった。
彼は自分にとって危険な人物だったのだ。
逃げなければいけない。
初めて、本気でそう思った。
「自分が特別?アサシンが特別?本気でそう思ってんのか?」
今すぐ・・・
この研究室から、今すぐ出なくてはいけない・・・!!
この言葉を聞く前に・・・!!!
「アンタはそれで自分の身を固めたつもりか?確かに、それなら外面からの攻撃なら防げるかも知れねぇな。殺しちまえば済むことかも知れねぇな。」
「違う・・・」
そんなことを言っていたんじゃない。
そんなことまで、君に伝えたつもりはない!!
実験されているような気がした。
自分の反応を見て、彼は何かを成し遂げようとしている。
そんな気が・・・
「違う?何がだ。もし俺がアンタを外面的に攻撃したなら・・・俺は一時的な気絶じゃぁ済まねぇとおもわねぇか。そうだろ?けどな、その攻撃が内面的なものだったなら、アンタに勝ち目はねぇんだよ。俺を誰だと思ってる?今、逃げたくて仕方がねぇんだろう?その弱気な態度が、俺の勝利と、アンタの人間的な面をすっかり表してんじゃねぇか。」
確かに彼は強い。
逃げなくては。
赤い目をしたこの野獣から、今すぐ逃げなくては。
捕らえられてはいけない。
捕まったら・・・食い殺される・・・!!
「逃げるな。」
肩をつかまれたときの僕の目は、揺らいでいただろうか。
嫌だ。
怖い。
「別にアンタを否定したいわけじゃねぇ。ただ、しっかり覚えとけ。アンタは普通の人間だ。」
「違う・・・嫌・・・」
僕は真実が欲しいわけじゃない。
「アサシンだって何だって普通の人間だろう。それは、アンタが一番よく分かってるはずだ。」
「嫌・・・嫌だ・・・嫌あぁぁぁ!!!」
僕自身、その声が何所から出てきたのか分からなかった。
それほどもまでに高く、悲痛な奇声だった。
ただ怖くて、辛くて、隠れてしまいたくて、埋もれてしまいたくて・・・
こんな状況でこんな声が出たことに、僕は驚いていた。
でもそれ以上に、彼のほうが驚いたことと思う。
それでも彼は、僕を放そうとはしなかった。
むしろ肩に置いていた手を僕の頭に回し、ギュッと抱きしめた。
その力は思う以上に強くて、僕の声はだんだんと小さくなり、仕舞いには酸欠になった頭が真っ白になった気さえした。
「・・・嫌だ、放して。」
「何がそんなに嫌なんだ。普通の何がそんなに怖いんだ。」
「放してくれないと、僕は・・・君を殺すよ?」
それは恐ろしい癖のようなもので、辛い事や苦しいことが有ると、何が何でも自分の前からその原因を追放したくなるのだ。
やったことはないが、きっとその手段には殺人ですら含まれる。
「俺が目障りか?俺が憎いか?・・・俺が悪いのか?・・・」
「違う!!違うんだ!!悪いのは僕で、憎いのはこの力で、目障りなのはアサシンの僕で・・・!!でも、でもっ!!!」
僕の頭が混乱するたびに、彼の腕の力は弱まっていった。
それでも僕が再び口を開いて話し出すと、その力は戻ってくるように感じた。
後に思った。彼は不安だったのだ。自信がなかったのだ。それでも僕の気力に応えようと、再び力を込めたのだ。
「僕は普通でいちゃいけない!!普通でいるのは罪なんだ!!人を殺した僕は、笑っていちゃいけないんだよ!!」
こんなこと、彼に言ったところでどうにもならないことくらい、知っていた。
それでも彼は僕を放そうとはしなかったから。
だから僕の口は開いたのだ。
「流れた血は僕の血じゃなかった。動かなくなった半身は僕の肢体じゃなかった。焼かれた家から出てきた死体は、僕の家族じゃなかった。僕の罪は、いったい何所へ行ったの?どうして僕じゃなくて、彼らが死んでしまうの!?笑っていられないよ。でも、笑っていなくちゃ。ここは平和な星だから・・・どこかで戦争が起こっていたとしても、この場所は幸せだから・・・笑っていなくちゃ。それが残酷だって事くらい知ってるんだ。でも僕は普通じゃないから、こうやって笑っていても、誰かを殺していても、それは仕方のないことだって・・・そうでしょ?僕はアサシンだから、誰かを殺さなくちゃいけないんだから。それは普通のことじゃないけど、アサシンは普通じゃないんだから。」
「・・・」
彼が何も言えないことも知っていた。
どんなに頭が良くても、どんなに幼い頃から血を見てきても、僕の気持ちは分からないって。
この狂気を何とかできるのは、『死』の宣告のみだって。
「僕は普通じゃないんだよ。だから・・・」
かれの腕の中は、安心できる気がした。

「だから、僕は笑っているのかなぁ・・・?」

彼の腕の力が、スッと弱まった。
あぁ、僕は離されるんだ。
そう思いながら彼の顔を見た。
その瞳は赤く燃えながら何かを伝えようとしていた。
それがなんなのかは、僕に分かるはずがない。
「アンタが笑ってんのは、楽しいからだろ?」
「楽しい・・・!?」
「嬉しいから、可笑しいから、幸せだから・・・」
それ以上、聞きたくなかった。
それは罪名を挙げられているようで・・・。
「アンタが笑ってて、何が悪い?あいつ等はもぅ死んじまった。」
その率直な言葉は、僕にとって初めての言葉だった。
だれもその事実は教えてくれなかった。
彼らはもぅ死んでいるだなんて、誰も言ってくれなかった。
僕に当たり前のように笑うことを許してくれた人は、誰も居なかった。
「普通の何が悪い。普通の奴だから、人を殺して、笑って、泣くんだろ。普通じゃなきゃ、そんな人間的なことできねぇんだよ。」
どう捕らえていいのかわからなかった。
「アンタが誰を殺しても、それはおかしなことじゃねぇ。あんたは普通だから、人を殺すんだ。」
それは暗示に近いように思えた。
その言葉が僕を救うとは思わなかった。
こんなに残酷な言葉が、真実だなんて思わなかった。
だって、誰も教えてくれなかったから。
みんなウソツキだったから。
「ドロロ。」
彼の声が、近くに聞こえた。
僕の言葉はそのとき、彼に奪われた。
「んっ・・・・・・」
長すぎるそのキスは、いったいどんな真実を教えてくれたのだろう。
「アンタをずっと見てた。声をずっと聞いてた。あんたのことしか、頭になかった。」
それこそ、狂気。
いっそ殺しても良かったのだと、彼は飄々と言ってのけた。
それはいい。
もしそうしてくれていたのなら・・・僕は君だけを見て、死ねたんだろうね。
他人の血も、自分を嫌う者の顔を見ることも無く、君のその悲しいまでの狂愛を受けて・・・。

「僕はここに居るより、本部でアサシントップとして働いていた方が良かったのかな・・・そうすれば、こんなに苦しまなかったのかな。」
無駄な平和など求めなければ。
その平和こそが、罪なのだから。

「君は、どう思う?」

「俺は・・・平和ボケも悪くはねぇと思うぜ。」
無駄な平和は、無駄じゃない。
彼はそう言って笑った。
そしてまた、僕にくちづけたのだ。

彼が真実を教えてくれる。
もし嘘が必要なら、僕が用意してあげる。
君は僕の傍にいて。
それがたとえ罪だったとしても、彼が死刑宣告してくれるなら、本望だ。

狂おしいほどの愛を僕にください。

君がいる世界で笑うことを、許してください。



―ねぇ、この愛のあり方について、


                
                君は、どう思う?


_____________________________________

すいません。
文字数がもぅ無いので、とりあえず謝らせてください。
なんか謝らなきゃいけない気がするんです。というか、文字数↑の線で40くらい使いましたよ。
なんか偽装っぽくてすいません。
長くなると、話の統一が取れない・・・。
内容がだんだんバラバラになってくるうぅ~~(泣
そして空欄も多かった今回の小説。
もぅ、本当にごめんなさい。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。