小指ほどの鉛筆

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23 この命を懸けてみせましょう 2

2007年12月07日 18時48分46秒 | ☆小説倉庫(↓達)
「ゾルル!!」
ガルルが駆け寄り、その身体をゆっくりと起こした。
「身体に無理をさせすぎたんです。毒を浄化しようとするアサシンの身体にはよくあることです。」
「・・・そうか。」
ほっと胸を撫で下ろすガルルに、ドロロが二回目の微笑を浮かべた。
「上層部は慌ててましたよ。貴方こそ、無理はしないで下さいね。」
「悪かったな、地球から来たんだろう?」
「えぇ・・・クルル君が怒っているので、イタズラや嫌がらせには十分注意してください。」
「?・・・あぁ、分かった。」
血で滑る地面を慎重に進みながら、ガルルは久しぶりのドロロとの会話を弾ませた。
背にはゾルルを背負い、呼び出した船のあるところへと向かっていった。


「!!・・・」
目を覚ましたゾルルが起き上がると、そこは病室で、隣にはガルルが座っていた。
「そんなに勢いよく起き上がって平気なのか?まだ寝ていたほうがいいんじゃないか?」
身体はもう完全に動けるようになっているようだった。
ドロロはどうしたのかと問いかける前に、横においてある赤い花とフルーツのバスケットに気がつく。
「・・・」
「あぁ、これはドロロ兵長が帰る前にそこのスーパーで買ってきてくれたものだよ。花瓶も持ってきてくれた。」
フルーツを剥こうかと聞かれ、ゾルルは首を振った。
捕らえられたことによって、いったいこれからどんな変化が訪れるのだろうか?
そんな不安が大きく、とても何かを食べるような気にはなれなかった。
「・・・不安か?」
「!」
「お前は今までどおりレッドアサシンとして私の部隊に配属だ。何の変わりも無い。それはドロロ兵長に感謝するんだな。」
不安を的確に当て、心配ないと念を押すガルルに、ゾルルは心底驚いた。
「何故・・・だ?」
「ドロロ兵長はお前が優秀なアサシンであることや、私がお前を大事にしていることを提示して変化を防いでくれたんだ。」
嬉しそうにそう告げるガルル。
ゾルルまで、ぞくぞくとした嬉しさがこみ上げてきた。
今までどおりに接してくれる仲間がいること。
そして、ガルルが自分の隣にいるということ。
「ガルル・・・」
「なんだ?」
生きていてよかった。
そう言いたかったが、いつもの癖で上手く伝えられない。
「馬鹿、だろ・・・」
「へ?」
自分をかばって死んでいたら、許さなかった。
もしドロロが来てくれていなかったら、どうなっていたんだろう。
結局は死ぬだろう自分をかばって、何故2人して死ななければならないのだ。
「俺は、半身機械・・・だぞ・・・。そう、簡単に切り、刻まれる・・・わけないだろ、う。」
「ハハ、そうだったかもしれないな。」
やはり馬鹿なのだと、ゾルルは自分を無理に納得させた。
「だが、助かっていたとの保障もないだろう?」
「お前、よりは・・・生きている、確立、は・・・高い。」
「まぁな。」
「死んだら・・・もっと綺、麗に・・・切り刻んで・・・やる、ところだっ、た。」
精一杯の強がりを言ってみる。
「屍くらいは綺麗に残しておいて欲しいな。」
ガルルは困ったように笑いながら、そう言った。
この軽い受け答えが、ゾルルをさらに苛立たせた。
「どう、してお前は・・・そうなん、だ・・・」
「そう、と言うと?」
「・・・」
どうして自分はガルルを前にするとこうも弱くなるのだろうか。
ゾルルはうつむき、こみ上げてくる何かを必死にこらえた。
「ゾルル?」
心配そうに顔を覗き込むガルル。
そんなガルルの優しさや安心感に耐え切れず、ゾルルはガルルに飛びついた。
「っ!!ゾ、ゾルル!?」
バランスを保とうとするガルルに、さらにきつく腕を巻きつける。
「お前、が死んだら・・・俺は・・・どこ、に帰れば・・・いいんだ。」
「・・・」
―お前を大切に思う人は沢山いるというのに・・・俺だけのために、死なれてたまるか。
唇をかみ締め、目を閉じる。
久々に感じた人の体温に、心休まる気がした。
「すまなかった。」
「・・・」
謝罪の言葉など望んではいない。
ガルルが今ここに居てくれることが、ゾルルにとって何よりも嬉しかった。

「たいちょーー!!」
「ガルル!!」
「ゾルル~~~!」
「二人とも気分はいかがですか?」
と、ドアが開き、大勢の人達が入ってきた。
そして全員が、目の前の光景に絶句する。
「・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・」
「・・・隊長。」
「ゾルル・・・。」
慌ててガルルから離れようとするゾルルと、苦笑しながら襟元を調えるガルル。
「ゾルル兵長はは患者なんですからね、隊長。」
「何さゾルル!ボクには抱きついてくれないくせにサ!!」
「私は悲しいぞガルル!!」
「うるさいです大佐。」
「・・・;」
ゾルルは改めて、ガルルがどんなに愛されている人物なのか、どんなに大切にされている人物なのかを確認したような気がした。
それは寂しくもあり、少しだけホッとできるような気もした。
「でも、元気そうですねっ。」
プルルが笑顔でそう言う。
「あぁ、おかげさまでな。」
「・・・」
「アサシンの治療は難しいんですよっ?ゾルル兵長。」
悪戯っぽく笑いながら、プルルはずっと顔を背けていたゾルルに言った。
「・・・すまない・・・。」
人と話すことがあまり無かったゾルル。
上手く言葉を選ぶことが出来ず、後になって後悔することも少なからずある。
けれども、そんなゾルルに軍に入ってから初めて会話というものを教えてくれたのはガルルだった。
「じゃ、あんまり長居するのも悪いんで。」
「じゃあね~。」
「ゾルルが寝てるからって襲っちゃダメだからネ!?」
「私はそんなことはしないぞ?」
「ふふ、それじゃあ、お邪魔しましたv」
「ゾルル兵長はよろしく頼んだぞ。」
「えぇ。」
にぎやかに出て行った面々を、少しだけ顔を傾けて見送る。
「ゾルル。」
急に名前を呼ばれ、そむけていた顔をガルルの方へと向けると、唇が触れ合った。
「私も同じことを考えているんだぞ?」
「・・・何、がだ・・・」
「お前が死んだら、私は悲しみをどう乗り越えればいいんだ?確かに少し身勝手な行動をとったとは思っているが、お前を死なせたくなかったんだ。この気持ちは、分かってくれるだろう?」
「・・・」
ゾルルは答えることが出来なかった。
分からないわけではない。
けれどもそれを認めてしまったら、またこの男は自分を無茶な人助けに使ってしまうことだろうと思ったのだ。
「そんなに拗ねないでくれ。」
「拗ねて・・・ない。」
「そうか?なら良いんだが。」
そう言って笑うガルルの口を塞いでやりたくて、ゾルルは腰を少しだけ浮かせて口づけた。
「・・・今日は珍しいこと尽くしだな・・・。」
おどろいた様子でそう言ったガルルに、ゾルルはまたしても顔を背ける。
その顔は赤くなり、少しだけ幼くも見えた。
そんなゾルルが愛おしくて、ガルルは引き寄せるようにして、その身をギュッと抱きしめた。

もう寂しい思いはさせないから。
けれども、お前は私が守るから。
そう思いを込めて。


__________________________

終わった。
疲れた。
そして同じようなことを前にも書いたよね・・・。
でも今回はもうちょっと甘めに。
基本的にシリアスが好きだけど、それだけじゃ物足りないんですよ!!
物書きは貪欲くらいがちょうどいい!!きっと・・・。



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