小指ほどの鉛筆

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8 (長いので本文中に記載)

2007年10月14日 18時07分57秒 | ☆小説倉庫(↓達)
8 そうか。そんなに俺を憎んでいたか。……悪かった。さあ、機嫌を直して、そこの醤油を取ってくれないか?(ガルゾル+α)
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その日の日向家は、大混乱だった。
「ちょっと!!なんであんたがいるのよ!」
「そう警戒しないでくれ、確かにこんな夜遅くにお邪魔したことは謝る。」
「ガ、ガルル!?」
「ガルル中尉!何でここへ??」
「クークックック(笑)」
いつものように夕食を作り、これから食べようと箸を持った瞬間、その来客はやってきたのだ。
「どうしたの夏美?あら?」
「ママ!またガルルが来たのよ!!」
「あー、今日もまた私的なことなのだが・・・ギロロがテントに居なかったものでな、もしかしたら中に居るのかもしれないと思って尋ねてみただけだ。」
慌てて自分が侵略に来たわけではないことを説明する。
そんなガルルを見て、秋はにっこりと微笑んだ。
「まぁ、じゃあご飯食べていって頂戴。」
「ちょ、ちょっと!相手は地球の敵よ!?」
夏美が驚いて秋を見上げる。
けれどもそれをウィンク一つで流し、秋は再びガルルに目を向けた。
「終わった後のお皿洗いをしてもらうってことで、どうかしら?」
「・・・これは驚いた。ぜひご厚意に甘えさせていただこう。」
「兄ちゃん!じゃなくてガルル!!!!」
しばらくぽかんとしてみていたギロロがようやく反応を見せた。
「なんだ?」
「俺に用があるんだろう?」
「あぁ。えっとな・・・」
とても気まずそうな顔で、間を空ける。
「怒らないか?」
「場合による。」
「・・・実は・・・」



「大体お前はなんでそう人に迷惑ばっかりかけるんだ!人付き合いが上手いことは認めるぞ?だが時々無神経極まりないことをするのは何でだ!?お前は二重人格か!しかもそんな理由で俺のところにくるな!!宇宙船は自家用車じゃないんだぞ!?分かってるのか!!!」
日向家の面々+ケロロ小隊+ガルルは、リビングで夕飯を食べていた。
秋がせっかくだからとドロロとタママを呼んだため、人数は劇的に増えている。
「俺は昔からお前にどんな恥をかかされてきたことか・・・思い出すだけで悲しくなってくるわ!そして今回も例の如く俺にすがってきて、何がガルル小隊隊長だ!なんだ?最近の隊長はこんなにだらしないのが多いのか!?ケロロといい貴様といい・・・あぁ!もう率直に言うぞ!

ゾルル兵長を怒らせたから帰れないなんて理由で前線に来るな!!!!!」

ギロロが一旦息を整える。
「ちょっとギロロ・・・後でやってよね。」
「ちょっとうるさいよ伍長。」
「くっ・・・今ガルルが猛烈に憎い・・・。」
と、急に、味噌汁を飲んでいたガルルが顔を上げた。
「ギロロ・・・」
「な、なんだ?」
いきなり名前を呼ばれ、思わず身構えてしまう。
「そうか。そんなに俺を憎んでいたか。」
しみじみとした口調でそう告げる。
そして人差し指を立て、ギロロの手元をビシッと指差した。

「・・・悪かった。さあ、機嫌を直して、そこの醤油を取ってくれないか?」

ギロロの額に青筋が浮かんだ。
「ガルル!!!!!」
「何だギロロ。謝っているじゃないか。それにこんなにうるさくしたら皆さんに迷惑だ。」
夏美はすでに耳栓を持ってきている。
秋は苦笑して兄弟喧嘩の様子を観察していた。
「そういう問題じゃない!」
「じゃあどういう問題なんだ。」
「・・・もういい。」
「そうか。で、醤油は・・・」

「ガル、ル・・・」

後ろから声が聞こえた。
ガルルが必要以上にビビッている。
「ゾルル殿!」
「ゾルル!」
ゾルルは箸を持ったまま動けないでいるガルルに近づき、その左腕をガルルの頭に乗せた。
「・・・帰るぞ。」
「・・・怒ってないか?」
恐る恐る聞くガルルに溜息つきでうなづくと、ゾルルは驚いている秋と目が合った。
「じゃま、した。」
軽く会釈をして帰ろうとするゾルル。
そのある程度礼儀をわきまえた行動に、秋も緊張の糸を解く。
「待って。一緒にどう?」
「・・・」
首を横に振って否定の意思を示す。
「美味いぞ?」
ガルルにそういわれて一瞬迷ったようだが、やはり首を横にふった。
「そう、残念ね。」
「それにしてもゾルル、お前何で来たんだ?」
「・・・空間、移動。」
「あ。」
その手があったとガルルが手を打つのを見、ギロロは本気で殴ってやろうかと思った。
「あぁ、あとゾルル。ちょっと待っててくれないか?食器洗いをしなくてはならないのでな。」
秋を見てそう言うガルルに小さくうなづいてから、ゾルルは少し考え、自分も手伝うことに決めた。
「俺も・・・」
「手伝ってくれるのか?」
「ん。」
「ちょっと待って。その左腕で?」
夏美がストップに入ったが、ガルルは心配ないといってそれを制した。
「ゾルルは器用なんだよ。」
「器用って・・・大丈夫かな?」
「ま、とりあえず任せてみましょ。」


「ふぅ。流石にここまで人数が多いと洗うのも大変だな。」
「・・・」
それから30分後、見事に皿を洗い上げた二人は達成感に溢れていた。
ガルルとドロロ以外のメンバーは、ゾルルの手際のよさに驚かされ、しばらくは鋭く光る左腕を見つめていた。

「では、ご馳走様でした。おいしかったですよ。また食べたいものです。」
にこやかな笑顔でそう告げるガルルに、ゾルルは軽くうつむいた。
「まぁ、じゃあレシピでも渡してあげようかしら。」
秋は嬉しそうに戸棚から一冊のノートを取り出し、そのうちの一枚を破いた。
「はい。」
そして手渡した相手はゾルル。
「??」
「ガルちゃんにおいしいお料理、作ってあげてね。」
そしてウィンクをすると、ノートをまたしまった。
「・・・」
ゾルルはそれをポケットに入れ、少し恥ずかしそうにお礼を言った。
「・・・ガルちゃん??それは私のことですか?」
「えぇ、そうよ。可愛いでしょ?」
「はは、光栄です。」
「ゾルちゃんも元気でね。また遊びにいらっしゃい。」
コクンとうなづき、ゾルルはガルルを見た。
「ん?帰るか。」
「ん。」
宇宙船に乗って帰って行く二人をしばらく見送った後、思い出したように冬樹が言った。
「そういえば、なんでお兄さんはゾルル兵長を怒らせちゃったんだろう?」
その疑問に、ドロロが苦笑しながら答えた。

「ゾルル君へのしつこい猛アタックの所為だよ。」

そして空を見上げた。


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二人はバカップルっていう話。
書きたかった事を詰め込んだら、まとまりのない話になりました。
次の小説へ向かう前の教訓としたいと思います(汗)。



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