イスラエル・ハイテクベンチャーCEO兼CSの脱&非日本仲間日記

イスラエルの情報科学ハイテクベンチャー会社のCEO兼CSの脱日本&非日本仲間10名が発信する日本への警鐘!

「メディアによる大袈裟な『重力波騒動』:あれは本当に重力波の波形なのか?」

2016年02月14日 | 「新」サイエンス&テクノロジー

「メディアによる大袈裟な『重力波騒動』:あれは本当に重力波の波形なのか?」

Hetero:重力波を観測したとのニュースが世界を駆け巡っている。怪しげな情報も多いが、STAP細胞のようにはなりそうもない。何故ならば極度に高度な専門性が要求される数理の世界であって、ド素人やネットのゴミらが寄って集る余地は全く無いからだ。ピント外れの無知蒙昧にして非本質的愚論のバッシング対象となった「DNA断片の電気泳動法」の画像云々とは訳が違う。STAP細胞のバッシング劇場の愚盲・遅鈍・薄野呂のネットのグズどもよ、重力波を否定してみろ。

お前らがバッシングしてきた、いや今も尚、小保方氏が本を出版した事でまたぞろ腐臭のする書き込みを繰り返すお前らのお頭の程度では逆に叩き潰されて殺されるだろう。先ずは汚い言葉を贈る。

重力波は、一般相対論の必然の帰結であって、如何なる疑義を申し立てる余地の無い必然の現象である。その検出には特段の設備を要し、実際の観測には時間を要した。それだけのことだ。

「重力波の初の直接検出?」

「それがどうしたというのだ?」

でもある。


1.あれは本当に重力波の波形なのか?

LIGOチームの発表した歪による波形変化を示す。


Fig_01:重力波の証拠データー(LIGO)

時間は相対化されているから時間の起点は不明。また肝心なRaw Data(ノイズ塗れ)が公表されていないから評価しようが無い。サマリー論文としては以下を参照されたい。メディア報道に遥かに優ることは言うまでも無い。
https://dcc.ligo.org/public/0122/P150914/014/cv116006.pdf
https://dcc.ligo.org/P150914/public

LIGOデーターを評価するに当たって、SMBH合体のN-体問題として、理論的シミュレーションを行なう。その事例は多数存在するが典型例を以下に示す。


Fig_02:BH合体問題の計算式例


Fig_03:BH連星運動及び合体による重力波の変化

最初に掲げたLIGOによる重力波観測データーは、上記の重力波の理論計算と定性的に一致し、理論的に矛盾しない。従って、観測された事象は重力波発生に関わるものである。

観察されたLIGOによる重力波データーを数値的に簡単に解析する。

① 0.25~0.27s:
二箇所の観測所であるHanfordとLivingstonのデーター間の相関が非常に弱く、LIGOの低周波限界である。

② 0.27~0.37s:
周期は30ms(33Hz)と判読されるが、フィルタリング後ノイズが多いのは限界領域による。
二つのブラックホールの距離が縮小し、重力波の振幅は増加を示し、連星運動の回転周期は高速化しつつある。

③  0.37~0.39s:
周期は22ms(45Hz)は感度は向上しノイズの影響は減少し、波形は安定化し、更に二つのブラックホールは接近し周期は減少する。

④ 0.39~0.41s:
周期は15ms(67Hz)

⑤ 0.41~0.425s:
ブラックホール合体直前の回転周期は7~5ms。重力波の振幅増大も顕著になる。

⑥ 0.425~ :
ブラックホールの合体後のノイズを持って収束する。


2.ブラックホールの大きさの推定

2個のブラックホールの夫々の大きさを推定するにはデーター不足であるから、同一サイズと仮定する。以下は非常にラフな見積である。途中の細かな複雑な計算は極めて難解であるからここには示さないが、5msの周期は外周にして、c・τc=1500Km。

従って連星の円筒モデル直径サイズはc・τc/π=478Km。

ブラックホール境界間距離は全く不明であるから、円筒直径の20%として残をニ分割すると191Km。

太陽1個の質量のブラックホールの大きさはSchwartzschild半径により5.91Kmであるから、除するとブラックホール1個分の質量は太陽の32.4個分となる。

CIT&MITの発表では、1個が36個分で、他方が29個の合計65個分で平均して32.5個分であって、本ブログでの見積値の32.4個分と殆ど同じである。

マスメディアが報じた振動データーから見積もっただけであるが、同一の結論となったから、妥当なところだ。

従って、今回の重力波の観測は正しい。


3.安易に「発見」という言葉を使うな

メディアの報道は「重力波『発見』」に色塗られている。これは、「発見なのか?」とく、「新大陸発見」などという言葉が歴史教科書に躍っているが、そこには「発見」前から、当地の住民が住んでいたのであるから、「発見」である筈が無い。植民地支配者の欲ボケのコトバと言う他は無い。翻って、重力波であるが、これは冒頭で述べたように、一般相対論の必然の帰結であって、疑う余地の無い論理的内部整合性を有するものであるから、実体のある概念であった。従って、「発見」と言う事は至当ではない。重力波とは「当たり前」のものだ。宇宙創生の過程で早い時期から、我々の宇宙には重力波が満ち溢れ、我々の体を絶えず「通り抜けて」ているのである。

宇宙論や素粒子論においては、当たり前のように重力波を前提にしてきた。謂わば公知化されていた。従って。「観測した」のであって、「発見した」のではない。


4.ブラックホールに関する間違いを正す

「ブラックホールは星よりも重力が強い」という間違いが多い。


Fig_04:X線連星
An artist's drawing of the black hole binary Cygnus X-1. The black hole, at the center of the accretion disk, pulls matter from its large, blue companion star into the disk. NASA / CXC / M.Weiss

X線連星からのイメージによるものだろう。星がブラックホールに吸い込まれてゆくイラストからの間違った連想である。作用する力は同じ重力理論であり、同じ距離では同じ重力である。相手に近づけば重力は強くなる(~1/r)。

ブラックホールは星と比べてサイズが小さくコンパクトであるから、ブラックホールの境界にまで接近すれば重力は強大になるだけのことである。X線連星というのは、非常に近距離にまで接近した連星のことであり、普通の星での連星では形成され得ないもので、その存在から連星を構成するブラックホールの存在がが分かるのである。

巨大なブラックホール、例えば太陽の百万個相当の質量の場合、何かとてつもないもので、物資がギュウギュウに詰まった非常に密度が高いもののように受け取られているが、これも間違いである。太陽1個相当質量ぼブラックホールは、直径が5.91Kmであり、その密度はおよそ1E16g/cm3である。密度を数式で表せば、Schwarzschild半径をrg=2GM/c^2として、ρ=M/(4πrg^3/3)~M/M^3~M^-2であり、質量の二乗に反比例して激減するのである。太陽の百万個乃至10億個相当の巨大ブラックホールでは、密度は1E4~1E-2g/cm3であり、太陽1個相当質量のブラックホールに比して極めて希薄なのである。内部では様々な活動が生起する。但し、その巨大BHの外側へはその兆候は一切伝わらない。個々から面白い概念が幾つも生まれてくる。


5.杜撰なメディア報道

「重力波『発見』」に関する典型的なメディア報道の例として、National Geographicによるニュースを6.の後に引用しておく。

タワケな内容である。

「そしてついに2つのブラックホールが合体する。その直前、渦を巻いて回転するブラックホールは、宇宙全体のあらゆる放射の和よりも大きなエネルギーを放出する」とあるが、何時の時点の「放射」を指しているのか?同時性の概念は無いのだ。インフレーション・ビッグバンから現在に至る時間軸138億年の輻射の総和に対する比でなくはならぬ。そうなれば、太陽3個分の質量エネルギーの放出など微々たるもので取るに足りないのである。こういった荒唐無稽な説明のオンパレードである。


6.論評とはこのように行なうものだ

STAP細胞バッシング(日本に於いてのみ見られた極めて恥ずべき日本的現象であった)に於いて見られたものは、数理論理に裏付けられた論評や考察ではなく、自称専門家のド素人や扇動メディアまたネットのグズどもの悪意ある者らによる単なる「誹謗中傷」である。論評とは上記のように行なうものだ。

そして、将来展望を語るのだ。

LIGOの信号の解析によりバイナリーBH連星の合体によって生じた重力波であることが明らかになったこと、又バイナリーBH連星のそれぞれの質量や合体して作られたブラックホールの質量まで推定することができたことは、重力波で宇宙を観測する重力波天文学が始まったということが出来る。しかしながら、LIGOの2装置だけでは重力波放出天体の正確な位置は同定できず、更に意味のある天文学的観測のためには、日本のKAGRAやヨーロッパのVIRGOなどが加わった重力波国際観測ネットワークが機能することは大いに望まれるところである。この三地点観測により精度の高い発射位置情報が得られるならば、重力波放出天体の同定が可能となる。このネットワークと、ハワイ・マウナケア山頂の光学赤外線望遠鏡すばる、日米欧で建設し、南米チリ・アタカマ砂漠で運用している電波望遠鏡ALMA、さらには近く打ち上げられる日本のX線天文観測衛星、アストロH、さらに加えて日本も参加して建設が進んでいる大規模なガンマ線望遠鏡群CTAなどとの連係により重力波天文学は大きく前進すると期待される。さらに、日本はこのような電磁波による望遠鏡に加えてニュートリノも検出できるスーパーカミオカンデを有しており、KAGRAが完成すれば日本は大きく重力波天文学に寄与することが出来るが、国際協同グループの一員として国籍を越えて知恵を出し更なる発展に寄与すべきである。

また、重力波天文学の最大の課題はインフレーション・ビッグバン宇宙創世時に放出された原始重力波を捕らえ宇宙誕生の様子を描き出すことである。ビッグバン宇宙の誕生の理論、インフレーション理論は地上設置型のLIGO、VIRGOやKAGRAでは検出不能な、より波長の長い重力波(超低周波、mHz)が現在の宇宙に満ちていると予言している。近年、巨大な基線長、1000Km(日本のDECIGO)~500万Km(ヨーロッパのLISA)という干渉計を夫々3機の人工衛星で構成する計画が立てられている。それにより、原始重力波の痕跡を宇宙マイクロ波背景放射の中に見つけようという観測計画が日本を含む世界の研究者によって進められ、2015年12月、ヨーロッパ宇宙研究機関、ESAは人工衛星「LISAパスファインダー」を打ちあげ、その準備が始まっており、日本でも同じような重力波観測衛星、LIGOとLISAをブリッジする領域でのDECIGO計画が提案されていて、ここでも国際協調により、原始重力波の直接観測に取り組むこととなろう。観測には地道な長い年月を要するものであるが、今世紀末までには必ず実現し、宇宙創世の現場を重力波で描き出すこととなろう。


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重力波、世紀の発見をもたらした壮大な物語ノーベル賞級発見の手法と意義、天文学の新たな広がりを詳しく解説(2016.02.12)


Img_01 :ブラックホールの合体
このほど、2つのブラックホールが合体する際に発生した重力波が検出された。図はブラックホールの合体のシミュレーション画像。ブラックホールがお互いを飲み込む直前には、それ以外の宇宙全体よりも大きなエネルギーを放出する。(ILLUSTRATION BY SXS COLLABORATION)

 100年におよぶ壮大な探し物に、ついに決着がついた。科学者たちはレーザーと鏡を使って、時空のさざ波「重力波」を直接観測することに成功した。

 この重力波は、地球から約13億光年の彼方で、2つのブラックホールが互いに渦を巻くように回転して衝突したときに発生した。ブラックホールの1つは太陽の36倍の質量を持ち、もう1つは29倍の質量を持っていた。(参考記事:「21年後に巨大ブラックホールが衝突へ」)

 重力波は池に生じたさざ波のように宇宙を広がり、2015年9月14日、地球上に設置された4組の鏡の距離に、ごくわずかだが測定可能な変化を引き起こした。4組の鏡のうち2組は米国ルイジアナ州、もう2組はワシントン州に設置されている。

 ブラックホールどうしが合体する直前には、宇宙の全銀河のすべての星々が放出するエネルギーの総和の50倍も大きなエネルギーが放出された。

 2016年2月11日、今回の発見に関する記者会見で、カリフォルニア工科大学のデビッド・ライツィー氏は「宇宙が初めて重力波という言葉で私たちに語りかけてきたのです」と言った。LIGO(レーザー干渉計重力波天文台)という施設で観測を行っていた科学者たちは、2つのブラックホールが死んで合体するときに聞こえると予想されていた特徴的な「さえずり音」を聞いた。

 ルイジアナ州立大学のガブリエラ・ゴンザレス氏は、「私たちは重力波の音を聞き、宇宙の音を聞くのです。宇宙は目で見るだけでなく、耳で聞くものになったのです」と説明する。

 実は、LIGOのチームが重力波を検出したという噂は数週間前からソーシャルメディアで囁かれていた。正式な発表前からこれほど大きな関心が集まっていたのは、多くの人が重力波の検出をノーベル賞級の発見だと考えているからに他ならない。


Img_02 : 時空のさざ波

=重力波、こうして検出した
 
 1916年にアインシュタインによって初めて予言された重力波は、一般相対性理論の中でもとりわけ奇妙な現象で、ブラックホールの衝突、中性子星の合体、恒星の爆発など、時空を伸び縮みさせるほどの激しい高エネルギー現象によって発生する。

 私たちは通常、時空の伸び縮みを感じない。時間は一様に流れているし、風景が伸び縮みすることもない。カリフォルニア工科大学のLIGOのチームを率いるアラン・ワインスタイン氏は、「それでも重力波は、今この瞬間にも私たちの体を通り過ぎています。これは確かなことなのです」と言う。

 重力波が地球を通り抜けているのは確実なのに、その影響をなかなか測定できなかったのは、「空間の伸び縮みが信じられないくらい小さいからです」とワインスタイン氏。2人の人間が1m離れて座っているところに重力波が通過すると両者の距離が変化するが、その大きさはわずか10の21乗分の1mであるという。これは、原子核を構成する陽子の直径のわずか100万分の1だ。

 けれども、LIGOのように2つの鏡を4km離れたところに設置すると、重力波によって陽子の直径の1万分の1の変化が生じる。「それなら測定できます」とワインスタイン氏。


Img_03 :装置点検
LIGOの検出器では、レーザーと正確に並べた鏡を使って、重力波が引き起こす非常に小さな動きを検出する。(PHOTOGRAPH BY MATT HEINTZE, CALTECH/MIT/LIGO LAB)

 LIGOは、L字型をした2基の同じ検出器を米国ルイジアナ州リビングストンとワシントン州ハンフォードに設置している。検出した信号が本物であるためには、両方の検出器でキャッチされなければならない。検出器は、L字型に直交するアームのそれぞれに鏡を設置したもの。通過する重力波は、時空を1つの方向に引き伸ばし、もう1つの方向に押し縮めて、検出器のアームの長さをごくわずかだけ変化させる。この変化をレーザーで測定するのだ。

 この検出器は地球上で最も感度が高く、重力波だけでなく、近くを通過するトラックや地震や6州も離れた場所での落雷の振動、GPS衛星からの信号、高層大気の電磁パルスなども検出してしまう。重力波の非常に小さい信号を検出するには、こうしたノイズをすべて除去しなければならない。

 LIGOの検出器は、数十年におよぶ計画立案と政治的ドラマを経て、2002年に観測を開始した。その後8年間観測を行ったが重力波を検出できなかったため、2010年にいちど閉鎖され、ノイズをもっと遮断できるように改良された。

 だから、2015年9月18日に改良型LIGOの観測が始まったとき、科学者たちは今度こそ何かを検出できるだろうと期待していた。

 ところが運命の不思議ないたずらで、彼らがすでに重力波を検出していたことが明らかになった。正式な観測が始まる前から検出器の運用が始まっていたが、その間にそれらしい信号を捉えていたのだ。問題の信号は先にルイジアナの検出器に到達し、7ミリ秒後にワシントンの検出器に到達した。

「この信号が入ってきたとき、本物だと確信しました。信じられないような幸運でした」とライツィー氏。


=衝突するブラックホール

重力波を観測できたら、アインシュタインの方程式を使って、どのような天体現象がその重力波を発生させたか推定することができる。今回の重力波を発生させたのは、2つのブラックホールの衝突であったようだ。この2つのブラックホールは合体し、太陽の60倍以上の質量を持つ1つのブラックホールを形成したという。

 巨大な恒星が死んで押しつぶされるときに形成されるブラックホールは、宇宙で最も奇妙な天体の1つだ。近づいてきた物質や光を圧倒的な重力で捉えてしまう高密度の「何か」としてブラックホールをイメージするのは簡単だが、正確には「もの」というより、時空が極端にゆがんだ底なし沼のようなものである。だから、2つのブラックホールが合体するときには、私たちの想像を絶するようなことが起こるのだ。(参考記事:「星を食らうブラックホール」)

 ワインスタイン氏は、「ゆがんだ空間がぐちゃぐちゃにかき混ぜられて、刻々と変化していくのです」と言う。


Img_04 :重量波
お互いのまわりを渦を巻くように回転する2つの巨大なブラックホールから放出される重力波のコンピュータ・シミュレーション。(ILLUSTRATION BY C. HENZE, NASA)

今回LIGOが検出した衝突では、2つのブラックホールは数百万年から数十億年間、お互いのまわりをゆっくりと渦を巻いて運動していた。けれども両者が少しずつ近づいていくと回転速度が速くなり、ついに光速の半分近い猛スピードでお互いのまわりを回転し、膨大な量のエネルギーを重力波の形で放出するようになる。

 そしてついに2つのブラックホールが合体する。その直前、渦を巻いて回転するブラックホールは、宇宙全体のあらゆる放射の和よりも大きなエネルギーを放出する。ひとたび合体すると、新しいブラックホールは少し振動し、リングダウンと呼ばれる最後のあえぎ声を吐き出して静かになる。(参考記事:「ブラックホールの「げっぷ」が星形成を終わらせる」)

 以上が、地球上に設置された鏡の距離のわずかな変化が語る壮大な物語だ。

 学術誌『フィジカル・レビュー・レターズ(Physical Review Letters)』に発表されたこのチームの原稿を見た米国国立電波天文台のスコット・ランサム氏は、「とんでもなくすばらしいデータです」と言う。「特段の統計的操作もせずに、検出器の『生』のデータに重力波を見てとることができるなんて、ほとんど誰も期待していなかったと思います」

 LIGOの科学者たちは、信号は本物だと確信している。彼らの見積もりによれば、これだけ本物らしい偽の信号は20万年に1度しか入ってこないという。LIGOは2015年10月12日にもブラックホールの合体により発生したと思われる候補信号を少なくとも1つ検出しているが、それが偽の信号ではないという確証はないという。

Video_01 :


重力波を発見した科学者たち。シカゴ大学の物理学者ダニエル・ホルツ氏が、重力波の検出という快挙を成し遂げたLIGO共同研究チームの舞台裏を解説する。


=新しい時代、新しい探査

今回の発見により、科学者は初めて重力波を直接捉えることに成功した。けれども重力波の存在は以前から証明されていた。1974年、ジョー・テイラー氏とラッセル・ハルス氏が、連星パルサーという新しい奇妙な天体を発見した。連星パルサーの正体は、お互いのまわりを回る2つの中性子星である。このパルサーを観測した彼らは、回転の軌道がどんどん小さくなっていることを発見し、その原因は重力波が系からエネルギーを持ち去っているからであるとしか考えられないことに気づいた。

 この発見は重力波の存在を疑問の余地なく証明するもので、テイラー氏とハルス氏は1993年にノーベル物理学賞を受賞した。

 LIGOの研究チームによる今回の発見は、地球上で重力波を直接観測できたという点で新しい。これは天文学の新時代をひらく発見であり、天文学者が宇宙をより遠くまで見渡すことを可能にする。

 重力波で宇宙を見ることは、人類が初めて赤外線やX線やマイクロ波の目で宇宙を見たときに匹敵する画期的な出来事だ。人類は何千年も前から可視光で恒星や惑星を見て、その動きを観察してきた。けれども、初めて赤外線で見た宇宙は、星々が生まれてくる高温の塵の塊でいっぱいだった。X線で見た宇宙は星々の死骸だらけだったし、マイクロ波で見た宇宙はビッグバンの高熱の名残に満たされていた。観測に重力波を用いるようになれば、同じように天文学に革命を起こすことになるだろう。

 米プリンストン大学の天体物理学者であるテイラー氏は、「重力波は、電磁波ではよく観測できなかった遠方の天体や天文現象を調べる新しい手法です」と言う。「私たちは、ブラックホールという天体が存在するかもしれないと推定し、銀河の中心に巨大なブラックホールが存在している証拠を握り、今度は、こうしたブラックホールとは違ったタイプのブラックホールを直接測定する技術を手に入れたのです」


Video_02 :


重力波の音:LIGOが観測する2つのブラックホールが互いに近づくにつれ、放出される重力波の周波数が高くなり、振幅も大きくなる。これを音に変換すると、特徴的な「さえずり音」になる。動画で最初に聞こえる音は重力波の正確な周波数で、次に聞こえる高周波数の音は人間の可聴域に合わせたもの。


=観測の試み、続々

これからの10年で、他の実験でも重力波が検出されるかもしれない。例えば、NANOGravという実験では、非常に短い周期で自転するミリ秒パルサーという天体を天然の重力波検出器として利用する。重力波がこうしたパルサーを通過すると、短時間だけ自転のタイミングを乱し、空全体にはっきりした痕跡を残すと考えられるからだ。

 恒星の質量の大変動によって発生する重力波を敏感に検出するLIGOとは違い、NANOGravでは、銀河の中心部分で回転している超巨大ブラックホールから発生する長波長の重力波を検出することができる。「私たちの観測装置は、太陽質量の数億倍から数十億倍の超巨大ブラックホールが、合体する数万年前に放出する周波数の重力波を高い感度で検出します」とランサム氏。(参考記事:「波長10億光年以上の重力波」)
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20140402/391054/?P=1

 もう1つ提案されている実験は、宇宙重力波望遠鏡eLISAの打ち上げだ。この宇宙望遠鏡は、あらゆる天体物理系で発生する重力波を検出できる。生まれたばかりの宇宙が急激に膨張したときに発生した原始の重力波を探しているチームもある。2014年、BICEP2の研究チームがそうした重力波を検出したと発表したが、その信号は塵によるノイズだったことが明らかになった。(参考記事:「宇宙膨張の決定的証拠を発見」)
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20140402/391054/?P=1
(「「宇宙誕生の重力波」はまだ証明されていなかった――小松英一郎氏緊急寄稿」)
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20140328/390221/?P=1

 重力波天文学が主流になるにはまだまだ時間がかかるだろう。けれどもその時代が到来したときには、これまで数学の領域にあった目に見えない極端な天文現象が観測可能な領域に出てきて、解き明かされるのを待つことになる。(参考記事:「謎に満ちた 見えない宇宙」)
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20141219/429327/

文=Nadia Drake/訳=三枝小夜子


Hetero (narmuqym, 旅するベテラン, invisible-force, Hetero, MASADA, rainbow, weather_F, anti-globalism, geno_computing, Bushido)
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  国際的にビジネスを行ってきたハイテク関係者のグループとして、警鐘を発信する。時事的な問題や長期的観点での警鐘に留まらず、趣味的な事柄まで幅広くメンバーの自由な意思でWebLog掲載することにした。メンバーのプロファイルは以下の通りである。

  narmuqym:HP&SUN研究所を経て、米国にハイテクベンチャー設立。最先端ニューラルMPUの研究開発を推進。現在はイスラエルのハイテクベンチャーのチーフサイエンティストに就任。知能の情報処理の根源を研究している。

  旅するベテラン:東芝中央研究所、半導体事業所にて高密度メモリーのプロセス及びデバイス開発に従事するも、バブル崩壊により全滅の定まった日本の半導体業界を去り、韓国サムソン中央研究所にて、韓国半導体技術を育成指導。現在は台湾の最大手半導体会社にて、高付加価値半導体事業を統括、取締役。

  invisible-force: ウイスコンシン大学、イスラエル工科大学教授。細胞内量子論的化学物理過程の情報処理、核外化学構造体の情報、DNA合成、大腸菌内DNA置換、動物細胞内DNA置換、神経細胞の情報処理、知能と学習などの研究に従事。イスラエルのバイオハイテクベンチャーCEO。

  Hetero:ベル研究所にて化合物半導体物性、超高周波デバイス、マイクロ波集積回路の研究開発に従事し、世界初の衛星放送システムを開発。レイセオンにて巡航ミサイル飛行制御システムの開発、イージズ艦戦闘情報処理&アタック制御システムの開発に従事後、イスラエルにハイテクベンチャーを設立。情報デバイド解消型の新型情報端末の研究開発に取り組む。

  MASADA:日電にて衛星通信システム、超多重無線伝送方式、通信路確立制御方式の研究に従事後、米国のATTに移り携帯電話システムの研究開発、その後次々世代MM携帯電話方式を完成。シリコンバレーにてハイテクベンチャーを興し、通信大手を圧倒している。

  rainbow:ウエスチングハウスにて原子力発電の研究開発に従事、その後GEにて新しいエネルギー変換方式の研究、各種発電方式の研究に従事。その後、シリコンバレーにハイテクベンチャーを興し、超低コスト新型太陽電池の研究開発を推進。

  weather_F:スタンフォード大にて環境気象及び資源の代替化を研究。気象センターにて地球規模大気循環シミュレーション、環境変動の研究に従事した後、ミニマム生活を提唱するNPOを設立し、代表として啓蒙活動に取り組む。

  anti-globalism:ハーバード大準教授後、日・イ間のハイテクベンチャー協業支援、事業戦略支援会社を日本とイスラエルに設立、妻は日本人。現在はハーバード大ビジネススクール教授。

  geno_computing:モスクワ大学・分子生物学教授を経てイスラエルに移住。テクニオン教授を経て遺伝子工学のベンチャー設立。DNAによるコンピューターの研究をメインに新しいセンサーによる次世代シーケンサー及び解析ソフトウェアを開発。

    Bushido:日立中央研究所にてRISCプロセッサー及びDSP、また画像処理システムLSIの研究開発に長年従事し、古い友人の大崎博士には様々に感化を受け、国際的視野に立っての仕事をすべく、日立中研を退社してサムソンに招かれ、現在サムソン電子の終身フェローの立場にあり、イスラエル・ハイファにて、自由な立場で異分野も含めて新しい発想にチャレンジ。MASADAとは剣道仲間。5段。
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