電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

フランクのチェロソナタを聞く

2006年01月22日 09時08分00秒 | -室内楽
このところ、フランクのチェロソナタを聞いています。フランクの作品一覧(*)を見ても、そんな曲はありません。これは、ピエール・フルニエ自身が編曲したもので、もともとはヴァイオリン・ソナタです。作曲者68歳、最晩年のヴァイオリン・ソナタは、携帯音楽CDプレーヤーで聞いても、たいへんに魅力的な音楽ですが、チェロで奏でられるのを自宅のステレオ装置で聞くと、これはまた素敵なチェロの音楽になりますね。

(*):セザール・フランク簡易作品表

ひそやかに始まる第1楽章、ピアノの序奏に続くチェロの音色がごく自然に感じられます。アレグレット・ベン・モデラート。
第2楽章、アレグロ。おさえられてはいるが、激しさを内包した音楽。第1楽章の主題が様々な形で現れる。ここではピアノがかなり主導的な役割を果たします。チェロの音色は雄弁になりがちだが、フルニエは過剰をいましめ抑制しているみたいで、細かい技巧的な部分も、まったく違和感なし。
第3楽章、レチタティーヴォ、ファンタジア・ベン・モデラート。ピアノの主題に応答するチェロの叙唱。チェロの深い響きが、なんとも幻想的な雰囲気を生む。
第4楽章、アレグレット・ポコ・モッソ。聞きなれた主題が次々に再登場、なるほど、それで循環形式というのね(少し違うけど、まぁいいか)。コーダもチェロの響きだと華麗さというより重厚な感じがする。この雰囲気はたいへんいいですねえ。

演奏は、ピエール・フルニエ(Vc)、ジャン・フォンダ(Pf)、1971年にミュンヘンでアナログ録音されたドイツ・グラモフォン原盤。聞きやすく好ましい録音です。ポリドールがユニバーサル・クラシックに統合されて、廉価盤で再発売されたもの(UCCG-9578)で、ショパンのチェロソナタが併録されています。

そういえば、先年亡くなった恩師もフルニエのファンだったなぁ。写真は恩師の葬儀が行われた教会にある小型のパイプオルガン(ドイツ製らしい)。フランクというとどうしてもオルガンを連想してしまうが、これも威圧的でない、好ましい響きでした。

■フルニエ(Vc)、フォンダ(Pf)盤
I=6'09" II=7'58" III=6'27" IV=5'48" total=26'22"
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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
フルニエ編曲! (望 岳人)
2006-01-25 10:53:13
フランクのヴァイオリンソナタを編曲したチェロソナタは残念ながらまだ聴いたことがありませんが、フルニエが編曲したものだったんですね。マイスキーとか何人かのチェリストのCDもあると思いますが、是非聴いてみたいですね。
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フルニエ編曲! (narkejp)
2006-01-25 21:20:48
望 岳人さん、コメントをありがとうございます。

フランクのチェロ・ソナタなんて珍しい、しかもフルニエのチェロならと、誤解で購入したものでした。ところが、ヴァイオリン・ソナタをフルニエ自身が編曲したものということがわかり、演奏も素晴らしいので、たいへん気に入りました。

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Unknown (勝手気まま)
2019-03-31 09:20:29
中高年のおじさんの切なさを表現するなら チェロの方が合っていると思うのは 私だけですかね? ただの切なさならバイオリン、控え目な切なさならチェロと思うのですが。 この2年位
チェロのコンサートが有れば 殆ど行ってましたが それで好きになりました。
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勝手気まま さん、 (narkejp)
2019-03-31 09:37:59
コメントありがとうございます。チェロの音色は、私も大好きです。雄大な表現も、慎ましやかな繊細さも、どちらも可能な表現力は、大きな魅力ですね。
おっしゃるように、中高年の切なさを表すこともできますが、ヴィオラで、というのも渋さがあって良さそうです(^o^)/
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