電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

マルティヌー「ピアノ協奏曲第2番」を聴く

2015年12月26日 06時01分21秒 | -協奏曲
通勤の音楽で、しばらくの期間、マルティヌーのピアノ協奏曲を聴いておりました。第1番に続き、第2番を繰り返し聴くうちに、この曲の華やかさと人懐こさを感じるようになりましたが、いかんせん、文字、文章にするのはなかなか難しい。そのため、しばらく寝かせておき、しばらくぶりにまた取り出して、こんどは自宅の簡易な PC-audio で聴いてみました。うん、こんどは何となく印象を言葉にできそうです。



CDに添付のリーフレットには関根日出男氏の解説が掲載されていますが、それによれば、マルティヌーのピアノ協奏曲第2番H.237は、1934年10月から11月にかけて作曲され、1935年の初めに完成、同年のうちに委嘱者のフィルクシュニーのピアノ、ターリッヒ指揮チェコフィルによりスメタナ・ホールで初演されたそうです。10年後にアメリカで広範な改訂を行ったそうですが、「荒々しくきらびやかな独奏ピアノの対比で、彼の傑作の一つに数えられる」という評価を受けているのだそうな。

オーケストラの楽器編成は、ピッコロ(1)、フルート(2)、オーボエ(2)、クラリネット(2)、ファゴット(2)、トランペット(2)、ホルン(4)、トロンボーン(3)、ティンパニ、トライアングル、大太鼓、小太鼓、シンバル、弦5部、となっています。

第1楽章:アレグロ・モデラート、4分の4拍子、変ロ長調。マルティヌーらしい、しなやかな主題に始まり、独奏ピアノがこの主題を自由に縦横に展開します。このあたりは、ピアノの名人芸がもてはやされた20世紀、特に1930年代の雰囲気を残したものでしょうか。後半にはジャズ風のテイストが感じられるところなどは、まさにこの1930年代の雰囲気でしょう。ピアノとオーケストラが渾然一体となるあたり、マルティヌーの真骨頂です。

第2楽章:ポコ・アンダンテ、4分の6拍子、変イ長調。弦楽合奏がやわらかに静かに始まり、その後にピアノがユニゾンで自由に展開する中で、オーケストラがこれを受けて、不思議な曲調の音楽を奏します。ピアノ独奏はさらに自由に移調しつつ歌い、最後に冒頭部が回想されて静かに終わります。

第3楽章:ポコ・アレグロ、4分の2拍子。民族舞曲風の衣装をまとった20世紀風ロンドとでも言うのでしょうか、独奏ピアノとオーケストラが活気ある自由な音楽を繰り広げます。符点リズムのオーケストラ部や、のどかで牧歌的な木管と華麗なピアノの対比はおもしろい。途中に出てくる小太鼓というかスネアというか、この音も効果的です。カーステレオでは聞こえにくいバスドラムの音も、音量を上げた自宅のオーディオではビンビン響きます。華やかな終結です。



プロコフィエフといいマルティヌーといい、大戦間期の1930年代前後の音楽は、お気に入りのものが多いように思います。残念ながら、1960年代など前衛音楽の時代の音楽でお気に入りのものというのはほとんど見当たらず、ビートルズとかそういうものになってしまいます。シュトックハウゼンとかブーレーズとか、ほんとは同時代のはずなのに、あまり同時代性を感じられないのです。


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2 コメント

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Unknown (リベラ33)
2015-12-26 09:23:46
実はナルケさんの影響で秋以降マルティヌーを聴いています。確かに華やかで面白いですね。特にピアノ協奏曲が気に入っています。
リベラ33 さん、 (narkejp)
2015-12-27 06:28:51
コメントありがとうございます。当ブログの影響で秋以降マルティヌーをお聴きとのこと、嬉しい限りです。ピアノ協奏曲もいいですね~。自宅ではPCに取り込み、車でもCDで聴いたりしており、おなじみの音楽になりつつあります。私の知らない、ステキな音楽がまだまだあるかと思うと、ちょいと楽しみです(^o^)/

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