電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

イタリア合奏団のヴィヴァルディを聴く

2014年10月12日 06時03分44秒 | -室内楽
ヴィヴァルディの音楽をはじめて耳にしたのはいつだったのでしょうか。おそらくFM放送などでイ・ムジチ合奏団の「四季」あたりを聴いた1960年代ではなかったかと思います。当時のベストセラーで、LP売上ランキングのトップはこのレコードでした。20世紀に、長年埋もれていた作曲家ヴィヴァルディの再評価が行われ、多くの録音が世に出てきていたことが背景にあったようです。

ところが、当時のレコード雑誌等の風潮は、「似たような曲を何百曲も作った職人ヴィヴァルディ」といったような中傷が散見され、「運命・未完成」=素人、「四季」=ミーハー、という見方が定式化されておりました。学生時代のお小遣いでは、ランキングにのるような正規盤LPなどは滅多に買えず、結局はじめて買ったヴィヴァルディのレコードは、1982年に録音されたクラウディオ・シモーネ指揮イ・ソリスティ・ヴェネツィのエラート盤でした。ミーハーに見られたくないという見栄で、ヴィヴァルディの「四季」を好んで聴いているなんて、ちょっと大きな声では言いにくかったものです(^o^;)>poripori



すでに十年以上前のことになりますが、DENON からクレスト1000シリーズで、イタリア合奏団によるヴィヴァルディの音楽がたくさん発売されました。例の「四季」を含む「和声と創意への試み」全曲が二枚組で、「調和の霊感」も「ラ・チェートラ」も「ラ・ストラヴァガンツァ」も、という具合です。これが、どれも演奏・録音ともに素晴らしいものでした。NHK-TVで、「シャルル・デュトワの音楽都市めぐり」とかいう番組で、赤毛の司祭ヴィヴァルディの素顔が紹介された(*1)ことや、近年は大島真寿美さんの『ピエタ』という本で、ヴィヴァルディの教え子たちが主人公となる物語に親しんだ(*2)ことなどもあって、近頃は堂々と「ヴィヴァルディの生き生きとした音楽がお気に入り」です、と言えるようになりました(^o^)/

イタリア合奏団によるヴィヴァルディの音楽は、単身赴任のアパートのミニコンポで、小音量で流してもそれなりに楽しめます(*3)し、自宅の比較的大型の装置でも、迫力ある合奏を楽しむこともできます。また、近代のオーケストラ音楽とは異なり、ダイナミックレンジの変化がさほど大きくありませんので、ロードノイズの大きい通勤の車中でも、溌剌とした演奏の魅力を、じゅうぶんに楽しむことができます。ここしばらく、「ラ・チェトラ」の二枚組を車に積み込み、音楽を楽しみながら、秋空の下、快適に通勤しております。

(*1):ヴィヴァルディは女学校音楽部の顧問の先生~「電網郊外散歩道」2005年9月
(*2):大島真寿美『ピエタ』を読む~「電網郊外散歩道」2011年7月
(*3):購入したミニコンポで試してみた結果(1)同(2)~NHK-FM「バロックの森」で協奏曲の発展を聴く~「電網郊外散歩道」2008年7月


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2 コメント

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Unknown (パスピエ)
2014-10-13 10:50:11
こんにちは
M氏はヴィヴァルディ嫌いを公言していますから、その被害を被った方は沢山いるかと思います(笑
ヴィヴァルデイに限らず沢山作れば似たような曲が出来るのは仕方ないとおもうのですが。
例えばM氏お気に入りのテレマンだって同じような曲を沢山作ってますからね。
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パスピエ さん、 (narkejp)
2014-10-13 19:10:17
コメントありがとうございます。
某M氏もそうでしたね(^o^;)>poripori
自分のお気に入りの作曲家で、当時は絶大なる評価を得ていたテレマンが、J.S.バッハならともかく、ヴィヴァルディごとき者に人気で負けるなんて許せない! といったところでしょうか(^o^)/ ストラヴィンスキーあたりも、辛口の評価をしているらしいですね。
当方、単なる田舎の素人音楽愛好家ですので、そういったエライ人たちの言説には関係なく、素直に「実はお気に入りです」と言って良いのだ、という境地になれたのは、年をとったせいでしょうか(^o^)/
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