電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ドビュッシー「夜想曲」を聴く

2007年06月18日 05時43分23秒 | -オーケストラ
日中は気温が上がりますが朝晩はさすがに涼しく、東北地方の入梅には少々間があるのか、晴れた日には過ごしやすい気候です。いつも今の時分には、ドビュッシーの透明な響きを聴きたくなります。

ドビュッシー35~37歳頃に作曲された「夜想曲」は、第1曲「雲」、第2曲「祭」、第3曲「シレーヌ」という3つの曲からなります。近代フランス音楽の中でも、オーケストラから独特の響きを引き出すドビュッシーの代表的な曲です。

空の雲がゆっくりと流れる「雲」では、トランペットやトロンボーン、チューバといった、おなじみのラッパ族・金管楽器を大部分休ませて、フルート、オーボエ、イングリッシュホルン、クラリネット、バスーンという笛族にホルンだけが参加、ハープと弦楽器群にティンパニが締める、という編成になっているようです。なるほど、この響きは、フル編成の多数の音を混ぜて作り出したのではなくて、近代管弦楽から相当の音を引き算して、というか、楽器の要素を注意深く組み合わせて作り出したものなのですね。

祭の盛り上がりと祭の後の静けさを描いたという第2曲「祭」では、トランペット、トロンボーン、チューバといったラッパ族総出演で、しかもシンバルにスネアドラムにハープまで入るという「大騒ぎ可能」な楽器編成。なるほど、それでこういう響きですか。ずしんとお腹にひびく迫力です。

海の魔女とも海の精の神秘とも言われる「シレーヌ」は、歌詞のない女声合唱つきの音楽。歌詞のない女声合唱つきの音楽で終わる曲というと、ホルストの「惑星」を思い出しますが、あちらも「海王星」でした。海というと、西欧では女性のイメージなのでしょうか。そういえば、もうおぼろげな記憶では、ドイツ語で「海」は女性名詞でした。

珍しく楽器編成を調べてみたら、ドビュッシーの響きの秘密がちょっとだけわかった気がします。素人音楽愛好家のささやかな楽しみです。

演奏は、ポール・パレー指揮デトロイト交響楽団、1961年3月、マーキュリーによるステレオ初期の名録音CD(フィリップスのスーパー・ベスト1000シリーズより、UCCP-7077)です。
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2 コメント

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Unknown ()
2007-06-19 09:14:21
こんにちは。ドビュシーのオーケストラの音はドイツ音楽に慣れ親しんだ耳にはとても新鮮で惹かれたものですが、その割りにあまり聴いていないことに気付きます。^_^;/
最後のシレーヌを読んで、女性合唱の神秘性が思い浮かんできました。これからも、もっと聴こうと思います。
ドイツ語のデル、デス、デム、デンとかディー、デル、・・・・とか、冠詞がなぜ変化するのか厄介だったですね。しかし、後にはそれで読みやすい面が確かあったような、実におぼろげな記憶ですが蘇ってきます。(^。^)
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丘 さん、 (narkejp)
2007-06-19 20:49:00
コメントありがとうございます。ドビュッシーの音楽は、どうも体温が低いような気がして、そうしじゅう聴くというものではないのですが、ある時期に、聴きたくなることがあります。とても新鮮な印象を受ける音楽ですね。プロコフィエフやオネゲルといった音楽を聴いた後でも、ドビュッシーの個性はゆらぐことがなく、さすがだなぁと思います。
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