電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩。時々は実際に散歩を楽しみます。

世界ふしぎ発見、森山栄之助の番組を見ました。

2006年12月03日 17時33分13秒 | -吉村昭
12月2日、土曜の夜、本当は9時から始まるはずの「世界ふしぎ発見」、珍しくテレビを見ようと待っていたら、なかなかバレーボールが終わらない。30分近くたってからようやく始まりました。この番組、例によって「山形時間」で一週間遅く放送されているのかもしれませんが、この日は幕末の通詞であった森山栄之助を取り上げていました。
吉村昭の『海の祭礼』(*)で描かれた物語は、こんなストーリーです。

ネイティブ・アメリカンの血を引くラナルド・マクドナルドは、幕末の鎖国日本へ渡航を企て、とらえられて長崎へ送られる。片言の日本語を紙に書いて覚えようとしていることを知り、オランダ語通詞・森山栄之助は、彼に生きた英語を学ぼうと決意する。次第に意思が通じあえるようになると、ラナルドと森山らの間には不思議な友情が生まれるが、鎖国日本には彼の居場所はなく米国に送還されてしまう。やがて、英語に堪能な森山らは、開国を迫る米国海軍の提督ペルリや総領事ハリスらと厳しい交渉を重ねることとなる。いわば、幕末の日米交渉の全経緯は、鎖国日本にただ一人たどり着いた青年ラナルドと森山栄之助との友情がまいた種の上に成り立っていたのだった。

この骨格だけを取り出し、本筋とはあまり関係のない薀蓄をクイズにした番組でしたが、日米和親条約の原本をテレビカメラがとらえ、そこに「Moriyama Einosuke」という署名があるのを実際に見ると、不思議な感動を覚えます。

この物語を題材に、別の記事(*2)にしたこともありますが、再読するたびに発見のある、興味深い小説だと思います。

ところで、番組で紹介していたペルリの肖像が、まるで宇宙人のようにとらえられている話は、鎖国日本の情報伝達のしくみを考える必要があると思います。つまり、中央から回付されてきた文書や絵図をそっくり写し取り、原本は次の村に回し、写しを村人に伝える形で情報が伝達されたというのです。それならば、写しを取る人の技量が伴わず、伝言ゲームのように異国人の姿が妖怪のように描かれる場合もあったことでしょう。

黒船来航の地から遠く離れた出羽国に伝えられた水師提督ペルリの像は、いささか歌舞伎役者ふうですが、だいぶいい男に描かれておりました。これはたぶん、かなり原本に近いのでしょうか。

(*):吉村昭著『海の祭礼』
(*2):なぜ英語を学ぶのか?
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世界ふしぎ発見 伝言ゲーム 歌舞伎役者 テレビカメラ 日米和親条約 ネイティブ・アメリカン オランダ語
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4 コメント

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TV観ました。 (きし)
2006-12-03 23:19:41
小説もあるんですね。おもしろそう。読んでみたいと思います。
きし さん、 (narkejp)
2006-12-04 06:34:07
これはおもしろいですよ。漂流民からアメリカ側の通訳となり活躍した『アメリカ彦蔵』の物語とともに、お薦め二重丸です(^_^)/
森山とマクドナルド (kaz-i)
2006-12-04 11:48:27
TVでようやくこの二人のことがとりあげられた
のをうれしく思います。
あそこまでして、なぜマクドナルドが日本に
来たかったのか非常に興味深いものがあります。
小説でもふれていたように「血」のせいでしょうか?
死ぬ間際につぶやいた言葉が、「SAYONARA」と
いうのが劇的で胸を打ちました。(小説より)
同じく吉村昭の「落日の宴―勘定奉行川路聖謨」
は「海の祭礼」の後日談として、森山はじめその
当時の日本人たちがいかに粉骨砕身して外国人と
交渉したのかが、リアルに迫ってきます。
kaz-i さん、 (narkejp)
2006-12-04 23:45:01
コメントありがとうございます。森山栄之助の番組を興味深く見ました。吉村昭『落日の宴―勘定奉行川路聖謨』では、ディアナ号の遭難の経緯や日露交渉の経過が描かれており、これもたいへん興味深く読みました。

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